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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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フェンリルの騎士と雪月花



準備の為に向かった武器防具屋。


「閉鎖的な国の割には揃ってるよね」


月の都も大概閉鎖的な国だろ、という突っ込みは一旦引っ込めた。


「大陸側から定期的に商人が来るんです」


「……何買えば良いかさっぱり過ぎる」


普段凍慈に頼りっぱなしだったので、そこはちょっと反省しようと思う…。


「氷属性の敵が予想されます。交易品の雷シリーズがよろしいかと」


「なるほど……」


そういえば、氷属性の弱点は雷属性だって言っていた気がする。


ガルーダに勧められるまま買い物を進めて行く。



「フェンリルの行き先とかに心当たりは?」



雪月花曰く


ここ1ヶ月程、フェンリルがサファイアの宝玉と共に姿を消したらしい



「氷結山からは出られないと思います。が……、なにぶん最近は吹雪が凄く中々山へは…」



本来、今の季節ではこんなに吹雪や雪に埋もれてはいないとか。


それを【フェンリルの怒りだ】【暴れている】と言っているらしい。



「異常気象は恐らく邪神によるもの。凍慈は関係ありません」


「……説明は?」


「しましたが…」


「まぁ、、馬の耳に念仏って所か……」


その言葉に、全員が「ん?」という反応を示した。


「……えっ、、もしかして……このことわざないの!?」


一旦、ことわざの説明をするも、、いまいちピンと来なかった事に今度はシゲが驚きを隠せない…。


「馬は賢いので、人の言葉は理解しておりますし」


「………」


「そもそも、馬に念仏とか、やってる奴がアホじゃないか?」


「………」


「ことわざ……は、ちょっとわからないけど。あれかな、ゴブリンに警告って“先人の知恵”はあるから、それみたいな感じかな?」


待って待って待って。

そっちの方が俺にはわからんのだが……??


え?なんでみんなアリアのその謎のことわざ?に、「あー、なるほど」みたいになってるの??


「えっ、、犬に論語とか暖簾に腕押しとか、、ないの??」


「はじめて聞く言葉ね」


セピアが肩をすくめ、説明をすればやはり知らない言葉へ。


「ゴブリンに騎士の心得」


「ゴブリンに情けをかけるべからず」


「花畑にゴブリン」


「弱いゴブリンほどよく騒ぐ」


矢継ぎ早に皆からゴブリンへの悪口が降り注ぐ。


「待って待って待って!ゴブリンの扱い可哀想っっ!!」



そっか。そりゃ、アリアも「ちょっとお散歩行きましょう」みたいな感じで退治行こうとか言うわけだ……。



「凍慈、、頼む、、今すぐ戻って来てくれっ!!」



歩きながらふと思い付いたことわざを出してみる。



「鬼に金棒とかは、、流石にわかるんじゃない!?」


「鬼(オーク)に金棒?奴らもとから持ってるじゃないか」


「…………あ、はい」


確かにゴブリンとかオークとかこん棒振り回してたわ…。


「あれは?虎に翼とか……」


「虎(ネコ)に翼?なんだか可愛いね!」


「…………え、あ、うん」


その言葉を聞きながらガルーダは思い耽り……


「恐らく強いものに強い武器という意味か?だとすると……、魔法使いのベヒーモス…という言葉ならあるが……」


「あ!それアルヴィーから聞いたことある!」


そんな言葉聞いたことはないよ…


「ベヒーモス……?」


待って待って…。


ゲームは全然知らないし、モンスターも全然知らないけど、その名前は知ってるんだが、どういう意味だ??


「うわ、何それ最悪」


アリアとセピアも眉をひそめる。


「月の都とかそういう言葉沢山ありそう」


リアは耳のあたりの髪の毛を少しくるくると指で弄ると、少しだけどや顔をした。


「賢者三人揃えど龍神王に勝る知識なし。全世界共通の言葉ならあるよ」



あ、これあれだ。

三人揃えば文殊の知恵とか言ったら何を言われるかわからないな……?


「……よし、ことわざは今後は封印しよう、そうしよう」



やっぱり凍慈!はやく戻って来てくれ!!!



「長老。氷結山へ勇者一行と向かい、サファイアの宝玉を強化して頂きます」


雪月花により案内された、長老の家



「ならん」


「何故か理由を。長老」


「唯一のフェンリルの騎士を失う事になるからじゃ」


「また、そんな子供騙しを…」


パンっと手を叩き、雪月花の言葉を遮る


その音を合図に、奥から神官が現れて石盤を運び込んで来た


【邪神現れし時、双子産まれ落ちるであろう】


【先に産まれし子は騎士に、後に産まれし子は邪神の騎士に】


【邪神復活を阻止したいのであれば、後に産まれし子は生きていてはならない】


石盤を読む声はしゃがれていて聞き取りにくいのに、、ハッキリと頭の中へと入って来る。


「アイスランドに伝わる伝承じゃ。そのむかし、フェンリル様がこの石盤にお書きになったそうじゃ」


一部の者にしか知らせていないというその石盤


「月の都も大概なしきたりだと思ってたけど、これに比べたら可愛いもんだね」


そっと耳の上を触りながら、窓から外へと視線をうつす。


「……わかりました」


「雪月花!?」


「おお、わかってくれると思って…」


「ただし。先に11年前に私と凍慈についた嘘の清算をして頂きたい」


ギロリと睨み付ける視線に怯んだ長老は視線を落とす



「騎士に、、なってから……」



雪月花の握りしめる手は、もう音はしない



「フェンリル様と会話できるようになって、ようやくわかりました」



床に赤い染みが広がる



「あの日の全てが……嘘だったと……」


声を震わせ言葉を詰まらせる雪月花


アリアはそっと手を添えて、、光が傷を癒す


「この人に…、許可を取らなきゃダメかな」


アリアの冷たい声音が部屋に響く


「マナの女神様は、こんな事は望まれない」


石盤を見つめる瞳は、どこか軽蔑の眼差しだ


「……雪月花、行こう」


うなだれたまま、、言葉を失った長老に背を向けて……


入り口へと足早に移動を開始した……


 

 

『なんだ、バレたか……。上手くいかぬものだな』


 

 

そのどす黒い声は、、吹雪にのってシゲたちに届くことはなかった




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