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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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幽霊船からの脱出 ㊥



階段の先は甲板だった。霧、靄、、何かが前方でゆらりと動いた



『welcome to オクタビウス』



どこかで聞いた囁きが…、凍える海風に乗って全員の体を吹き抜けた。



「あれが、ボス。確か…コールドゴースト?」



パキパキっと音を立てて、足元が凍って行く。



「来るよ」



見た目は全身氷だ。


「グールと氷足したような奴やな」


「グール?」


グール、、つまりゾンビかな?

言われてみると……そんなような、、とりあえずちょっと見た目は確かに気持ち悪い。


『待ちわびたぞ……。先代勇者はダッチマンに先を越されてしまったからな。さて、、この船の肥やしとなるが良い、勇者よ』


薄気味悪い声が響く…


シゲは……喋るのか、、と驚いていた…その隣。



「人の夢を……、努力を……、奪うなんて許せない」



珍しくアリアの声が低く通る


杖を地面にドンと突く


一瞬にしてカッと光が上空を明るく照らし、、まるで真昼のような明るさに……



『ギャァァ!明るい!!』


手を上にあて狼狽えるコールドゴースト。


「聖(セイント)なる光(ライト)」


上空の光が巨大な剣へと姿をかえ、、一気にコールドゴーストへと降り注ぐ。


グヘッと声が響き、、真っ赤な【3000】のダメージ表記に…この船乗ってから一番背筋が寒くなった気がした……。


「………ひっ、殺技、凄い威力…」


「まぁ、弱点属性やしな」


一番、、アリアを怒らせない方が良いなと思った瞬間だった……。


「……ガルーダをどこへやった!?」


キラッとリアの太刀が満月を反射させながら、コールドゴーストを切り付ける。


『この私を倒さねば仲間は助からんぞ』


くくくっと笑ってる


「あいつ、なんであんな余裕綽々なんや?」


「えっ?」


「ダッチマンの時は幽霊モンスターの弱点の聖属性のヒロインが捕まって大変やったけど、、おるしな」


聖攻撃魔法を連発させるアリアをチラッとだけみる…


「なんなら激おこだよ」


ん?ダッチマンの時はヒロインが捕まっ………


「……誰かが捕まるの、わかってたのかっっ」


「怖過ぎてそこまで頭回るかアホ!!」


なにそれ理不尽っっ!!!


全員で必殺技を叩き込み、あっという間にゲージは半分近くにさしかかる。


「ほな、いつも通り赤ゲージまで」


「…………あーーーー!!!」


こちらもシゲの「赤ゲージ」発言でようやく思い出した。


「なんや」


「ミノタウロス!!」


「ミノタウロス??あのクソ面倒な怪力モンスターがどないしたんや?」


「ジェダと一緒の時、ボス早期撃破ボーナスとか言うのでミノタウルスの心核ゲットしたんだけど!!」


「!??」


あれ、驚いた顔してる?って事は知らない?


「まぁ、ジェダは一撃だったから出たのかもだけど……」


「…………一撃?ワンパン?設定アホなんか?」



うん。気持ちはわかる。めちゃくちゃわかる。


リアルで見たら何これどういう事?状態だぞ?



「待てよ?もしかして?」


そして何やら納得したように呟く。


「…………よし、一旦強奪せずにやってみるか」


「OK!」


「おしゃべり、終わり?さっさと倒してガルーダ助けるよ」


タンッと飛び上がるリアの背後


巨大な月をバックに薄桃色の花びらが舞う


【月の導き】

月属性攻撃

魔防アップ

ムーンセイバー付与


「……だね」


召喚魔法、そして全員で一番強い技と魔法の連打。



『こんな、ところで……、、だが、、貴様らは……船か仲間かを選ぶことに……』


そう言って消えて行ったコールドゴースト。



【ボス早期撃破ボーナス・コールドゴーストの心核】

【ボス早期撃破ボーナス・経験値+5%】

【ボス早期撃破ボーナス・獲得金+5%】



「……うーん、もしかして仕様変更か?まぁ赤ゲージ縛りの強奪システム批判されとったしなぁ…」


「え?そうなの?」


「好きに仲間選びたいのに、強奪せなあかんからシーフ必須って縛りがあったからな。特に心核は重要アイテムやし」


そんな会話をしている、その先。

コールドゴーストがいた更に奥で、キョトンとした顔のガルーダが現れる。


「……私は、一体…」


ガコン……


誰も舵を握っていないはずの船が、なおもゆっくりとアイスランドへ進み続けている


「……?」


ガルーダが静かに自分の手、そして周りを見つめた


「あいつ倒したのに……、ガルーダはまだ捕まってるってどういう事?」


真っ黒い檻の中ではあるが…


そして、、その背後で蠢く黒い影…



「……仲間か、、船?」



その言葉はややひっかかったが、、


「後ろの皆さまと、、そしてこの船を浄化します……」


アリアが浄化しようとした、その瞬間


「いや、まだ待ってくれ」


ガルーダが指差す先……、、霧が晴れ朝日に照らされるその先…


「アイスランドだ」


氷の山々が連なる世界が一気に飛び込んで来た


雪は再び降りはじめ、辺りは流氷がまばらだが散見される


「……なんだか、、長かったような、だね」


「…でも、もう少しだよ」


ぎゅっとアリアが拳を握りしめ、、そしてリアが不思議そうにガルーダへ視線を投げた。


「なら、尚更…」


「……………コールドゴーストを倒したあたりから……。私の力が、どうも動力になっているようです」


「つまり、、アイスランドへは…」


シゲの言葉は、、枯れたような声に……


「はい。浄化してしまうと……船はここで……止まります」


まだ、、距離は1日か、、それ以上ある


冷たい北の海風が、、再び全員の間を駆け抜けた……


理不尽な現実と共に……



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