幽霊船・オクタビウス ㊥
ギィィ………
と、硬く錆びた部屋を開ける音が響く
「………えっと、、あ、机……」
不自然に揺れるハンモックと、ピューとすきま風の音が響き、部屋の物をガタガタと揺らす。
月明かりが差し込み、少しだけ明るく感じる部屋。
その背後では不気味に光る二つの光がシゲをジッと見つめる…。
「やっぱ下から見たら満月って小さいんだなぁ」
しかし、シゲの目線は……窓の外に向いていた。
『そんな事言ってる場合か』
「へいへい……」
すっと視線を船内へと戻す。
窓の外にうつる謎の不気味な影は、、見逃された…………
「机の中かな」
机の引き出しには何もない。
いや、“ポーションをゲットしました”とかいう不必要なテロップはあるけど!!
そして目に止まる……
「……………宝箱」
『ははーん、それだな』
ファフニールははやく開けろと急かす。
「なんかこう、人の部屋の宝箱はまだ抵抗が…」
『律儀な奴だな。過去見たことない奴だ』
と、サンダーバードは言うけど…。
そりゃそうだよ。俺の世界でやったら犯罪なんだぞ……。
パカッと開いた宝箱の中から、【メモ3】を手に入れましたの文字。
「“ついに隣の3号室の仲間が氷になってしまった。もう少ししたら薪も底を尽きるだろう。ああ、おしまいだ…。次は俺だ……。祈祷の部屋で祈りを捧げよう…”」
『火の魔法が使えたら良かっただろうに』
ファフニールがお気の毒に、と言葉を発した。
そっか、薪がなくなっても炎魔法が使えたら多少は彼らも……。
「そう思うと…、ストーリーだけどさ、本当お気の毒だよね。本当のオクタビウスも……」
ざっと見渡して、特段気になる事はもうない。
再び部屋を出て隣の部屋へと向かうシゲの背後で黒い影が揺れる
『…………シャーーー!!』
背後で黒い影が再びシゲへと飛びかかるも……
『喧しいぞファフニール!!』
『あーん!?』
バチっと雷と炎が背後でぶつかって辺りを明るく照らす。
その間にもシゲは隣の部屋へと入り、せっせとメモ探し。
「もう、、肩とか背中で喧嘩しないでよねー」
5つ目の部屋のメモを手に出てきたシゲは「はぁ」と溜め息を一つ吐き出す。
「メモ4。航海を後悔、しまった、そんな事言ってる場合じゃない。悪い予想しか思い付かない。そんな事はもうよそう。ああ!やめられない!マナの女神よ!助けてくれ!」
『…………』
『…………』
「…………サムッ、、」
俺も誰か助けてくれないかな?
マナの女神様に頼んだら良いのか??
勇者とか言う割には結構不遇だと思うんだけど??
「急に凍慈みたいなふざけた奴出てくるじゃん……」
メモを読み直しながら6つ目の部屋の扉に手をかけようとして、、そしてシゲの動きが止まった。
「……………薪が、、なくなっても?」
暖かな部屋に待たせた仲間の姿がフラッシュバックしたかのように、一気に脳裏を揺らす
「みんな、、どうしてあんなに寒がってたんだ……?」
だって、、リアはちゃんと薪を入れて………
「………部屋に戻らないと」
無言で来た道を振り返った瞬間、通路を塞ぐようにサンダーバードがドンとたたずむ。
『……全ての部屋を探してからでも遅くはあるまい、勇者よ』
「で、でも!」
『……俺様が先に言っただろう。セピアには炎の魔法がある。まぁ大丈夫さ』
たぶんな、と呟いた小さな声は……少しだけ自信はなさそうだった。
ふうっと息を一気に吐き出し、再び大きく吸い込む。
「………残り、7部屋、、スピード上げて探そう!!」
ガチャっと6つ目の部屋の扉を開いた。
『……人はマメだな』
廊下の松明に火を灯しながら集めた7枚のメモをみているシゲの手元を覗き込む神獣2体。
重い上にむさ苦しい……。いや、サンダーバードはふわふわだけど……。
「メモ1・やはり北への道は我々には早かったのか。光が消えていく。しかし、それより……この船に何かが乗り込んだ」
不気味に物音がなくなった廊下を足早に移動して1階へ。
「メモ2・不思議だ。毎日1階の松明が決まって消える。祈祷の部屋、マナの部屋、死霊の部屋、、そして船長の部屋」
二階の廊下の松明は全て付け、最初とはうってかわったように廊下が明るくなる。
そしてやはり、部屋に名前はない。
「………二階でヒントを取って、、一階が謎解きみたいな感じか…?」
階段を降りる。
一階の廊下はもう真っ暗だ。
階段付近の松明を入れていたであろう壁掛けの器具に、二階で拾った松明を入れて灯をともす。
「やっぱり。これは、、用具の部屋」
どんどん松明を入れては灯を灯して……
「メモ3・ついに隣の3号室の仲間が氷になってしまった。もう少ししたら薪も底を尽きるだろう。ああ、おしまいだ…。次は俺だ……。祈祷の部屋で祈りを捧げよう…」
その言葉は、、少しだけ震えた………
「祈祷の……部屋?」
泊まっていた部屋のプレートに書かれている
【祈祷の部屋】の文字
ドアノブにかける手は、、冷えきっていた




