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月夜の旅人  作者: rouge
第三章 鈴の鳴る森
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29/50

第二十九話 地下街の朝

この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。

実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。

自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。

地下街に朝は来ない。


---


空はない。


太陽もない。


---


けれど。


---


その日は確かに、“夜明け”みたいだった。


---


静かだった街の空気が変わっている。


---


重かった音が消えていた。


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張り詰めていた気配もない。


---


マリーが時計塔を見上げる。


---


「……穏やかですね」


---


「さっきまで死ぬほど騒がしかったけどな」


マッキーが座り込む。


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「疲れた……」


---


「情けないな」


雪猫が言う。


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「お前基準で喋るな!」


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「鐘守と殴り合って平然としてる方がおかしいんだよ!」


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雪猫は少しだけ笑った。


---


その時。


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とてとてと足音が近付く。


---


ルナだった。


---


両手に何か抱えている。


---


「これ」


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差し出されたのは、小さな包みだった。


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マッキーが受け取る。


---


「……パン?」


---


「地下街の」


---


「まだ残ってたから」


---


少し誇らしげだった。


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マッキーが目を丸くする。


---


「食えるのかこれ」


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「失礼だなぁ」


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「いやだって地下だぞ!?」


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ルナは少しむっとした。


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「ちゃんと美味しいもん」


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マリーがくすっと笑う。


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「昨日のスープも美味しかったですしね」


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「それは認める」


マッキーが頷いた。


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「悔しいけど」


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雪猫は普通にパンを食べている。


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「早いなお前!?」


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「腹が減っていた」


---


「警戒心が来い!」


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ルナが小さく笑った。


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昨日より表情が柔らかい。


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地下街も。


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彼女も。


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少しだけ空気が変わっていた。


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マリーがルナを見る。


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「……これからどうするんですか?」


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ルナは少し黙った。


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時計塔を見る。


---


静かな街を見る。


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そして。


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「分かんない」


---


正直な声だった。


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「でも」


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ルナは少しだけ笑う。


---


「前より寂しくない」


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マリーの表情が柔らかくなる。


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マッキーも少し照れ臭そうに頭を掻いた。


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その横で。


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雪猫は静かに地下街を見ている。


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ルナがふと聞いた。


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「もう行くの?」


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「多分な」


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「そっか」


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少しだけ寂しそうだった。


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だが。


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止めはしなかった。


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旅人だから。


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雪猫達は。


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どこかへ行く人達なのだと、ルナも分かっていた。


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沈黙。


---


その後。


---


ルナが雪猫を見る。


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「……また来る?」


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マッキーが雪猫を見る。


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マリーも見る。


---


雪猫は少し考えて。


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「気が向けば」


---


「曖昧だなぁ……」


ルナが小さく笑う。


---


「でも」


---


「うん」


---


「待ってる」


---


時計塔の鐘はもう鳴らない。


---


それでも。


---


地下街には、静かな時間が流れていた。

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