ジェダ・ハンネ・アウゼンハイド EP2 前編
「って、アホ!まて!それセーブポイントちゃう!」
と、叫ぶ凍慈の声は覚えている。なにやら既視感ある。
「……どこ?」
みた感じ、洞窟?のような場所。
記憶が正しければ、サンダーバードの理不尽な召喚を凍慈とガルーダが意見交換してるのを見ていたはずだ。
「…空、、どこにもない……」
いや、待って。セーブポイントちゃうてなんだよ、そりゃ俺には不要のものだけどさ。
アホは言い過ぎだろ、つい踏んじゃったんだから仕方ないだろ。
「なんか…薄暗いな……」
前もワープで帰れたということはどこかにワープできる場所が、、と思った矢先。
暗がりの曲がり角を曲がった瞬間、行き止まりなのか壁に衝突。
「また卿か、勇者」
「あれぇ……」
ばったりと洞窟で鉢合わせた皇国のダイアモンド、ジェダ・ハンネ・アウゼンハイド。
みればみる程腹立たしいイケメン。しかも声まで良いと言うおまけ?付き。
「(やっぱ、似てる…)」
少しだけ、心臓が酷く暴れたけれど……
不思議と嫌な気持ちにはならなかった……
「あと、何故また一人なんだ」
こないだのイベント後、凍慈に“龍騎士とは仲良くならん方がええで”と言われたばかりだと言うのに、またもや二人きりに。
あれかな?これが例のフラグってやつかな。
「いや、なんかセーブポイントだと思ったのが急に…」
「ああ、ランダム転送装置か」
「……なにその危ない装置っっ!!」
「運が良いな。大抵はボス部屋へ直行なんだが……」
「何それっ!!思ってた以上に危ない上に理不尽!!!」
もっと早くに教えてくれたって良いだろ!!
あと、俺の運は最悪だよ!!
「まぁ良い。そう構えるな。我は卿と闘う気はない」
「??」
「………ついて来い」
【皇国の貴公子・ジェダが一時加入しました】
の、懐かしく感じるテロップが。
自動で開くステータス画面が恨めしいが、チラッとジェダのステータスを横目で見るも、レベル100でそっと見なかったことにした。
待って、前レベル85じゃなかったか?
「……増えてるんですけどぉ!?」
二回目のクラスチェンジを終わらせたというのに…、この男に勝てる気配がない……。
「??」
ついて来いと言われたのでジェダの後ろをついて歩いているだけで、、別にジェダを盾にしている訳じゃないんだからね!!
「………ち、ちなみに、今回一人なのって…」
「探し物だ。卿がいてちょうど良かったやもしれん」
うん、ごめん。前回も(心の中で)言ったと思うけどね、本当に俺はなんの役にも立たないからな??
「まず、ここどこ」
「ここは、光と闇の洞窟だ」
洞窟内の松明に灯りを灯しながら進むジェダ。
その髪は、、灯りに灯されると透けるほど美しく…。
「あのさ、ジェファンって人、知ってる?」
その問いに……ジェダの足は止まった
「叔父上だ」
「……」
その答えは、シゲに色んな事を逡巡させた
「あの兜の傷は、やはり…卿だったか」
「……え?兜?あー、あれかな、確かに当たったけど…」
傷になるほどかな?と、考えるシゲに、、振り返ったジェダはふっと笑った。
「流石、勇者だ」
その表情は、、どこか心を決めたように見えた
「そんな事ないよ、ボロ敗けだったから」
今はまだ、思い出したくない記憶の一つだけれど……
「数多の戦場に出られた叔父上だが、鎧に傷一つ付けた事はない」
ぎゅっと握りしめた聖剣が、少しだけ光る…
「その叔父上の兜に傷を付けたのだ、誇って良い」
きっと、ジェダは本心で誉めてくれているのだろうが…
「もし……、次に戦う時に勝てたら、、その時は…そんな気持ちになるかも知れない」
「次に……か。一つ確認したい。エントからなる一連の事件は…皇国が?」
ジェファンといい皇国兵士といい、“勇者一行は殺せ!”みたいな空気ある中、ジェダは違う。
「やっぱり……、知らないんだな」
つまり、そういう事だよな
そんな事で、誤魔化したり嘘を言う理由はないんだし
「そうか……、わかった」
「なんでそんな事になってるのか……詳しい事は、わからないけど…」
再び前を向くジェダ。少しの間のあと、口を開いた。
「すまない。もう少しだけ、待ってくれ」
「……ジェダは悪くないよ。関係なかったんだし」
「皇国の責任は、我にもある」
やっぱり、この男は…背負いすぎって程……背負ってる
だからこそ、彼が発する言葉には重みと信頼が乗るのだけれど…
「…………あのさ、提案!」
「?」
「お互い、今だけはお互いの立場とか忘れる、ってどう?」
勇者、皇国、皇太子、騎士、宝玉、、俺とジェダの間には…見えないしがらみが多すぎる。
「そしたら、お互い、、気楽に進める気がするんだ」
青空は見えないけれど…、サンダーバードに看過され過ぎかな、なんて笑ってみせるシゲに…。
「……変わった男だな、卿は…」
また、ジェダも、つられるように笑ってみせた…




