第二話 ぶつかる音
この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。
実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。
自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。
夜はまだ終わっていなかった。
森に残る静けさは、さきほどと何も変わっていないように見える。
だが雪猫は、わずかな違いを感じていた。
“終わったはずの場所に、何かが残っている”。
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刀を収めたまま、雪猫は歩き出す。
歪みは消えた。
それは間違いない。
だが、気配だけが消えていない。
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「……珍しいな」
誰に向けるでもない言葉。
この森で“後を引く存在”など、ほとんどない。
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その時だった。
空気が、沈んだ。
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次の瞬間。
木が裂けた。
いや、正確には“押し開かれた”。
暴力的なまでに単純な侵入。
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雪猫は即座に振り向く。
そこに立っていたのは、人間だった。
大柄な男。
肩に重い武器。
呼吸は荒くない。
むしろ、楽しんでいるような余裕がある。
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「……へぇ」
男は周囲を見渡し、口角を上げる。
「間に合ったかと思ったが、もう終わってるのか」
雪猫は目を細める。
「誰だ」
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男は一歩踏み出す。
地面が少し沈む。
「通りすがりだ」
即答だった。
雪猫は間を置かず返す。
「通りすがりにしては遅い」
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男は笑った。
「細けぇな、お前」
その軽さが、この森では異物だった。
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雪猫は刀に手をかける。
抜かない。
まだ必要ではない。
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「目的は」
雪猫の問いは短い。
男は肩をすくめる。
「ここに“いるやつ”を探してた」
「いない」
「さっきまでいたろ」
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沈黙。
風が一度だけ通り抜ける。
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雪猫は理解する。
(見ていたのか)
そして同時に、理解する。
(こいつは“ここにいた”)
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空気が変わる。
戦う前の沈黙ではない。
すでに、戦いの中に入っている沈黙。
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男が言う。
「お前、やったのか?」
「何をだ」
「さっきの“歪み”」
雪猫は答えない。
代わりに一歩前へ出る。
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その動きで、男は笑った。
「いいねぇ」
嬉しそうですらある。
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次の瞬間。
男が動く。
踏み込み。
地面が割れる。
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速い。
だが、雑ではない。
“慣れている動き”だった。
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雪猫は抜刀する。
金属音。
一撃がぶつかる。
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重い。
だが押し切られない。
同じ“重さ”がそこにある。
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男が言う。
「名前は?」
雪猫は答える。
「雪猫」
「俺はマッキー」
短い間。
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また刃が交わる。
火花が散る。
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その最中、マッキーが笑う。
「お前さ」
「なんだ」
「一人でやってんの、飽きねぇ?」
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雪猫は答えない。
その問いは、戦闘の中では不必要だった。
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だが、マッキーは続ける。
「俺は飽きた」
「だから動いてる」
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一瞬、雪猫の動きがわずかに遅れる。
ほんの僅か。
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それを、マッキーは見逃さない。
「今のは反応したな」
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雪猫は静かに言う。
「くだらない話だ」
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だが、その言葉はいつもよりわずかに軽かった。
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戦いは続く。
だが決着はつかない。
どちらも、決める気がないからだ。
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やがてマッキーが武器を下ろす。
「やめだ」
雪猫は止まらない。
「理由は」
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マッキーは笑う。
「勝てねぇから」
「それだけだ」
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沈黙。
夜が戻る。
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雪猫は刀を収める。
「逃げないのか」
「逃げる理由がねぇ」
即答だった。
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マッキーは空を見上げる。
「お前、どこ行くつもりだ」
雪猫は答える。
「決めていない」
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マッキーは笑う。
「ならちょうどいい」
「俺も決めてねぇ」
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少しの沈黙。
そして、マッキーは言う。
「一緒に行くか?」
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雪猫はすぐには答えない。
珍しい沈黙。
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やがて、短く言う。
「理由は」
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マッキーは肩をすくめる。
「面白そうだから」
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夜風が一度だけ通る。
その瞬間だけ、森が少し軽くなる。
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雪猫は小さく息を吐いた。
「最悪だな」
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それは拒絶ではなかった。
ただの評価だった。
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そして、雪猫は歩き出す。
マッキーはその隣に並ぶ。
何も決まっていないまま。
だが確かに──
何かが変わり始めていた。
――続く




