幽霊船からの脱出 ㊤
「………そっか、、この船は、勇者一行の旅路を楽にしようと出航したんだね」
アリアはそっと船長の日記に手を合わせる。
「沢山の犠牲の上に、今僕らの進む道があるんだ」
リアが「さぁ行こう」と部屋を開ける。
冷気が一気に部屋へと流れ込むが、もう誰も出たくないなんて口にはしない。
「えーと、まずは祈祷の部屋、マナの部屋、死霊の部屋、船長の部屋、、そしてまた……死霊の部屋か」
順番に灯を消していくも……。
「何もないね……」
アリアが小首をかしげ、メモを見つめる。
とりあえず、今度は逆にしてみる。
「何も起きないな」
灯を付けるセピアも他のメモを。
「………俺は気付いとったけどな。なんで誰も気付かんねん……」
「え?」
「いや、このメモ順番にみてったら普通に怖いやろ!」
相変わらず凍慈だけは顔色はよろしくない。
まぁ、ホラー嫌いって言ってたもんな…。
「まずメモ2や。不思議だ。毎日1階の松明が決まって消える。祈祷の部屋、マナの部屋、死霊の部屋、、そして船長の部屋。つまり、最初は勝手に消えとったんやろ?」
あ、と、そのままメモ6へと視線を落とす。
「燃料維持で不要な時は消せと船長は言う…。だから消さなきゃならないが…、メモしないと順番を忘れてしまう。
祈祷の部屋、マナの部屋、死霊の部屋、船長の部屋、、そしてまた……死霊の部屋。
最初は勝手に消えてたのが、これは何故か船員が消しだしとる。しかも何故か順番があって、そんでこっちは二回死霊の部屋が出てくる」
パッパッと廊下の灯りを全て消していく凍慈。一気に真っ暗だ。
祈祷の部屋、マナの部屋、死霊の部屋、船長の部屋の灯りを付ける。
「……で、このメモ5が最大のヒントやったんや。夜、廊下、松明の灯り。で、付けたままだと何もない。からの、灯りが関わっているのだろうか?や」
今度はUターンして同じ順番で消していく。
真っ暗の中、、そして最後に……。
死霊の部屋の灯りが灯され……暗がりに死霊の部屋はまるで浮き上がったようだった……。
【welcome】という声と
━━━ガチャ!ガタン、、カガガ━━━
「部屋の中からだ」
ギィィと開ければ、、黄金のマナの女神像とセーブポイント。
そして、、階段が部屋のど真ん中に……
『……✕✕○△!!』
その背後、再び何かがシゲに襲いかかり、、シゲ以外が大絶叫する。
「ん?どうかした?」
振り返った先の他のみんなは腰を抜かしたかのようにしゃがみこんでいて……。
何か通りすぎた気もしたけれど、、とりあえずみんなはどうしたんだ?
「アホーー!!後ろ後ろ後ろ!!!」
「あはは、何そのベタなやつ」
ふっと振り返った先、、階段の前に立つ顎ひげと見慣れぬ服を来た初老の男性が……。あれ?なんか怒ってる……?
「………え?知り合い?」
「んなワケあるかー!!どうみても幽霊やー!!!」
「あはは、そんな訳ないだろ~!そんな非科学的な事……」
そういえばここ、非科学的な場所だった
「え?マジ?」
ふわっとサンダーバードが姿をみせる。
『……行くなと言っているな。そういえば探索中もずっと、帰れだのなんだのと』
「探索中?そんな事あったかな??」
『……』
『……』
「あかん、ホラー耐性が高過ぎるっ!!」
暖炉に火を入れ、軽食を。
『250年、、、言葉を話さないと、、言葉を忘れてしまっていた……』
この船の船長だったと言う……幽霊?
言葉忘れたとしても奇声はどうかと思うぞ??
『勇者には、引き返して欲しかったのだ……。北への道は、、この船にはない』
探索中に何かしていたらしいけど、全く記憶にない……。
『我々は敗れたからな。あるのはこの先にいる、恐ろしいモンスター』
パチパチと暖炉の火に照らされた幽霊船長の無念を思うと…。
「………そのモンスター、俺たちが絶対に倒すよ。ガルーダを助けて……。そして、、一緒にアイスランドへ行こう!」
そう言ったシゲを、、少しだけ笑って見つめた船長。
『ありがとう、勇者よ』
凍慈の軽食を食べました。
【氷耐性+25】
【闇耐性+25】
【魔防+30】
が、発動しました。
そのテロップを見ながら、階段を登って行く。
その後ろ姿を見送ると、船長は再び自身の部屋へと戻る。。
『さて。日記の続きを書かねばならんな』
日記の最後のページを開く。
さてと。今日は、、いつの何日だろう。
もうそんな事は良いか、時を超え勇者と出会えたのだから…。
『最後の瞬間まで…、一緒だぞ……我がオクタビウス号よ』
すらすらとペンが日記の上を走る
外から見える景色に少しだけ微笑んで……
パタン、と日記を閉じる音だけが部屋に響いた




