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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
いざ、神獣巡りの旅へ!
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敗けが確定している戦い ②





「……見えた、ウィングバードの大門!」


その入り口にはおびただしい皇国兵士が渋滞している


[間に合った!?]


その言葉と同時、皇国兵士の頭を飛び越えて城門がクローズアップされる


2メートルはある甲冑を来た一人の騎士


その背には大きな翼と、煌めく金色の瞳


[私の目の黒いうちは、このウィングバードの門は通さない]



[あの鷲亜人を何とかしろ!!]



誰かがそう叫ぶが……2人程度しか進めない狭い一本道という地の利を背に、鷲の亜人がハルバードを振り回して皇国兵士を凪払う。


更に、キュイーーーー!という鳥のような声と共に、上空から金色の大きな鳥が雷をズドンズドンと落として皇国兵士を蹴散らしていく。


[ガルーダ殿!!ご無事で……良かった]


[サンダーバード様も無……]



直後


背後から体が吹き飛ばされるような咆哮が鳴り響く



[……アジ……ダハーカ…]


マウィーの声が消えそうに小さい


[城塞都市を破壊した、、黒龍……]



その背に立つ、どこか見覚えのある男


漆黒の顔まである甲冑、所々に銀の模様があしらわれている


金の髪と兜から覗く瞳は碧眼



[……ジェ]



[ジェファン様がいらっしゃった!!]


王弟殿下!!


皇国兵士のその歓声にも似た声と黒龍から吐き出される光線は…ウィングバードの大門をガルーダと呼ばれた騎士ごと吹き飛ばした


[ダメだ!あいつだけでも食い止めるぞ!!]




「……なぁ、これってまさか」


「RPGお馴染み、敗けが確定しとる戦いやろな。この段階でアジ・ダハーカなんか倒せるか!!」



バトルフィールドが展開される


【皇国の龍使い・ジェファン】と【邪神の腹心 アジ・ダハーカ】の文字が踊る。


即座に全員が召喚魔法の詠唱へ


「まだ撃てるか?」


『知れたこと』


「《滅亡の光線》」


その破壊的な光線は


━━あ、死んだ━━


そう意識するには十分な火力だった


全員を包み込んだ光線は【1撃死攻撃を1度だけ無効】の効果が発動しました、というテロップにより回避。



「無理だ…」



その文字と同時に漏れ出たシゲの小さな呟きの直後、全員の召喚魔法が降り注ぐ



「……この程度か。ジェダは一体なにをしていたのか」


ジェダの名前と、はじめてジェダと戦った日の記憶が甦る


ダメージ表記は、、あの時と同じく【0】だった



「《漆黒の咆撃》」


ダメージ、【9999】の文字が踊る……


【一撃死1度だけ耐える】が発動しました、のテロップと。


HPは残り1の表記と


既にシゲ以外全員が地べたに倒れこんでいて、、


「貴様が勇者か。旅の終わりだ」


無意識に、、シゲは聖剣を握りしめていて……


「  」


突風のようなカッと光輝く真空派が飛び出し


「……!!?」


兜が吹き飛び音を立てて地面に落ちる

そして、僅かだが【150】のダメージ表記と



「……なるほど。それが噂に名高い聖剣か」


兜の下から現れた、金色の髪は太陽に当たれば透けるほど美しく


アトランティスのような深海色の瞳は、シゲを上から下までジロっと値踏みした


『ジェファンよ。サンダーバードの宝玉とルナの宝玉が控えている。こんな雑魚にかまっていたら壊せん』


「命拾いしたな、勇者よ。行くぞ」


ジェファンと呼ばれた、どこかジェダに雰囲気の似た男はアジ・ダハーカに股がると飛びたった


と同時に、、シゲは意識を手放した






━━━旅の終わりだ━━━



「……はっ!!」



がばっと飛び起きる


全身は汗だくだ



「……良かった、目が覚めて」


そう言ったマウィー


見渡すと、部屋に全員が運び込まれてベッドに寝ていた


「みんなは無事よ。怖い体験をしたから…。まだ眠っているけれど……」


そのマウィーの言葉に…、、全身が震えるのを感じた


「……怖かった、のか」


すっと差し出された、剥かれたリンゴ。


「……こんな時で申し訳ないのだけれど…クリスタルを、勇者様」


「え?あ、うん」


「我、ジンの騎士の加護を勇者へ」


ふわっと少しだけ吹いた暖かな風。



「お目覚めになりましたか、勇者様」


2メートルはあろう、あの門の前を守護していた騎士が部屋に入って来る。


「……ガルーダ殿、ご無事で…」


【寡黙なサンダーバードの騎士・ガルーダ】のテロップが。



「マウィー殿。あとは、私が引き継ごう。貴女は、城塞都市へ」


「……そう、ね」


帰ろうとしたマウィーの背後から、ジンの声が聞こえて来る



『◯△✕✕……』


ジンが笑ってマウィーに何かしゃべりかけている。


そうして、マウィーは……笑顔を取り戻したかのように……



「……さよならジン、帰って来るのを…お待ちしております」



笑顔で別れの言葉を伝えた

きっとあれが、本来の彼女の素顔なのだろう



『✕✕◯△!』



「……さよなら、勇者一行。皆様に、マナの加護があらんことを」



ガルーダは去るマウィーの後ろ姿を見ながら……


「彼女は十分、責務を果たされた。これから先、頑張るのは私が引き継ぐ」



少しだけ、騎士が何かわかった気がした



「勇者様は………」


ガルーダの目が細くなり、すっと踵を返した。


「今は心を休まされよ。早足で歩かずとも…、明日は来る」



ただ今は、理不尽な敗けに……悔し涙が溢れていた……




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