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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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激突!最強の騎士と最強の神獣



シゲたちが【宵闇の国】へ足を踏み入れたその瞬間。


 

「……貴様等何者だ、この国へなんの用だ」


と、漆黒の鎧の騎士たちに囲まれる。


「アウゼンハイドの軍事国境から、、怪しすぎる」


「…我々はクリスタルの」


と、セピアがその先を言うよりも速く。

バシッと音を立ててセピアが後方にふき飛ぶ。


「話す許可は出してない」


「…おい、聞いたのはそっちだろ」


シゲは無意識に聖剣に手をかけて、漆黒の騎士たちを睨み付けていた。

凍慈は弓を構え、もちろんガルーダとリアも武器を既に抜いている。


「セピア、大丈夫!?」


セピアに駆け寄るアリアもジロッと騎士達を睨み付けた。


「皆待って、私は大丈夫だから。問題を起こしてはダメよ」


セピアが慌てて止めるも、既に一触即発の空気。


その直後だった。


「将軍!大変です!南に、、出ました!!」


「なに!?急げ!!」


 

漆黒の騎士たちが一気に移動する、、その先………


 

「南ブラッド平野だ」

 


ガルーダの声に合わせるように、背後からアングルがぐるりと周り……


シゲたちがいる小高い道から、見下ろすその先


銀色の鎧、金ぶちの旗、、そして軍旗には銀王龍


「……か、っせん、、?」


万近い兵士が足並み揃えて砂埃を上げ進軍する


その反対側には、全身漆黒の鎧の騎士達が待ち構え、真っ赤の旗が揺れる


軍旗の中央には剣と黒騎士


 

「オルブラッドとアウゼンハイド」


 

ぶつかるその瞬間、、オルブラッド側の背後で巨大な黒い影が現れて、歓声が上がる

 


「アザリアス殿だ!」


リアが目を輝かせて指差す場所には…



8本脚の馬に跨がる見た目は初老、しかしガタイの良い騎士が。


その隣に、負けず劣らずの厳つい30代前半の男性が騎馬に乗り並んでいた。


「オーディンも一緒のようだ」


「オーディン…、じゃあ、あの馬はスレイプニルか」


「そういうのは知っとるんやな」


アザリアスと呼ばれた騎士の両手には透明の剣


単騎で戦場のど真ん中へと突き進むと、あっという間に前線は総崩れを起こし撤退の言葉が響く


 

「オルブラッド軍、下がれ。巻き込まれたくないならな」


 

アザリアスがその言葉を発した瞬間だった

 


「……ジェダと、、バハムートや」

 


アウゼンハイド側の背後で巨大な飛龍が轟音を轟かせて姿を見せ、「ジェダ将軍!」と「皇太子殿下!」の大合唱


その巨大な飛龍の背には、ジェダが乗って槍を構えていた


「さっきのは、、本来の姿じゃなかったのか……」


「バハムート様が本来のお姿になれば、、もっと大きい」


「……まじか」


6枚の翼を広げれば右から左まで、ゆうに10メートルはある


長い尾を一振りすれば、突撃してきたオルブラッド軍は百単位で宙を舞う


 

「……来る」


リアがぼそっと呟いた瞬間だった


アザリアスが剣を上に上げており、その切っ先はすっと戦場へ


後方、小高い場所で待機していたオーディンがその合図と同時に走り出す


「……オルブラッド軍は、後方部隊まで下がれ」


アザリアスの号令と同時、オルブラッド軍は一気に後方へ



「オーディンも、本気っぽいね」



真昼の空は宵闇の如く真っ黒に染まり、オーディンは真っ黒い空間に入っていく


その瞬間、遥か上空で空間が開き、その中から姿を見せた

 


「………デカイッ!?」


ここからあの大きさということは、先ほどの5倍くらいのサイズはあるだろう。


「当たり前だろ、神獣なんだから」


え?俺が間違ってるみたいな空気やめてもらって良いですか?


 

空から駆け降りるスレイプニルが、撤退するオルブラッド軍に突っ込み、オーディンの一振りで人の塊が宙を舞う


そこにバハムートが飛び込んで迎え撃つ



「………凄い、、光景」



ぶつかった衝撃波で両軍、人が紙切れの如くふき飛び、その真ん中をジェダとアザリアスは悠々と歩いていく



「俺たちと、、レベルが違いすぎる…」



そう、形容する以外に言葉が見当たらなかった



ジェダの槍とアザリアスの剣がぶつかり火花を散らす


いくつかの技の応酬は、光の残撃となり激しい金属音を響かせる


 

「ジェダ。軍を引くよう伝えろ。お互い不要な被害を出すこともあるまい」

 


その言葉は、だだっ広い平野のど真ん中


 

剣を交える二人にしか聞こえないやり取り


 

「……父上は、そうは思っておられません」


「ジェダ、本気か?」


「星見の意思は、、皇国ではマナの女神と同じ」


 

背後ではバハムートとオーディンはぶつかり合い、地震の如く地面が揺れ突風が巻き起こる



「オルブラッドが、、皇国に仇なすと……本気で思っているのか??」


「………星見が、、そう予言されました」


「……フアンは、本当に私を……」

 


ジェダの一撃を捌いたまま、すっと下ろされたアザリアスの剣と、それと同時にジェダの動きも止まった

 


「行き違いがあったのかと。なすべき事を済ませたら帰還して、、必ず父上と話をします。それまでお待ち下さい」


なすべき事を、、その言葉にアザリアスは少しほっと息を吐いた


「そうか、役目を、、」


「はい、、出来るだけの事を……」


その言葉を遮るかのように、アザリアスは剣を腰の鞘にしまった。


「………わかった。朗報を待っている」


 

くるっと戦場に背を向けた二人の指揮官

 

時間にして、10分はなかったであろうやり取り


「……アウゼンハイド軍、撤退だ」


ジェダの号令に、少し戸惑いはあれど軍が一斉に撤退していく



『…………どうして本気を出さなかった、ジェダ』


「行き違いに、殺意は不要」


バハムートが見下ろす平野は、、二人のほんの少しのぶつかり合いだけで、草一つ見当たらないクレーターだらけとなっていた


『ずいぶんと派手な行き違いだな』


バハムートの背に乗ったジェダは、その真下のシゲたちを見つけて「あとは、彼らの番だ」と小さく呟いた






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