第十五話 月の欠ける夜
この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。
実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。
自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。
森へ入る頃には、空は夕暮れに染まっていた。
赤い光が木々の隙間から差し込む。
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「帰りてぇ……」
マッキーがぼやく。
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「まだ入口にも着いてねぇのに」
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「なら帰るか?」
雪猫が聞く。
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「お前絶対思ってないだろ」
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「よく分かったな」
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「付き合い長くなってきたからな……」
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雪猫は少しだけ笑った。
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マリーはそんな二人を見ながら歩いている。
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最初は不思議だった。
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こんな風に軽口を叩き合う関係。
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けれど。
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悪くないと思い始めていた。
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風が吹く。
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木々が揺れる。
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その時。
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「……静かですね」
マリーが呟いた。
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確かに。
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森なのに、妙に音が少ない。
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鳥の声もない。
虫の声もない。
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マッキーが辺りを見回す。
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「やめろよそういうの」
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「怖くなるだろ」
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「怖いの苦手なんですか?」
マリーが少し首を傾げる。
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「嫌いじゃねぇ!」
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「でも得意でもねぇ!」
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「面倒だな」
雪猫が言う。
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「お前だけだよ平然としてんの!」
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雪猫は前を見たまま歩いている。
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その姿に。
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マリーは少し違和感を覚えた。
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「雪猫さん」
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「何だ」
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「……楽しんでませんか?」
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一瞬だけ沈黙。
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それから。
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「少し」
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「認めた!?」
マッキーが叫ぶ。
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「この猫絶対遊園地感覚で来てる!」
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「遊園地は知らん」
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「例えだよ!」
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その時だった。
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森の奥。
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暗闇の中に、光が見えた。
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ぼんやりと。
青白い光。
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マリーが立ち止まる。
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「……あれ」
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雪猫も止まった。
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「入口か」
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光は地面から漏れていた。
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近付くにつれ、それが“階段”だと分かる。
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地下へ続く石階段。
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古びている。
なのに。
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階段の先だけ、淡く光っていた。
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マッキーが嫌そうな顔をする。
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「うわぁ……」
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「これは嫌な雰囲気だ」
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「そうか?」
雪猫は普通に降り始めた。
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「待て待て待て!?」
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「様子見とか!」
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「慎重さとか!」
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「問題ない」
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「その自信どっから来るんだよ!」
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マリーも階段を見る。
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暗い。
深い。
底が見えない。
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「だ、大丈夫でしょうか……」
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雪猫が振り返る。
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「怖いか?」
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マリーは少し迷った後。
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正直に頷いた。
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「……少し」
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雪猫はほんの少し目を細める。
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そして。
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「なら近くを歩け」
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「えっ」
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「はぐれると面倒だ」
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言い方はいつも通りだった。
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けれど。
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マリーは少しだけ安心した。
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「……はい」
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マッキーが後ろからじとっと見る。
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「お前さぁ」
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「何だ」
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「そういうとこなんだよ」
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「意味が分からん」
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「無自覚怖ぇ……」
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三人は階段を降りていく。
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一段。
また一段。
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地上の光が遠ざかる。
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空気が変わる。
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冷たい。
静か。
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そして。
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階段を抜けた瞬間。
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三人は息を呑んだ。
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地下とは思えなかった。
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そこには。
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巨大な街が広がっていた。
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石畳の道。
並ぶ建物。
灯る街灯。
遠くに見える時計塔。
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まるで。
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地下に、もう一つの世界が眠っているみたいだった。
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誰もいない街で。
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時計の針だけが、静かに動いていた。




