アイスランド行きの船に揺られて………
満月祭を堪能したシゲたちは余韻を胸に、最北端の国を目指すことに。
「アイスランドには一旦、城塞都市まで戻る必要がある」
と、言われたので城塞都市までファストトラベル。
「マウィー様、港に見慣れぬ船が」
巨大な3本マストの商船にも見える船が、いつの間にか一隻停泊している。
真っ白い帆を風に揺らして…。
「……こんな時期に?商人かしら?」
「まさか、、最近巷で噂の………」
そんな会話の最中に現れたシゲ達。
マウィーの表情は少しだけ明るくなる。
「…ご無事でしたか」
「マウィー!」
マウィーに会うのもどこか懐かしく感じる。
「……酷い状態だね」
城塞都市を見つめるリアがポツリと呟く。
「騎士隊が、、大勢……。少しだけ人手が足りなくて。でもゆっくりやるわ」
「…なら、月の民に手伝うよう、手紙を出しとくよ」
そう言ってからは早かった。
ササっと紙にペンを走らせて封筒へ。
「え!?そんな、」
断ろうとしたマウィーを横目に、美しい鳥に書簡を渡す。
「どうせ、祭りするくらいしかやることないんだし」
こらリア!もっと言い方あるだろっっ!!
そう思ったけれど、、マウィーはきゅっと唇を噛み締めて。
「ありがとう」
ぎこちない笑顔のマウィーと。
「…水くさい事、言わないで」
そう言って笑ったリアは、はじめて本来の笑顔に見えた。
堅さのあったマウィーの表情も、、今は少しだけ柔らかくなった気がする。
「城塞都市の船ですが、、軒並みやられてしまいまして……」
「まぁ、そりゃそうか」
「アイスランドにどうやって行く?」
シゲはそんな会話を横目に…。
「そこの旅の方。アイスランド行きの船がありますよ」
シゲに話しかけてくる謎の商人。
「え!?」
これぞまさしく渡りに船?
「勇者様御一行ですから。今ならどなたも0ルート」
「やった!!乗る乗る!!」
はじめて【勇者一行】の恩恵をもらった気がするぞ?
「船に乗せてくれるって!しかも勇者一行だからタダ!」
意気揚々とみんなの元へと戻って報告するシゲと。
その話しを聞いて、ラッキーだね、なんて喜ぶメンバーと。
「あーーーー、最悪やァァァァ!!」
ただ一人だけ、明らかに可笑しな行動になる凍慈と。
「へ??」
「絶対に嫌や!!このあほ!!オルへ隊が居るやろ!!!」
「あ、そっか、オルへ隊がいた」
━その話しは━
━もう物語が進行していて不可避な現象になっているのか…━
「あんなくそ寒い地域の海水なんて、いくらアトランティスのシャチの背中といえど凍え死ぬよ」
やれやれとリアは言う
「確かに。ここは船に乗るのが良いかと」
ガルーダは相槌を…
「そうね。3日以上も極寒の海は無理だと思うわ」
そしてセピアも流されるように
「まぁ、タダだしさ!」
騎士3人にそんな事を言われてしまうと、もう乗る前提に…。
もちろん、シゲも極寒の海にシャチの背に乗って行くのは危ないよ、と、凍慈を説得。
「関西にはな!タダより高いもんはないゆー言葉があるんや!」
なんだか素敵な言葉をありがとう。
ても待って、ちょっと待とうか。
普段人の家から拝借しているのはタダじゃないのか??
「どうせストーリーで不可避なんはわかっとるけどー、、あー、乗りたくないー」
「???」
「せめて準備だけはしっかりやぞ!!」
「わかったわかった」
項垂れる凍慈と一緒にアイテム、食糧を買い込む。
その背後では、城塞都市街人が買い物へ訪れていて、店内はやや賑わいをみせる。
━━なぁ、知ってるか、“幽霊船”の噂━━
「最近目撃されてるってやつ?」
「何でも……乗った人はみんな【 】したって噂の……」
「お前らそんな幽霊とか、信じてるとかいうなよ?」
そんな、他愛もない街人の会話は、シゲの耳を素通りした。
「よし、行くか!アイスランドへ!」
港まで行くシゲ達を見送るマウィー。
「スクーナー型帆船か、、砕氷船じゃなくて大丈夫なのかな」
ふと過った一抹の疑問も……。
まぁ、アトランティスの時も海底に魔法とかで行ったし、こんなもんなのかな?
「………なんだか、不気味だね」
船に一歩踏み込んだアリアは、少しだけ身震いを……。
「この船、少し寒いからじゃない?」
勇者一行が全員船へ乗り込んだ、その瞬間
「さぁ!船が出るよ」
━━ガコン━━
鈍い音が船体に響く
足元が揺れ、、ゆっくりと船は城塞都市を後にする
「…勇者様達は次はどこへ?」
見慣れぬ木造の商船はトルネードの風を受けてどんどんと遠ざかっていく
「確か…、アイスランドだと言っていたわ」
何気なく答えたマウィーと、、その答えに……副官は少しだけ声のトーンを落とす。
「………アイスランド、、あそこはいまだに航路が確保されてないと聞きましたが…」
あっ!とマウィーは慌てて振り返る。
海上は靄がかかり、、船を視界に捉える事は出来ない
うっすらと見える錨を巻き上げる船員は、、風にかき消されていった………
「welcome to オクタビウス」
その囁きを残して………




