国境にて…
下山する足取りはどことなく重たい
寒さは下れば下るだけマシになり、木々は白から緑へ
地面には草がみえはじめ、ふっと振り返ると真っ白い雪山はもうどこか遠い
「……聖剣って、、鍛えるのはあと1回?」
「過去作では3回やし、残ってるのを加味してもあと1回やろな」
襲って来るモンスターの種類も、いつの間にか【氷属性】から【闇属性】と【無属性】へと変わっていた。
「闇属性と無属性……って事は…」
リアが辺りを見渡す
「オルブラッドが近い?」
「オルブラッドが“近いだけ”なら良いけどね」
含みのある言葉を理解するよりも早く、前方に巨大な砦が姿を現し、ガルーダとリアが即座に全員の前へ。
「さいっあく…」
その砦を見上げたリアが、露骨に顔をしかめた。
「あの狼いい加減にしてくんないかなぁ」
むっとリアの悪態をつく声と。
砦には巨大な軍旗がはためき、、それは…どこかで見覚えがある
「……金と黒の縁に、銀龍王」
ぼそっとアリアが呟くが、シゲには聞こえていない
「……ど、どういう?」
「世界地図、オープン」
凍慈も砦を目視した瞬間、慌てて世界地図を広げて現在地を確認する。
いや待って、ワールドマップ?そんなのあったのか??
いや、地図っぽいのはあった気もするけど…
「……ここは、」
セピアが地図を指差すその場所……
赤い矢印がピコピコと揺れている。恐らくは現在地だろう。
「オルブラッドと………」
その先の砦の門は閉ざされており、、分厚い梯子状の鉄の塊が見える
「皇国アウゼンハイドの……、軍事国境よ」
セピアのやや緊張した声音と同時
視界に、、金色の甲冑が光に反射し、巨大な飛龍が轟音を轟かせた
「……ジェ…」
「ここへは何用だ?勇者一行よ」
その耳障りの良い声に、全員の緊張は、、少しだけほどけた
「……ジェダか」
リアとガルーダも、武器を一旦おろした。
「久しいな」
そして、一度だけ全員を見てふっとシゲたちが来た山へと視線を流した。
「フェンリルのところか?」
兜を脱ぐと、美しい金髪を靡かせてイケメンが姿を現す。
「まぁね。寒くてやんなったよ」
そう悪態をついたリアの視線は、そのまま背後の砦へ。
「これからオルブラッドに行きたいんだけど…」
シゲがそう言うと、ジェダはふっと笑った。
「アイスランドからオルブラッドへ行くなら、別の道があっただろうに」
「いや、まぁ、色々ありまして………」
すっと手を上げると、門番が困惑したようにジェダを見た。
「よ、よろしいのですか?国王は誰も通すなと……」
「勇者一行を通さないなど、あってはならない」
門番は顔を見合せ、そして…
「…………開門!!」
巨大な門が大きな音を立てて、鉄格子が上がって行く。
「アウゼンハイド側からオルブラッドへ行くのは、本来はあまり好ましくはないが…」
「え!?」
「当たり前だろ、この二国は今睨み合ってるんだから」
やれやれとリアは肩を竦め、それに合わせるようにジェダの口が開いた。
「……父上の誤解だ。盟友だったのだ。きっと父上も、、気付いて下さる」
その言葉を言い終えるかどうか
ジェダの背後で、、ズドンと大きな音と地面が揺れた
「この場所を、通すことは…罷りならない」
全身を漆黒の鎧で身を包んだ、金髪の男性と禍々しいオーラを纏う黒龍
「……ジェファン」
「叔父上」
その二つの声は重なり、再び、、緊張がその場を支配した…




