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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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満月の騎士とルナ 後編




「………クリスタル、貸して!!」



背後から聞こえた声。

振り返ると、息を切らして追い付いたリアが膝に手を置いて息切れしている。


「あ、月の騎士の加護?」


アリアから琥珀色のクリスタルを渡された瞬間、クリスタルはカッと光輝き、、その光は空まで立ち昇った。



【シトリンの騎士が仲間になりました】

【シトリンの加護】

【加護によるステータス上昇】

状態異常耐性+10を獲得


【ルナが召喚出来ます】


の、テロップ。

ステータス画面が開くと同時にバンバンと表示される。


ルナの騎士リア・ムーンサイド(男性、23歳)

身長178センチ、レベル56、職業・剣士


装備・月下の太刀(物攻+165・魔攻+40)

月の脇差し(物攻45・魔攻+55)

満月の騎士一式・オール+150


覚えている魔法・技

ムーンライト(月・単)、ムーンボール(月・全)、月の導き(召喚魔法)

三日月(月・単)、半月の波動(月・範囲)、満月の舞(月・全)、新月(無・全)



「…あれ?」


リアのステータスを覗く凍慈が不思議そうな声を出した。


「…どうかした?」


「あ、いや、なんもない。そっか、リアちゃうんか…」


「???」


街の出入口の方向へ歩きだそうとしたシゲたちに…


「…明日の祭り、少しくらい見ていけば?」


まぁ、僕はどっちでも良いけどね。

と、言うリアのお言葉に甘えて、宿に泊まる事にした。



「…仲間になってくれてありがとう。心強いよ」


「別に。君たちの子孫に僕がどれだけ凄かったか言い残して貰わないと困るからね」


じゃ、また明日。そう言ってさっさと宿を出ていったリアの後ろ姿を、ガルーダは少し微笑んで見つめていた。


「…素直やないやっちゃなー」


「………いえ、十分…素直な反応をされていますよ」


「そうなんだ」



その日の夜の満月は、今までみたどの満月よりも大きく。



「リアとは付き合いは長いの?」


男女の部屋が別の宿はありがたい。

気を遣わなくて良いから…。


「…私とリアは、同期生でした。3つ下の学年にマウィー殿と……そして1年だけではありましたが……ジェダ殿が」


「あ、、そんなことジェダが言ってたな」


「座学ならばマウィー殿を越える人物が居るかどうか…」


「…リアが言ってた、話しかけて良いなんたらは、ガルーダとマウィーとジェダか?」


凍慈のその言葉に首をふる。


「マウィー殿と、、アザリアス殿でしょう」


「………アザリアス」


「オーディンの騎士であり、騎士の中ではジェダ殿と双璧」


あのジェダと、、双璧……。

少しだけ心臓の音が高くなる。


「あれ?でもクリスタルの騎士は全員揃ったよな?邪神退治に行かないの?」


「ど阿呆。揃いました、ほな行こか~!で行けたら苦労せーへんわ!こっからは邪神退治の為の準備や」


まぁ、腹心とやらも倒せてないし、、無理なのはわかってるけども。


「じゃあ、次はどこに行く?」


残りの宝玉。バサッと世界地図を広げる。


中央

皇国アウゼンハイドのダイアモンド


その東

宵闇の国オルブラッドの黒曜石


最北端

雪氷の国アイスランドのサファイア


オルブラッドの南

光の聖都ライトリアスのパール


そして地図に無い

鍛治の国ワンダのアンバー



「………アイスランドのフェンリルの元が良いかと。そこからでしたら、オルブラッドへのルートがあります」


アイスランド…。確か、凍慈のキャラの生まれ故郷。


「フェンリルも皆勤組やで」


「…よし、じゃあ次の目的地はアイスランドに!」



例え、その先に過酷で冷たい現実が待ち構えていようとも



「クリスタルの騎士は揃った、、あとは…宝玉の強化と加護を受けて…強くなるだけ、、だよな?」



「………当たり前や」




翌朝。

祭りで賑わうルナティックの市街地へ向かうメンバーを横目に…



「…あの、、少しよろしいでしょうか?」


シゲは……、ルナソル・アルヴィー・オルラインの元を尋ねていた。



「ええ、かまいませんよ」


「…日本」


「にほん?」


「…異世界?って言うのかな。そういう違う世界の記録みたいなのって、ありますか?」



━━僕よりも先に死ぬ━━



「訪れた人がいる、とか…」


「………今代の勇者よ」


「何でも良いんです、、聞いた事、ないですか?」



このまま、ここで、寿命を全うする事に?


リアの会話で沸き上がった不安。


死んだと言われて来たこの世界、、それはわかっている


それでも……


「(帰りたい……)」



ぐっと堪えた一言



「………私は、、貴方の問いの答えを持っておりません」



その回答に、シゲは肩を落とした。



「…ですが、、」


「え?」


「オルブラッドにある、秘宝書庫。ライトリアスにある、マナの全能書簡。そして……皇国のバハムートなら…。何か手がかりを知ることが出来るかも知れません」



この世界に来てようやく、少しだけ“帰れる手掛かり”を、“先に進んでみよう”という目標を見つけれた気がした。



「ありがとうございます!」


走り去るシゲの背中を見つめるアルヴィー。



「………“騎士からではない”、とは……、そういう事なのですか?マナの女神よ…」



その声は……


月明かりに溶けて消えた






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