↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
PR
84/127

氷狼・フェンリル ㊤




「……鹿に走ってとか、ちょっと無理が有りすぎない!?」


こっちもそこそこのスピードで走ってる気もするけど!


そして、前をジグザグに走る鹿との距離は詰まる事も離れる事もなく、不思議な程一定だ。


「この手のゲームではよくあるやつや。追いかけよう!捕まえよう!誘導しよう!」


「なにそれ面倒臭いっ!」


「で、今回のこれは……獲物を巣まで誘導や!」


「なら回りくどい事書かないでそう書いてよ!!」


「ど阿呆、そんなんRPGちゃうわ!まぁ、あとは勘が当たれば……」


一本道を走る鹿。たまに曲がったりはするけれど、見失う程ではない。


再び光の先へと飛び出れば、先ほどの鹿が飛び出して来た、壁があった道だ。


「……戻って来たんだけど!?」


そのまま鹿は壁へと向かっていく。なるほど、ジェファンの言う「鬼ごっこ」はこれの事か…。


「ってことは、右端に追い込めば良いんだよね!?」


ようやくシゲの目の前に謎の○のマークが4枚の氷の壁に現れる。

恐らく、チェックした先へと誘導できるのだろう。



「……右へは行かせるな、、、」



右端へとチェックしようとした隣で、凍慈がぶつぶつと呟く。



「ちゃう、、右のとなり、2つ目の氷の壁や!」


「……!!」


二つ目の壁へとチェックをつければ、鹿はその壁の中へと飛び込んで行く。



「……うう、、ダメだ、、まだ心の準備がっ」


壁の手前でややスピードが落ちるも……


「はいはい」


と、リアがドンっとシゲの体を押して壁の中へ


「扱い雑いんだけどっ」



そうして2枚目3枚目の壁を走り抜ければ、、辺りは真っ暗に染まっていた。


「ラスト……は、チェックは…なかったか…」


 

太陽の光などなかったその場所は……

 


「綺麗……」



最後の壁に向かって、、太陽の光が道となって続いていた……



「獲物は、帰り道を失う」


背後の道はなく、あったはずの4つの氷壁もたった1枚


最後の氷の壁へと足を踏み入れた先に……


「あ、これ……」


「……どういう事や?」


ボス戦直前お馴染みの、焚き火とその近くには金色の女神像…、そしてセーブポイント。


更には金の宝箱。パカッと開けば【氷狼のチャーム】を入手。


「……大事なシリーズの、アクセサリーか…」


金色の宝箱はこのシリーズなのかな、なんてチャームをぼんやりと眺めるシゲ。


「まぁ、、中ボスくらいはおるとは思っとったけど…」


隣でぶつぶつと何やら悩み中の凍慈を横目に、ステータスからアクセサリーをセット。


【氷耐性+40】と【凍結無効】の効果が発動する。


「……なんかよくわかんないけど、氷系には強くなったのかな?」


そのまま焚き火へと向かい、簡易キッチンが目にはいる。


「やっぱり、ボス前だよな~。氷系2連チャンか…」



そう言っているシゲを横目に……



「ええもんゲットしとったの忘れてた。俺が作ろうかな」


凍慈が鼻歌混じりに簡易キッチンへ。


「……和食?」


隣へと行くと、、見慣れた…いや、俺の住んでいた地域では見慣れない器具が。


「たこ焼き器や。一家に一台必須アイテムやで」


目を輝かせる凍慈。


いや、あんまり必要性を感じた事ない…。


「というか、よくあったな…」


ボールにささっと手際よく材料を。

タコとかも器用に見慣れた形へ形成されていく。


「……料理、時間かかるの珍しいね」


待ちきれなくなったのか、アリアも横へやって来て覗き込む。

いや、5分もかからずパパっとが可笑しいんだよ、普通料理は1時間くらいはやるもんだよ。


「たこ焼きは時間かかるもんや」


そう言いながら、いつの間にか全員がキッチンを覗きこんでいた。


「家でやった事あるけどさ、パンケーキみたいになった」


「それ市販の粉?」


「え?市販以外あるの?」


「あるある。あと、市販使う時は水は400くらい多めで卵は1つ追加するくらいがええで。市販の粉はカッチカチにして失敗なしとか言ってるやつ多い」


刻んだ紅生姜あればな~、と残念そうだ。

そういやたこ焼きに入ってるよな、紅生姜。


「やっぱないと違う?」


「全然ちゃうな。まぁ、粉の鰹節と乾燥小エビがあっただけ良かった」


あ、材料先に混ぜ混むんだ、とか、液体そんなに入れるんだ!?とか、手際よく、器用にくるくる回すのは見ていて楽しい。


「……月みたいだ」


そして、思いの外リアが気に入っていたのと、、意外とガルーダが猫舌だったのと…。


「セピア、、熱くないの!?」


「……これくらいなら?」


出来立てをパクパク食べる凍慈とセピアには驚いた。


「関西人は子供の時からたこ焼きの鍛えられ方が違うからな」


「絶対嘘だろ」


だから、この楽しい食事にさえ……


【氷耐性+30】が付与されました

【地形ダメージ無効】が付与されました

【経験値アップ+10%】が付与されました


の、テロップの文字は…なんだか少しだけ切なく感じた。


そして、、そのテロップは…凍慈の疑問を爆発させるのには十分過ぎた。


「……クリスタルの騎士は、、揃っとる…」


「え?」


「……フェンリルとの戦闘は、、ないはずや」


そう言われてみたら確かに…。


クリスタルの騎士の条件が、聖女が壊れた宝玉を修復する見返りに、、とかだったし、神獣とのバトルは壊れたとかで開始していた。


もうクリスタルの騎士は全員揃っているから、宝玉が壊れたとかはないはず…。


「なら、サファイアの宝玉の強化だね!」


アリアが任せて!と握り拳をぎゅっと作ってみせると、ニコッと笑う。


「……考え過ぎか」


「そうそう。そんな事ばっか気にしてたらハゲるぞ~!」


「俺がハゲたらシゲのせいや」


その言葉は聞かなかった事にして。


「よし、行くか……」




立ち上がって歩いて光を抜けた先


巨大なせり出す岩に横たわる青みがかった銀色の狼が目に入る



[フェンリル様!ご無事ですか!?]


背後からやって来た雪月花のその声に反応するかのように……


巨大な狼はゆっくりと体を起こす



『……獲物、大義であった』



全身、青みのある灰色と銀色の、、なんとも言えない毛並みの狼


美しい深い紫色の瞳は勇者一行、そして雪月花と凍慈を瞳にうつし、、少しだけ何かを言いかけて…、一度口をつぐんだ



『して、勇者よ。我が縄張りに何用か』



フェンリルが何を言っているかわかる


人の言葉を発してくれているのだろう


良かった、やっぱりフェンリルは無事だった…


[アリア]


うん、と頷くアリアがすっと一歩前へと踏み出し、手を合わせる


[宝玉の強化と補修を行います!私、マナの女神の………]


そう言ってから、アリアが辺りをきょろきょろと見渡し…、そして…、再びフェンリルを見つめて…


『……こうするしか、守る方法がなかった』


その言葉と、フェンリルの体から黒いモヤがユラユラっと揺れ、その場にアリアはがくっと座りこんだ


[アリア?]


[フェンリル様、、宝玉は……まさか?]


アリアの震えながら発されたその言葉に、、フェンリルは目を細め…、、


『………邪神の、、腹心に……壊……✕■○○、、』



ゲホッという咳き込み


大量の血が口から溢れて、やがて巨大なサファイアの宝玉が大量の黒い液体と共に吐き出された……



[フェンリル様!!なんという無茶を!!]


『……我、△●●△□◆』


パキッパキッと周囲の僅かな水分も凍り付く音と


銀色の毛並みはどんどんと青く、そして透明色へ……



【侵食されし氷狼・フェンリル】


そのテロップと同時に、氷の狼と化したフェンリル


そして、ムービーが終了した



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。