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なぜ…

佳奈は素直で表情も豊か

優しくて、いい奥さんを代名詞にするのがピッタリだ


そんな佳奈が凌には可愛くて仕方なかった

年が離れているせいもあるが

甘えん坊なところも寂しがり屋なところも優しく受け止める凌だった


ただ、一緒に生活するにつれて

その可愛さが少しずつ重荷にもなっていた


贅沢だと思うかもしれないが

時に兄のように、父親のように接しているせいか…

対等な夫婦関係に思えなくなってきていた 


夫であり、兄であり、父親…

それを役目として感じ始めてから…

佳奈を1人の女性として見れなくなってきているのかもしれないと思い始めた

妹や時には娘に対して接するような感覚が強くなってしまったのかもしれない



そんな時、仕事で知り合った女性と親しくなった

彼女は芯はあるが柔らかい雰囲気の人だった


自分の生き方や価値観を大事にしていて、とてもしなやかな女性だった

それが彼にとっては、生き生きとしていて魅力的に映った

彼は、仕事で飲みに行った先で、色々相談したり、佳奈には話せないような仕事の話をしたりすることが増えた

彼女の方も少しずつ、凌に心を開いていった

次第に、仕事抜きにして2人で会うようになっていった


罪悪感はあった

家ではきっと佳奈がご飯を作って待っている

佳奈は佳奈なりに、凌のことを思い、支えようと頑張っていることは知っている

決して佳奈を嫌いになったわけでは無い


それでも、凌の心は揺れていた

このまま結婚生活を続けることができるだろうか…

佳奈にとてもひどいことをしている

その自覚が凌を少しづつ追い詰めた


全て自業自得だ 全て自分が悪い

だが…理性や『〜すべき』といった理論で割り切れるほど感情は簡単ではない

むしろそれができるならどんなに楽だったか…


凌は一度、佳奈ともその女性とも離れた方がいいのではないか…

そう思い始めていた

自分を許せない気持ちもさらに強くなっていった


だが、こういう状況になってしまった以上

佳奈と話し合うことは難しいし

それをすることのほうが

あまりにも自分勝手なように思えた…


俺は最低だ…


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