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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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満月の都 前編



ドサッという落下音と


「………」


「………」


「………」


「お、、おかえり…?」


アリアが以前と同じく、気を遣ったように話しかけて来る…。



「………ランダム転送装置とか聞いてない!!」


「…あれや、、シンプルに忘れとった」


「理不尽!!」


そのままアリアのところへ。


「………これ、、渡して欲しいって」


「何だろう?」


本を開こうと指をかけて…………開かない。


「あれ?さっきは、開いたんだけどっ」


「軟弱なやっちゃなー」


と、凍慈も一回チャレンジしてみるもびくともしない。


「然るべき時に開く、って事なのかな」


「何が入ったか見た?」


「見たけど、、あんま良い見た目じゃなかったかなぁ」


「………何が入ってるのか気になったけど、、そのうちわかるよね?」


クスクスと笑うアリア。


その先に続く道の先、もうルナティックの大門が見えていた



「な、なんや、これ……」


「………!!!?」



「……ふん」



巨大な満月の門を背に、琥珀色の髪の青年がおびただしい数の皇国兵士を全て倒し終わった所だった。


「リア殿」


振り返ったリアと呼ばれた人物。

流れるような切れ長の目に、男性か女性かわからない見目麗しい騎士。

左耳には三日月、右耳には満月をデザインしたであろうオシャレなピアスが揺れる。



【仮面をかぶる騎士・リア】のテロップが流れる。



間抜面(そいつ)が勇者か。ジェダかマウィーじゃなかったの、地味に残念なんだけど」


開口一番、ややトゲのある一言が降り注ぐ。


なんだ、既視感があるぞ?



「リア殿、ご無…」


「ガルーダがいて、この体たらくか」


月の模様の入った美しい日本刀を腰の鞘に。

彼の口から漏れでる言葉は刺々しい。


「ルナティックは満月祭が明日に控えている。例え勇者であろうと、月の民以外、何人(なんぴと)も国に入れる事は罷りならない」


「……そこを、なんとか」


セピアが食い下がるも、リアと呼ばれた騎士は一切合切見向きもしない。



「今は、緊急事態なのだ」


ガルーダの言葉のみ、反応を示す


「僕にはなんの関係もない話だよね」


そして、冷たい言葉が紡がれる


「皇国がこの国を狙っている。宝玉を強化し…」


すっと髪を耳にかけ、少しだけ耳の上を撫でる。


「ルナティックヘ皇国兵は蟻一匹通ってはいない。君たちがそこに留まり、ここへの侵入を防げば良いだけの話だ。違うか?」


セピアの言った、「私、彼苦手なのよね」という言葉を思い出す。

なんだろう、少しだけわかる気がする…。


「せめて、聖女だけでも」


そう言ったセピアをジロッと睨み付ける。


「僕に気安く話しかけて良い騎士は世界に3人しか存在していない。それは君じゃないよ、セピア・ファンアス」


「リア殿!」


ガルーダの叱責ともとれる声音に、少しだけバツの悪そうな表情に。

が、すぐさま先ほどのような冷たい眼差しを向ける。


「兎に角、ダメなものは…」


「…………ほんま、あんまやりたくなかったけどしゃーないな」


ボソッと凍慈が小声で呟くと、ゆっくりと前に。


「ルナソル・アルヴィー・オルライン様に満月祭へのご挨拶を申し上げます」


騎士のようなお辞儀を一つ


「……!!!」


その言葉に、、リアの目が大きく見開かれた。


「………ルナ!!ダメだよ!!」


焦るリアにお構い無く、背後の月の門が大きな音を立てて開かれる。


今度は全員が凍慈を見つめる。


「と、凍慈兄さん、今の何!?」


「…………旅しとるときに、小耳に挟んだ、的なやつや」


凍慈の目が泳ぐ。

あ、これ絶対に違う……。



「ルナ様の御導きがあった、、長老の家に案内はしてやる」


先ほどとはうってかわり、少しだけ子供っぽさのでるリア。

ムスッとした顔を向けてスタスタとルナティックヘと入って行く。



「え?本当にどういう事!?」


一番後ろを歩く凍慈にボソッと囁くと、観念したように口を開く。


「……1~3作全部で、、似たようなシチュエーションあったんや」


再度下の街に降りて入る方法を探して、、という物らしく。


「ひらけごま、みたいなヤツやな」


「……流石」


「まぁ、“本来は”なんかしらストーリーから情報貰って…やろうけど」



━━でも、この時はまだ…気がついてなかった━━



「“今作も”同じパターンのセリフやったって事は、ウィングバードで情報集めて戻って、とかやろうから、問題ないやろ」


「……ファストトラベルあるし…、それでも良かった気も」


「問題。月の都に入れてません。ファストトラベルはどこまででしょう~か?」


月の都に入れてないとファストトラベルに登録されない…?


「……あっ」


つまり、ウィングバードからまた今までの道を……


「……うわ、理不尽」


「せやろ」





━━歯車が……一つ一つ欠けていっているという事に…━━




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