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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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氷狼・フェンリル ㊦





『世話の焼ける勇者たちだ、全く』



雪の中から姿を現したサンダーバード


その背には全員が乗っていて……



「……ヒール・オール!!」



アリアも新しい回復魔法覚えたのか、そんな事を思った瞬間には、真っ赤な1という表示から、ぐんとHPが回復



『命拾いしたな、ヒヨッコども。我にカシイチと言うヤツだ』


待って、手伝ってくれるの当たり前じゃないの!?

いや、助けて貰ったのはありがたいけど!


『しっかし、あやつ。あれだけ頭を使って疲れんのは不思議だな』


氷の謎から地形利用から、確かに今までの神獣とは何か違う


「サンダーバード様は少し適当が過ぎるかと…」


そうだそうだ!もっと言ってやれガルーダ!

その気分で行動するのを少し何とか……


「まぁ、そこが良いところでも……」


「全然良くないからな!?」



あー!またたまらず突っ込んでしまったー!!



『して、そろそろ寝ても良いか?ガルーダ。仕事はしたぞ?』


助言に、召喚されて攻撃をしてやったし、助けてやった、と、翼で指をおるような動きを見せる。


「ダメです、サンダーバード様」


『カシイチを早速使うか。我は寝る』


「なんて理不尽な神獣なんだ……」


シゲの呆れる顔と、「まぁそんな方です」と完全に馴れた対応のガルーダと。


「アホ!呑気にコントやっとる場合か!」


ふっと正面をみれば、氷の狼は少し後退りしてシゲたちを観察している。

襲って来るでもなく、やや低い体勢を取り迎撃するような形にもみえ、自然とシゲ達も動きが止まった。


「今までの神獣って、基本的にガンガン攻撃しかけて来てたような……」


神獣にしても、ボスにしても…、今までとは一線を画す慎重ぶりだ。


「言うたやろ、フェンリルは石橋を叩いても渡らん性格やって」


勇者1から3まで、ずっと酷い目にあったんやで、とぶつくさ。


「なら、下に降りてる今がチャンスって事かな?」


リアが腰から太刀を引き抜き飛びかかれば、ガルーダは雷属性をハルバードに纏い攻撃を…


「よし、二人を援護しながら攻撃!」


シゲも剣を引き抜き、その背後では後衛メンバーが武器を一斉に構える


「……次の必殺技が来る前に終わらせなヤバいで!」


全員が本気でしばらく攻撃を繰り出すも、やはりそう簡単には倒しきる事は出来なさそうだ。


「硬い上に体力が多い!」


「出し惜しみなし、一気に畳み掛ける!!」



もう、MP温存なんて言ってられない


高火力の技の連発により、徐々に削れていくフェンリルのHP


残り、3割程、もう少し!そう思った瞬間だった



『……✕■■■』



再びフェンリルが高台へと飛び乗る


シゲたちの背後から追い風が吹き込み、カッと見開かれた瞳



「ヤバい」



遠吠えが響き渡り、、山々は迎合するかのように合唱を始める



━━絶氷乃風(ブリザード)━━



「……来る!!」


「サンダーウォール!!」


全員を包むように張られた結界


その外は一気に真っ白に…


セピアの結界は先ほどと同じく、、防ぎきりはしたが……


割れたウォール、突風で全員が四方にぶっ飛ぶ



『……』



すっと遠くの山々をふいと見上げるフェンリル



『……我は…、、◆△●△?』



ダメか?そう思ったが……


フェンリルはうなだれてぜぇぜぇと荒い息を吐き、、高台から滑り落ちるように地面へ



「……今が、、チャンス……」



しかし、全員の足もまた物凄い疲労で前へ進まない



「もう、大丈夫」



そんな全員の隣をすっと歩いて行くアリア


フェンリルの近くで、祈りの手を作る



「私、マナの女神の代行となりて、浄化します」



アリアの全身が光輝き……


浄化の魔法をかける


氷の狼は先ほどの神獣へと姿を変えていく



「強くなったな、凍慈」


その場にゆっくりと横たわるフェンリルを横目に、全員がその場に座り込んだ



「あのさ、気付いたことあるんだけど」


後ろにいた雪月花と凍慈へ向き直る


「あの氷の壁の文字ってフェンリルの文字だよな?」


「まぁ、そうやろな」


「あの文字は、私にしか読めないので恐らく…」


つまり、フェンリルの騎士にしか解読できないということ。


凍慈がど(・)う(・)し(・)て(・)読(・)め(・)た(・)の(・)か(・)は一旦脇に置いておくとして。


「村にあった石盤、覚えてる?凍慈は見てないけど…」


「ああ、あの……」


少し嫌そうな顔をした雪月花


だから、きっとこの気が付いた事実は嬉しいはずだ


「文字が違ってた。村にあった石盤は偽物だと思う」


「それは、本当ですか?」


ぱっと表情が明るくなる


「俺たちあの石盤は読めたけどさ、フェンリルの氷の壁の文字は読めなかった。つまり、そう言う事なんじゃない?」



まぁ、フェンリルが人の文字を真似したーとか言われたらあれだけど……


攻略とかはわからない。

だけど…、これが正解だったら良い、そんな事を思う。



[良かった…。村に帰って…、皆の誤解を解きます]



慌ててその場を離れようとした雪月花の背中へ



[……まぁ、村に帰って、くらいなら。俺も…付き合っても良いよ]



凍慈の言葉に目を輝かせて笑う



[ならば、誤解を解いて…宴の準備でもしておくよ。ゆっくりご飯でも食べよう]


[……おう]



そして、その言葉を言い終わった凍慈は……



「うーわ、最悪や」


そう言って、、座り込んだ……


「……何が?」



それは、いつからムービーだったのか


まだムービーの最中なのか、そもそもずっとムービーだったのか


それすらわからない、しかし、確かな事がある



[サファイアの宝玉を強化して帰ろっか]


ニコッと笑って後ろ、つまり、、シゲ達を振り返ったアリアの顔が



[諦めたんじゃ、なかったの?]


[アリア?]


 

背後で……、いや、見えない程遠くの空

 


[獲物を仕留めるならば、走らせよ]


 

黒い巨大な影が姿を現し

 


不自然に一部を黒く染め上げた

 


[走らせて走らせて、、疲れて足が止まるまで……。貴方の言葉だ、フェンリル]





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