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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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満月の騎士とルナ 前編




月の神殿へ行く道の手前で、、リアが立ち止まる。


「………皇国兵は、もうルナティックへは来ない」


「楽観的過ぎる」


ガルーダの言葉に、、あの黒龍が脳裏を過る


「とんでもないやつが」


そう言うシゲの言葉にかぶせるように…


「来ないよ、言い切れる。だから、ルナティックより別の宝玉の所へ行くべきだ」


「リア殿、何を隠されておられるのか」


「行く必要なんかないって事さ。今は満月祭の準備で、、僕だって抜けたら…、凄い忙しくなる……」


わかることは、俺達が神殿に……ルナの元に行って欲しくないということだ。


「神殿へ行って、、そしたらすぐ済むわ」


「長老だって、最近は調子が良くない、、僕が今()()()()()()()()()()訳には、、」


「そっか。シトリンの宝玉は、やっぱり……」



アリアの憂いのある声音と。


そして、リアの「あっ……」という表情と。


ルナティックを抜ける……それはすなわち、クリスタルの騎士に選ばれるという事だから。



「………壊れてない!!」


リンっと耳のピアスが揺れて鳴る


「リア殿。ルナ様は何処(いずこ)か?」


「………」


「弱ってるのは、なんとなくわかってたの」


すっと視線を外して、、そして背後に見える神殿へ


「シトリンの宝玉に、、寄り添ってるよ」


そして、、再び耳の上を触る仕草。



「………角が、、気になる?」



シゲのその一言に、、全員が驚いた顔をして一斉にシゲを見た。



「いや、、龍神王様も、リアが触ってる同じ場所に角があったから……」



「間抜け面は、訂正する」



え?待って。

間抜け面って呼ばれてたの?


トリトルとリア、お友達になれそうだな?



「角は、、龍神王になる者にしかないと聞く。クリスタルの騎士には選ばれたも同じ。何故選ばれないなどと?」


ジロッとガルーダを睨み付ける。



「ガルーダに、、こんな事は言いたくないけど…」



君が、どれ程クリスタルの騎士を誇りに思っているか、、僕が一番知っているから……


一度ぎゅっと結ばれた口が、ゆっくりと開いた



「………みんなが皆、選ばれる事が誉れだと思わないで欲しい」


シンっと静まり返る。


その言葉への理解が、、騎士として育った他の皆には出来ないからだ。


でも……、他の皆は驚くだろうけど、、何故だろう。

俺は、リアの言葉を責める気持ちは……少しもわかなかった。




「宝玉の場所には案内する」


月の神殿へと足を踏み入れる。


バサバサっとコウモリが数匹頭上を通過するのを眺めていたら、シゲの背中を台にするかのようにリアが一足飛びに駆け上がり、数匹のコウモリを一刀両断した。



「???」


いや、待って、、踏んだ?


「やっぱり間抜けじゃないか!」


凍慈が隣でボソッと、


「あれ、バットム。モンスターや」


「コウモリもモンスターなのかっ!!俺の知ってる野生動物どこっ!?」


「野生におるんはほぼモンスターや」


「おちおち散歩も出来ないっ!!」


そんな二人のやり取りは右から左。

セピアの顔色は一瞬にして悪くなる。


「神殿に、、モンスター?」


「………」


リアは何も発することはない。

ただ、、モンスターがいる事はわかっていたかのような動き…。


「我々を通したくなかったのは…、、これが原因か」


「ルナの力が弱りだしたくらいかな」


ガルーダがハルバードをぐるぐると回す。

正面には初めましての見た目をしたモンスターがぞろぞろと。


「バットム、カーミラ、、げ、ウェアウルフ」


月属性のモンスターがお出迎えだ。


「狼男までいるのかっっ」


「狼男ちゃう、ウェアウルフや」


「漢字か横文字かの違いだろっっ」


ぴゅーと口笛を吹いて横を向く凍慈。


やっぱり!!


ガルーダの隣に当たり前のように立つリア。


「腕、鈍ってないよね?」


美しい月の模様の入った日本刀を引き抜き上段に構える。


「私がリア殿に負けたことが?」


「………君のせいで、準優勝ばっかり。嫌になるよ」


あ、これ中後衛(おれたち)の仕事がないパターンだ。


あっという間に片付けられ、再びリアは奥へと歩きだす。


「シトリンの宝玉は、もう壊れてしまったのか……?」


ガルーダの問いに、やや顔を背ける。


そして、少しだけ無理に笑った。


「……………壊れてないよ。聖女が、強化してくれたらきっと…」


濁された言葉。

アリアがリアの背を優しくぽんと叩く。


「そうだよ!まだ壊れてないなら大丈夫!」


ね?と笑いかけるアリアを見るリアの表情は、暗がりで伺い知ることは出来なかった。





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