幽霊船・オクタビウス ㊤
部屋を出ると先ほどよりも更に暗くなっていた。
「あ、そろそろ 夜か…」
そう思うと、夜の探索は初かも知れない。
普段は凍慈に止められて、行動するのは朝から夕方ばかりだった。
「……うーん、オクタビウスか。何かしら脱出の条件があるんだろうけど…」
13年間北の海を彷徨い、中の乗組員は氷漬けで発見。
まるで瞬間凍結されたかのような姿だったという。
現実の情報としてはそんな感じだけど……。
「流石に難しいって事はない…はず…。しっかし、ファンタジーの中に入れるには中々のチョイス」
二階へと足を踏み入れる
目に見える程の冷気がふわっと抜けていき、更に廊下は暗い
シゲの背後で何かがギラッと光る
『………○✕✕□!!』
「……お、壁掛け松明」
壁掛け松明にぼっと火が付けば、範囲は短いが辺りを照らす。
「ジェダの見てて良かった。見てなかったら気が付かなかった」
洞窟でジェダが壁掛け松明に火を灯して行くのをふと思い出していた。
『………』
「えーと、客室は12室か…。多いな」
━━ドンドン!━━
と、突如背後で音がなるが、シゲは特段気にする事もなくそのまま部屋の中へ
「……お、ここにも灯りつけるとこあるな」
ふと1階には壁掛け松明がなかった事を思い出す。
「……もしかして、、灯り?」
この部屋の中は壁掛け松明になる木材がいくつかある。
「そう言えば、、そんな感じのがあったよな」
泊まりの部屋の引き出しのメモに船の名前があったのだから、恐らくどこかに謎を解くメモがあるはずだ。
「あ、あったメモ。“やはり北への道は我々には早かったのか。光が消えていく。しかし、それより……この船に何かが乗り込んだ…”」
読み終わり、少しだけ辺りを見回した。
背筋がヒヤリとしたが、、まぁこれだけ寒いしな。
「ここは、、船員の部屋が並んでるのかな?」
開いた先、、
「わっ!?」
人の形をしたような見た目の氷と、、そしてメモ
「“不思議だ。毎日1階の松明が決まって消える。祈祷の部屋、マナの部屋、死霊の部屋、、そして船長の部屋……”。えっ、部屋に名前があったんだ」
隣の三つ目の部屋の扉に手を掛ける…
ガチャっと開けば、、中から冷気が一気に外へ……
「うわ、、寒い…」
息が凍る
手がかじかむ……
「(流石にちょっと気味悪いし、寒いし……。防寒着系買えば良かったな……)」
その背後で、
再び、、黒い影が動き……
「えっ!?」
肩をポンと掴んだ
「ぎゃぁーーーー!!!?」
『勇者よ、貴様失礼な奴だな』
シゲの肩に乗れそうな……そんなサイズの………
「ふ、、ファフニール?」
『………幽霊には驚かんのに、俺様をみて悲鳴とは…、どうなっているんだ全く』
『人相ならぬ、神獣相が悪いのだろう』
これまた肩に乗れるサイズの……
「さ、サンダーバード!?」
良かった、これでガルーダの居場……
『………神獣相だと?俺様のカッコいい見た目の何処が悪いというのだ』
『阿呆を相手にするとこちらまで阿呆になるから関わりたくないのだが……』
『良いだろう、表に出ろ』
「……………え?待って待って、何しに来たの??」
右肩にファフニールが
左肩にサンダーバードが
止まり木に腰を下ろす鳥の如く落ち着いているが…
「………すっごい邪魔っっ!!重たいしっ!!」
どうやらこの二体レベルになると、サイズを変えれるらしい。
『勇者は凍結耐性皆無だからな。俺様が側で炎の加護を出してやる。バカ鳥にはできん芸当だ。感謝しろ』
そうドヤる上から目線のファフニールに、サンダーバードは鼻で笑う。
『氷といえば雷。脳筋バカいずとも、我だけでなんとかなったというに……。やるだのなんだの押し付けがましい。だから神獣相も悪くなるのだ』
『………』
『………』
『ようし、やはり表に出ろ』
この二体の相性最悪だ!!
最初に気が付いてたけどね!!
「もう!いい加減にしろ!一人で探索………あれ?」
『どうした?金ぴか性悪鳥がなんかしたか?』
『気が付いたか。阿呆トカゲドラゴンモドキが要らぬだろう?』
「二人の言葉がわかる!??」
契約者としか言葉がわからないのかと思ってたんだけどな
今まで神獣は何言ってるかさっぱりだったのに………
『“神獣語”は契約者にしかわからんが、我くらいの卓越した知能があれば“人語”くらいは話せる』
『なにが卓越した知能だ、金ぴかは歳食ってるから話せるだけだ』
『阿呆トカゲと同じにされては困る』
「……わぁ、詳しくアリガトウ……」
既にげんなりしているシゲと…。
右肩と左肩で騒ぐ神獣と。
その背後をずっとつけ歩く影と………。
「ダメだ!はやくクリアしたいっっ」
これあれだ、、わからない方が幸せだったかも知れない
理不尽過ぎるとぶつくさ文句を言いながら4部屋目の扉を開いた。




