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第60話 年季の入ったバトル都市

「やあ、いらっしゃい」

「こんばんは、晴明さん」

「世話になる」

 さえ、ひょいっと陰陽寮から京都にやって来た鈴音たちは、笑顔で出迎えてくれた晴明に挨拶をする。

 しかし、本当に京都の、それも一条にある晴明神社に出てしまうのだから、冥界とは不思議な場所だ。そして便利だ。

「交通費はほぼ要らないんだ」

「まあな。とはいえ、神社がなければ使えない」

「だよね。だからほぼ、だよね」

 夜の晴明神社を一通り御祭神本人に案内してもらってから、鈴音はしみじみと色んなことが凄いわと感心。

「で、京都の妖怪たちだっけ。まあ、京都は年季の入ったバトル都市だからね。あれこれいるけど、領分を逸脱するようなやつはいないはずだよ」

「いやいや。年季の入ったバトル都市って」

 晴明、京都のことをなんて言い方してくれるんだ。

「いや、事実でしょ。そうじゃなきゃ、俺の元になった安倍晴明の伝説がこんなにも色濃く残るはずないじゃん」

 晴明、あっけらかんと言ってくれる。って、そうか。平安時代に生きた安倍晴明と神様は別物なんだっけ。ややこしいなあ。

「京都は付喪神(つくもがみ)系が多いからな。バトルになるのは仕方がない」

 でもって健星は、そっちは楽だからいいよと適当だ。

「付喪神って?」

 しかし、なぜ楽なのか、鈴音は理解出来ていない。ということですぐに質問。

「付喪神は器物の妖怪だ。長い年月を経た道具たちがなる」

 健星もこのパターンに慣れてきたのか、文句なく説明。しかし、簡潔すぎて解ったような解らないような。

「平安時代だと楽器がなったりしたものだよ。源博雅(みなもとのひろまさ)という雅楽の達人がいたんだけど、彼に懐いていた付喪神は玄象(げんぞう)という琵琶だったね」

 そこに晴明が例えを出してくれるが、なかなか独特な例えだった。しかし、琵琶かあ。琵琶法師の印象しかないな。

「ともかく、そういう器物系の妖怪が多いから人間の周りにあれこれ怪奇現象が起こるのも仕方がないってわけだ。使われなくなった道具たちが悪さをしているんだからな」

「へえ。じゃあ、京都で押えるべき妖怪って?」

 鈴音はいないんじゃないのと晴明を見たが、にやっと笑ってくれる。いやいや、健星もそうだけど、イケメンがその笑顔は不気味だから。これから悪いことを言いますよっていうフラグでしかないから。

「京都だと(ぬえ)だろうね。これは押えておかないと。同じくらい有名なのは酒呑童子はさっさと冥界で勢力を作っているから除外される」

「鵺か。やはり冥界には来ていないんだな」

 その答えを健星は予想していたようで、面倒だなという顔をする。

「行かないでしょ。来てたら目立つし。後はそうだな、輪入道(わにゅうどう)かな」

「それも面倒だな。どちらも人間に対して悪さをする奴らだ。しっかり釘を刺さなければならないが、話を聞くとも思えない。やっぱり京都は面倒なのが多いな」

 晴明と健星の間でどんどん話が進んでいるが、やっぱり雲行きが怪しい。難しい相手ばかりらしい。

「鵺となると、源頼政(みなもとのよりまさ)様がいると楽だったでしょうねえ」

 でもってユキまで難しい顔をしてそんなことを言うので、鈴音は一発目から大変じゃないと額を押えていたのだった。

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