空の騎士とサンダーバード ㊥
ガルーダに案内されるまま、ウィングバードの大神殿へ。
「クラスチェンジですね」
大神官に奥へと通される。
吹き抜ける風と大空の見える、光に満ちた大きな部屋。
その部屋の真ん中、上空から降り注ぐ太陽の下に…巨大なアメジストの宝石があった。
「さぁ、こちらへ」
全員がその真下へ。
「サンダーバード様、お越し下さい」
ガルーダの呼び掛けに…巨大な宝石は……
うんともすんとも光らない
「……え?大丈夫なの?」
しまった、ついいつものツッコミが…。
「サンダーバード様は、今は気分ではないらしい」
のほほんと言う、、困った感0のガルーダ。
待って、気分?
「……え?気分じゃ、ない、、って、何?」
「……最悪や、まだその設定残しとんのか」
如何せん気分屋なものでな、というガルーダの言葉と……
それに合わせるように、アリアがすっと祈りを捧げる
「どうしても、、クラスチェンジしたいのです」
『……✕◯△✕✕』
あからさまにしぶしぶ宝石から姿を現す、巨大な鳥。
全身金色で、瞳は赤く、翼は4つある。
「サンダーバード様。クラスチェンジにお力をお貸しください」
『………▲◆◆』
「はい、勇者様と聖女様です、サンダーバード様。クラスチェ……だめです。終わってからにして下さい」
不満げに再び何かガルーダに言うと、巨大な宝石の上へ。
絶対に今文句言っただろ…、間違いない。
「大神官様。大丈夫です。むしろ今しかありません」
「わかりました。さぁ、クラスチェンジしたい、と、強く願って下さい」
最初のクラスチェンジでも言われた言葉
しかし、あの時とは…少しだけ…意識が違う…
「もう、逃げない」
次は、理不尽に敗けない為に
【貴方にマナの導きがあらんことを……】
どこかで誰かの声が聞こえて、カッと光に包まれ、光が弾けるように広がった……。
【駆け出し勇者は“目覚めし勇者”にクラスチェンジしました!】
の、テロップ、バンバンと上がるステータスと、再び変わる見た目と。
アリアは、聖女へ。
少し、神官のような見た目と、大人っぽさが加わり…。
凍慈は、盗賊へ。
両腰にダガーを下げる装備へと変わり、少しフランクな装いへ。
そしてセピアは、剣魔法師へ。
再び騎士のような見た目になっていた。
「……光に進むのに盗賊なんだな」
「改心していくんや」
「じゃあ、盗みは卒業?」
「せやな、募金箱に寄付でもして貰おうか」
そしてもう一人。
【近衛騎士にクラスチェンジしました】というテロップが流れる。
振り返った先では、ガルーダが白い甲冑を身に纏っていた。
「……仲間入りか。やっぱりアメジストは」
凍慈の小さな呟きは…今は聞かなかった事にした
「国王陛下にご挨拶申し上げます」
その流れのまま、ウィングバードの王城に案内される。
王の間の玉座に座るのは、ガルーダと同じ鷲亜人だ。
「ガルーダ……」
「……条約通り、私、サンダーバードの騎士はこれより、勇者一行と共に宝玉を守護しに参ります」
その言葉を聞いたウィングバードの国王は、「お前を失う事になるかも知れないのか」と呟くと両手で顔を覆い、、長い間のあとに言葉を絞り出した。
「……頼んだぞ、、ガルーダ・ウィングバード」
すっと儀式的に頭を垂れるガルーダは、少しも揺るがない
「御意。準備が整い次第、勇者一行と…アメジストの宝石のある、“天空の頂”へ向かいます」
ああ、そうか。ガルーダ……、君は…皇太子なんだな……。
「ガルーダ…、いえ、、勇者一行に…、マナの加護があらんことを」
皇后がそう言ってガルーダを抱きしめ、涙を流す。
「……母上、私は必ず戻ります」
この世界に降りたってはじめて、、普通の親子の反応を目にしたかもしれない…。
「本当に、、来て良かったのかな……」
「騎士になった日から、私の世代はこうなる事を覚悟して過ごして来た。良かったのではない。これは運命だ」
今までは意識しなかったけれど、邪神を倒す。
すなわち、“死ぬかも知れない旅”に行くという事。
「……やっぱり、、俺には少し難しいよ」
それを【運命】だと言うガルーダが…
王城の廊下を胸を張って歩くガルーダが……眩しく見えた




