第二十五話 静止する音
この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。
実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。
自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。
鐘に手が触れる。
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その瞬間だった。
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世界が一瞬だけ、遅くなる。
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「……っ」
マッキーの声が伸びる。
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影の動きが鈍る。
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マリーの魔力の光が揺れる。
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ルナの髪がゆっくりと舞う。
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そして。
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ごぉん――
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鐘の音だけが、異様に長く響いた。
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雪猫は鐘の表面に手を置いたまま、静かに観察していた。
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「……なるほどな」
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鐘は“鳴っている”のではない。
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「鳴らされている」
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そういう構造だった。
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鐘の中心にあるのは金属ではない。
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もっと曖昧で、薄い“層”。
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音そのものが核になっている。
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マリーが必死に叫ぶ。
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「雪猫さん!それ……壊せるものじゃないかもしれません!」
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「分かってる」
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マッキーが叫び返す。
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「分かってるなら戻れぇぇ!」
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だが雪猫は動かない。
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鐘守が再び斧を振り上げる。
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影も一斉に跳びかかる。
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完全に囲まれる。
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逃げ場はない。
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ルナが小さく声を出す。
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「……お願い」
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その声は、ほとんど消え入りそうだった。
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雪猫は一瞬だけ目を細める。
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そして。
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「なら」
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手を鐘から離さないまま、もう片方の手を動かした。
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空気が変わる。
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影の動きがわずかに“ずれる”。
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マッキーが気付く。
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「今の……何した?」
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「音をずらした」
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「意味わかんねぇよ!!」
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鐘がもう一度鳴る。
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ごぉぉぉん。
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しかし今度は。
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音が“揃わない”。
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影達の動きが乱れる。
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一瞬の隙。
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雪猫は鐘守の胸部へ踏み込む。
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「そこだ」
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爪が閃く。
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ぎぃん!!
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今度は金属ではなく。
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“ひび”のような音が響いた。
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鐘の表面に、細い亀裂が走る。
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マリーが息を呑む。
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「割れた……?」
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だが次の瞬間。
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亀裂の奥から、音が漏れ出した。
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人の声のような。
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遠い叫びのような。
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重なった“何か”の音。
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マッキーが顔をしかめる。
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「……なんだこれ」
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ルナの顔が青ざめる。
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「やっぱり……」
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「これ、街の声だよ」
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雪猫は静かに鐘を見る。
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「街そのものが鐘になってるのか」
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鐘守が怒り狂ったように動き出す。
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ごぉぉん!!
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影が再び密度を増す。
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空間が歪む。
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その中で。
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雪猫は小さく息を吐いた。
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「面倒だな」
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そして。
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もう一度、鐘へ手を置いた。




