アウゼンハイド凱旋 前編
「案内しよう」
王の間の、その後ろの扉を開けると、更に長い廊下の先
「今日、明日は祭りもあるというに、書庫にこもるとは物好きだな」
「祭り……やってるんだ……」
廊下の窓から見下ろす城下町は賑わいを見せている
「……この城下町の祭りは年に一度。2日間だけ行われる。嫁いだ姉を…忘れぬ日さ…」
「?」
「明日は夜、花火が上がる。バルコニーを解放しよう」
そんな会話をしながら、おそらくあまり行き来はないのだろうその奥
「納得行くまで……見ると良い」
その声に、シゲは小さく息を呑んだ。
【秘宝書庫】のテロップが右上に表示された、その先
古き時代の記録だろうか?本棚がズラリと並ぶ
「……凄い数やな」
そして
ここには……自分たちが帰るための、何かが眠っているかもしれない場所。
「手掛かり、、あると良いけど……」
期待と不安を胸に、シゲたちはその扉の前へと歩いていく
そして
秘宝書庫へ足を踏み入れると同時
そのムービーは始まった
【アウゼンハイド、王城】のテロップ
━━5時間前━━
背の高い金髪の騎士の後ろ姿
白いマント、、金色の髪が歩く度に揺れる
[ただいま戻りました、皇帝陛下]
頭を下げる騎士はどんどん引きの画面へ
漆黒の甲冑から真正面へとアングルは移動し、王座に座る男性が映し出された
[ご苦労だった。首尾はどうだ?]
ファイ・フアン・アウゼンハイド王は静かに言葉を発した
[エントの大樹へのダメージは甚大。城塞都市はしばらく機能しないでしょう]
隣に姿を見せた黒龍からいくつかの欠片を受けとると、それを王へと手渡すジェファン。
[サンダーバードの宝玉は破壊に成功、宝玉に封印されしドゥクは甦り、しかし、サンダーバードに討ち取られた模様]
[“ドゥクの欠片”を回収してあるならば問題ない]
[ルナティックは龍神王とルナの結界が強くアジ・ダハーカが入れず。しかし、その代償で宝玉は崩壊。ムーンビーストが復活]
王の間に一人の美しい女性が入って来る
[久々の世界だけど、さして代わり映えしないものね]
[……サファイアの宝玉破壊に成功。封印されていたティアマット復活]
カツっとヒールが音を立てて、不気味に微笑む
[よくやったぞ、ジェファン。我が弟よ ]
怪しげな人物がぞろぞろと王の間へと集まり出す
[手始めだ。オルブラッドを落とし、封印されしベヒーモスを復活させよ]
その言葉に、ジェファンは目を見開いた
[いつ行く?]
美しい女性の言葉にファイ王は視線を流し
[準備整い次第、すぐだ]
[お、お待ち下さい、皇帝陛下!今日明日は……]
[祭りなど片腹痛い]
オルブラッドから上がる祭り開始の花火が一発、ドーンとうち上がる
[兄上、少しだけで良いのです]
[……もう、待つことはならん]
その瞬間、冷たく底冷えするような眼差しと目が合った
はっとムービーから現実に戻ったシゲは辺りを見渡す。
「と、凍慈…」
「……今すぐやない」
本棚からいくつかの本を抱えた凍慈は、やはり冷静だ。
同じムービーを観たとは思えないほどに…。
「……で、でもアザリアスに教えないと」
「何て説明するつもりや?」
書庫にある机に本を広げると、椅子に座ってパラパラと捲っていく。
「………それは」
「映像観ました?信じると思うか?そんなんせんでも、ストーリーとして進んでいく」
宿に強制宿泊の時点で察したけどな、なんて言う。
ああ、そうか、察してたんだ。
━━ゲームで行き来出来へんとかなるの、ヤバいイベント始まる前くらいなもんやで━━
その言葉が頭の中を駆け巡り、少しだけ腑に落ちた。
「今やれる事は、この書庫が吹っ飛ばされる前に調べ終わる事や」
そういう割り切れるところ、本当に凄いとは思う。
「どれくらいで、、来ると思う?」
「今夜、、いや、あの感じなら明日かもな。勇者シリーズの、、王城攻めは基本的に…夜中や」
「……OK」
振り返った書庫は依然膨大だけれど…。
「なるべく、、調べよう」




