幽霊船からの脱出 ㊦
この船がここで止まる
それはすなわち、全滅を意味していた
「……な、何か方法を」
「…私のかわりは居ますが、この船と勇者のかわりはおりません。ご理解を」
淡々と言うガルーダの側に、、サンダーバードはふわっと降り立つと、くるっとシゲを見つめた。
━━━お前のかわりはいくらでもいるんだよ━━━
いつかの上司の言葉が、脳裏を過った…
「……そんな事ないよ」
━━━だけどな!この会社のかわりはいない、お前と会社、どっちが大切かわかるよな?━━━
「誰かのかわりはいないんだよ。だから、そんな事言わないで…ガルーダ」
あの日、、誰かに俺が、、そう言って欲しかった言葉だ
「うん。そうだよ。何か方法はある」
再び、アリアのクリスタルが煌々と光輝く
「仲間か船?そんなの、仲間に決まってる」
うん、と頷いたアリア
「この船を、、浄化します」
黒い靄はキラキラとした光の流砂となって空へと姿を登っていく
「……船長さん、、みんなと会えたかな?」
「きっとね。今頃、暖かいところで……。アイスランドについたって言ってるさ」
「うん」
その背後。
『…………✕✕✕✕』
ガルーダの頭を数回つついたサンダーバードは、再びガルーダのクリスタルへと姿を消した。
「文句言われてら」
あはは、と笑ったシゲと。
「何言うたかわかった?」
「わかんない。けど、そんな気がした」
突如。止まっていたはずの船が足早に動き始める。
「……動いてる?」
そして、セピアがにこっと笑って下を指差す。
「オルヘ隊!!」
巨大な鯱が船の錨を咥え、他の鯱たちも紐やらなにやら咥えたり押したりしている。
「ありがとう!オルヘ!」
物凄いスピードで動き出す船と。
甲板で笑っているみんなを横目にリアはガルーダの隣へ。
「……次、あんな事言ったら僕も怒るよ」
「ああ、二度と言わない」
ドン!!と海岸に流れ着いた商船の周りを騎士が囲んでいた。
「た、隊長!!」
濃い白い靄
騎馬が近付き、船まで近寄る
「………オクタビウス。そうか、勇者を送り届けたか…」
どこか、、聞き覚えのある落ち着いた声と、銀の髪が北風に揺れる。
「ダメです、彼等以外は………」
すっと手渡された日記をパラパラとめくり、そして最後のページへ。
「この船は250年前に消息不明になっていた船、オクタビウス。陸路から来た商人の話が我が国に残っております」
そして姿を現した騎士
胸には狼のエンブレムが光る
「船だけでも、、彼らは未開の航路を切り開いたのですね」
そう話しかけてきた男を全員が3度は見る。
「………最早、日付はいらないだろう。勇者がアイスランドへの航路を開いてくれた。夢は現実となったのだ、ありがとう勇者よ。愛しのオクタビウスと友に、私も仲間の元へ……」
船長の日記の最後を読む声が響く。
しかし、目の前の人物のせいで内容が頭に入って来ない。
シゲなんて往復何回かわからない。
「……凍慈、久しぶりだな」
━━そこには、、凍慈と瓜二つの人間が立っていた━━
オクタビウス、少しだけ長くなりました。
名前や内容の一部などは史実の幽霊船・オクタビウスをモデルにしています。
ここからは少しだけ重たい話が連続しますので、その前に明るいパート(?)を入れれたかな。
最終章へ向けたカウントダウンが開始。
まだまだありますが……。
次はメンバー(ややリア視点)の過去エピソードを挟み、「アイスランド編」です。
次の話は7月7日に更新します。




