19、花が咲く
「んじゃ話し合いはこんなもんでいいとして…君らの名前を教えてくれ。」
エルフ3人組との交渉が終わり、雑談に花を咲かせる。
「…すみません、自己紹介は後でにしましょう。日が落ちる前に火起こしと水浴びを済ませたいので。」
それもそうか。魔力を持たない彼女らにとっては火も水も貴重なのか。
「火は俺がやるよ。お前らは水浴びしてきていいよ。近くに水場がないなら俺が出すから言ってくれ。あぁ、それと食事も俺が用意しとくから水浴びはゆっくりでいいぞ。」
「…至れり尽くせりですね。」
「…昔のパーティーメンバーがろくな奴らじゃなかったからな。自然とこうなってた。」
…家事全般が壊滅的な騎士、食事は用意してくれるものだと思ってる聖女と貴族、変なものを混ぜたがる魔女…
「水場は少し離れますが見つけているので大丈夫です。それでは…馬車の方も見ててください。」
「ありがとうございます。」
「お先〜。」
俺は3人が行ってから直ぐに行動に移る。なんせこの辺りには木が1本もない。つまり火を維持できない。
「バレないでくれ…」
俺は魔法で地面から木を生やし、それを薪の大きさにカットする。そして証拠隠滅。砂漠に木を生やすのはタブーとされている。魔物がオアシスだと勘違いして寄ってきてしまうのだ。
「よし!来てない…!良かったぁ…」
俺は作った薪を組み立て、魔法で火を起こす。
…というかあのエルフ達は水浴びに行ったんだよな?もしかしてそこに木くらい生えてたんじゃ…
考えるのはやめよう。これじゃあまるで俺が馬鹿みたいじゃないか。
「うん…さっさとご飯作ろう…」
俺は少し萎えた気分で4人分の夕食を作り始める。調理器具は昔買った大容量アイテムボックスに入っているはずだ。高性能アイテムボックスと悩みに悩んで結局大容量にしたのだ。
ガランッガッシャンッ!カッ!ムニュ、ダンッダン!
鍋、お玉を見つけた。
「…二度と使わねぇこのアイテムボックス。」
入る量こそ多いが…俺が動くとボックス内も動くのだ。つまり中はぐちゃぐちゃだ。どれだけ綺麗に整理しても歩いた瞬間に終わる。
「…絶対次は高性能アイテムボックスの方買う。」
何故か気分が最低値まで落ちた気がするが俺は鍋に食材を入れ、あいつらが帰ってくるまでに料理を完成させる。
〜〜~
「戻りました。火と夕食の準備ありがとうございます。」
「…食事、ありがとうございます。」
「おつかれ〜。」
「ん?あぁ帰ってきたか。もうすぐできるとこだ。少し待っててくれ。」
「…いい匂いだね〜。何作ってるの?」
「シチューだ。俺が1番好きな料理。…よし、出来た。皿はあるか?あるなら取り分けるから持ってきてくれ。」
「そういうと思っていました。これお皿です。早く食べましょう。」
「お、おう。早いな。」
リーダーっぽいこの子…真面目そうな見た目してるのに意外と腹ペコキャラだったのか。
「よし、そんじゃいただきます。」
「これ美味しいですね…」
「…大変美味。」
「こんなの作れるなんてすごいね〜」
「…そりゃ良かった。」
そういやこの世界にはいただきますもご馳走様もないのか…完全に忘れてた。
〜〜~
「それでは、自己紹介をしましょう。」
俺たちは食事と片付けを終え、焚き火を囲みながら自己紹介をする。最初は俺からだろう。
「さっき言ったっけ?まぁいいや、俺はワタル。旅をしている。年齢は20歳…なはず。」
「…なんでそんなに曖昧なんですか。」
「まぁ…年齢は気にしないから曖昧なんだよ。で、君らの名前は?」
「まずは私から。一応リーダーをさせてもらっています。クレアです。」
「…私はアリアと言います。」
「ノエルだよ〜。」
リーダーのクレア
物静かで真面目なアリア
とにかく緩いノエル
意外と良いパーティ…なのか?
「クレア、アリア、ノエルか。よろしくな。3人は姉妹なのか?それともただの友人?」
「…アリアとノエルが付き合っていて恋人関係です。…私は2人の友人です。」
「…不足していますよ。クレアも私たちの中に入るのでしょう?」
「そうだよ〜。まだ友達なだけでどうせすぐ付き合うんだから〜。3人で仲良くしようよ〜。」
ん?
「…いえ、私はそうなるつもりなんて…」
「じゃあ私たちのこと嫌いなの〜?」
「ち、違います…でも…」
「…好きなんでしょ私たちのこと。はやく素直になればいい。」
「…で、ですが…」
ん?あれ?
「あの…えっと…つまり…3人とも好き合ってるってことでいいんだよ…な?」
「い、いえまだ…」
「はい。その通りです。」
「うんうん。」
百合かぁぁぁぁ!!!!!!!!




