第十二話 行く場所のない少女
この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。
実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。
自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。
森を出る頃には、空が少し白み始めていた。
夜明け前。
一番静かな時間。
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「はぁ……」
マッキーが大きく息を吐く。
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「疲れた……」
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「情けないな」
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「誰のせいだと思ってんだ」
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「歪みだな」
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「お前だよ!!」
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雪猫は無視した。
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その後ろを。
マリーが静かについて来ていた。
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白い髪。
揺れる鈴。
月明かりみたいな少女。
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だが。
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マッキーはちらりと後ろを見る。
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「なぁ」
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「何だ」
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「この子どうすんだ?」
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雪猫も振り返る。
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マリーと目が合った。
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「……」
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「……」
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数秒沈黙。
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マッキーが耐え切れず言う。
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「いや何か喋れよ!」
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「何を」
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「いっぱいあるだろ!」
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雪猫は少し考えた。
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そして。
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「行く場所は」
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マリーは静かに答える。
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「ありません」
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即答だった。
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マッキーが固まる。
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「えっ」
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「ありません」
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「そんな二回言わなくても伝わる」
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マリーは困ったように笑った。
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「ずっと一人で祠を守っていたので」
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「家も?」
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「ありません」
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「家族は?」
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「覚えていません」
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マッキーは言葉を失う。
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軽く聞く話じゃなかった。
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雪猫だけが静かだった。
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「そうか」
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それだけ。
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マッキーが慌てる。
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「いや『そうか』じゃねぇだろ!?」
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「事実だ」
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「もっとこう……何かあるだろ!」
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「何がだ」
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「優しい言葉とか!」
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雪猫は少し考えた。
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マリーを見る。
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そして。
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「腹は減っているか」
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「そこ!?」
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マッキーが叫ぶ。
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だが。
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マリーは目を丸くした後。
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小さく笑った。
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「少し」
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「なら村へ戻る」
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「結局飯なのかよ!」
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「重要だ」
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「否定はしねぇけど!」
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三人は村への道を歩く。
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夜明けが近い。
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空が少しずつ青くなっていく。
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マリーは隣を歩く二人を見る。
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不思議だった。
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出会ったばかりなのに。
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なぜか。
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怖くなかった。
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「……あの」
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小さな声。
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雪猫とマッキーが振り返る。
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「ありがとうございました」
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「助けてくださって」
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マッキーは笑う。
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「気にすんな」
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「困ってる奴放っとけないだけだ」
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「お前が言うと胡散臭いな」
雪猫が言った。
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「なんでだよ!?」
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「怪しい」
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「お前よりはマシだ!」
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「否定出来ないですね」
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「マリーまで!?」
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マリーはくすくす笑っていた。
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その笑顔を見て。
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雪猫は少しだけ目を細める。
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……似ている。
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ふと。
そんな感覚が過った。
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誰に?
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分からない。
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思い出せない。
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だが。
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どこか懐かしかった。
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村へ戻ると、空は完全に朝になっていた。
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宿屋からはパンを焼く匂いがする。
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マッキーの腹が鳴った。
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「…………」
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「鳴ったな」
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「鳴ったなじゃねぇ!」
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「聞かなかったことにしろ!」
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「無理だ」
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「何でこういう時だけ耳いいんだよ!」
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マリーがまた笑う。
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その時だった。
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宿屋の女将が三人へ気付く。
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「あら?」
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目を丸くした。
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「増えてる」
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「増えた」
雪猫が答える。
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「物みたいに言うな!」
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マリーは少し困ったように頭を下げた。
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「マリーと申します」
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女将はにこりと笑う。
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「かわいい子じゃないか」
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マッキーが雪猫へ小声で言う。
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「なぁ」
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「何だ」
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「これ絶対放っとけない流れだよな」
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雪猫は少し黙った。
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そして。
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「……そうだな」
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マッキーは固まる。
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「えっ」
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「何だ」
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「いやお前が素直に認めるの珍しくて」
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「事実だ」
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「最近ちょっと柔らかくなってきてねぇ?」
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「気のせいだ」
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「便利だなその言葉!」
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マリーは静かにそのやり取りを見ていた。
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胸の奥が温かい。
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知らない感覚だった。
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それが何なのか。
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まだ。
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彼女は知らない。
――続く




