ジンの騎士と天空への道 後編
回廊へ足を踏み入れた瞬間、ギャァァ!と雄叫びを上げモンスターが飛び出してきた。
「そろそろ慣れ……何あれぇっ!?」
ややニワトリ感のあるモンスターと、その後ろには鳥と人のようなモンスターと……。
「コカトリスとハーピーや」
「お二方、頭を下げて」
そのシゲと凍慈が同時にしゃがんだ瞬間、頭上を銀色の何かが通りすぎて、モンスターを一気に蹴散らした。
「……バルディッシュ、、重装騎士かっ」
槍のような長い柄の先には、いかつい斧が…。
それを軽々と片手でくるくると回し、ドンと地面に突き刺した。
「ええ。職業はランサーよ」
「…………第二クラスチェンジ終わっとるっぽいな。ちとレベル遅れとるかも知れへん」
「えっ!?」
「……まぁ、そろそろ45やし、ウィングバードで二回目のクラスチェンジやな」
「回廊にモンスターは居なかったのに……」
「そうなんだ……」
「皇国兵士の仕業か」
え?モンスターも呼び出すの?どういう事?
いや、フォレストドラゴンもなんかやってたけどさ……。
「おそらく…」
そう言って歩いていけば、回廊の仕掛けは何故か元に戻っている謎現象に加え、モンスターが出るわ出るわ……。
「あー、そいつ石化持ちやから気を付けやー」
羽根の生えた蛇のようモンスター。
「え?石化ってなに!?」
「ま、とりあえず、全員石化したらゲームオーバーや!」
スライムやらなんやら、いくら呼び出すとしてもやりすぎだろ!!
「って、これ、全部呼び出したの?ヤバいな……」
そして回廊では岩の向きを変えて風の流れを……
「あっ、ミスった」
また入り口からやり直し……!面倒くさい!!
そしてようやく辿り着いた…見覚えのある、、金の女神像とセーブポイント。
「ボスやな」
「毎回毎回、ダンジョン入る度にボスいるの!?」
「当たり前やろ。ダンジョンにはボスがおるもんや」
「……どんな理不尽だよ!!」
開けた場所に出るシゲたち。
そこに立つ、甲冑をまとう一人の猫亜人。
「オルイル…、やはり貴方だったか」
マウィーは、「はぁ……」と深いため息を一つ。
「……貴方、本当にくだらないのね」
知り合い?と聞くシゲに、「従兄弟よ」とマウィーは小さく呟く。
ただ、マウィーはあからさまに嫌そうな顔をした。
「お前が!!俺からジンを奪ったんだろ!!」
「(奪った??)」
「貴方が騎士ではなかった。それだけよ」
マウィーの表情は微塵も揺るがない
「うるさいうるさいうるさい!!」
怒り狂ったオルイルと呼ばれた猫亜人は、ドンドンと地団駄を踏んでマウィーを睨み付けながら指差した。
「俺の騎士の座も!俺の筆頭補佐の座も!!お前が卑怯な手で奪ったんだろ!!どうせ色仕掛けかなにか……」
「……黙りなさい!!」
その瞬間。
セピアが大声を張り上げてオルイルを魔法で吹き飛ばしていた。
「マウィー殿の努力の結果を、騎士を!バカにしないで!!」
あんなセピアの姿ははじめてみる。もちろん、アリアも杖を構えて眉間に皺を寄せている。
マウィーの瞳は大きく見開かれ、そして少しだけ笑った。
「ありがとう、セピア殿」
いるよな、どこにでもさ。俺が居た部署にも……ああいう奴いたよ。
「……勘違いバカをさっさと片付けよう」
「賛成!」
「図に乗るなァァァ!!!」
ゴガァァァと、、モンスターのような唸り声を上げ……そして…
「オルイル……、、人である事を…捨てたのね……」
巨大な猫のような形をした、、モンスターへ…。
【邪神に魂を売ったオルイル】のテロップ。
と、同時
凍慈が地面に手をつく
ふわっとドリアードが現れ…
巨大な木の根が地面をうごめき
オルイルめがけて攻撃
【森林の息吹き】
木属性攻撃 2000
シェル全
リーフセイバー付与
のテロップ。
「リーフセイバーはいかつい」
「……そうなの?」
「物理ダメージ与えたらMP回復や」
「!!」
立て続けに、
【カーバンクルの奇跡】
プロテクト
HP継続回復
一撃死1度だけ耐える
【火竜のブレス】
炎属性攻撃2000
魔攻アップ
敵にやけど付与(継続10ターンダメージ)
こうやってボスと戦って、、そろそろわかる事もある。
「HP残り6000」
あ、これ、中ボスだって
「なんも言うたらアカンで」
「何でだよ」
察した凍慈は先回りするが、言いたい事は言いたい……
「そんなもんや」
「このあと絶対に真打ちのボス出てくるじゃん!!」
一気に畳み掛ければ、もうこのレベルだとあっという間に感じた。
少なくとも…強くはなっているのかな、と。
「……お前たち、、姉妹さえ、、いなければ……」
マウィーの従兄弟は、そう言って砂になって消えていった
【邪神に魂を売ったオルイルを撃破しました】
【レベルが上がりました】
そのテロップを見ながら、焚き火あとへと移動すると、セピアがすっと座った。
「少し休みましょう」
「だね」
「なら、料理を作ります。何かリクエストは?」
「じゃあ、、マウィーの料理、、作って欲しいな」
「……」
「騎士が!とかじゃなくてさ!」
「……私の、料理…」
すっと簡易のキッチンへと歩き出すマウィー。
「城塞都市の郷土料理ではなく?」
「マウィーの得意な料理」
「変な人」
少しだけ声が上擦った。
「……美味しくなくても知らないから」
そう言って材料がささっと投入され……
【マウィーのまかない飯】のテロップと。
魚の干物焼き、味噌汁らしきもの、白ごはん、小鉢にはサラダ。
「……このタイミングでまさかの日本食っっ」
「美味いに決まってるやん…」
「ニャウィーが、好きそうだね」
アリアがふふっと笑うと、マウィーの表情がつられたように微笑し、少しだけ和らぐ。
「あの子、干物が好きだったから…」
まぁ、料理の時間の概念はどうにかした方が良いが……。
「父の隠していた干物を、よく勝手に食べていたわ」
「あはは、ニャウィーっぽい!」
でしょう?そう微笑んで…そして、
「まだ、好きだと良いけど」
「え?」
その小さな呟きの直後、再び表情がすっとかたくなる。
「さぁ、ウィングバードはもう少しです」
《マウィーのまかない飯》を食べました。
【HPMP 自動回復15%】
【物防魔防 15%アップ】
【1撃死攻撃を1度だけ無効】
「…………言うなよ」
「……最悪や」
「絶対に言うなよ」
「絶対アレやないけ」
やっぱり、この世界は理不尽だ




