樹海の入り口にて
海を移動する事、恐らく半日以上。
朝に出たはずなのに、気付けば空は夕焼けに染まっていた。
「樹海かぁ。過去ギミック面倒くさかったんよなぁ」
「………帰るぞ、オルヘ」
ピュイッと口笛を吹いたトリトルへ慌てて向き直る。
「送ってくれてありがとう、トリトル。ここ、海からじゃないと、来れない場所なんだろ?」
シゲの言葉に、アトランティスへ帰ろうとしたトリトルの足が止まった。
少しだけ小さな息を吐き出すと、くるっとシゲ達へと向き直った。
「これは、オルヘの呼び笛だ」
ネックレス型の珊瑚でできた呼び笛を、トリトルは真っ直ぐアリアの所へと行き、首に付ける。
「海を移動したいならこの笛を吹けば、オルヘが助けてくれる」
なんだ、良いとこあるじゃん!
と、お礼を口にしようと開いたその瞬間
「まぁ、そのアホ面勇者の言うことをオルヘが聞けばの話だけどな!」
アイツ、また人様をディスったんですけど。
全然反省してなくない!?やっぱり理不尽だ!!
「……笛、ありがとう!」
アリアはそうお礼を口にしたが…
トリトルは海へと姿を消したあとだった
「お礼、伝えそびれちゃった」
「……聞こえてるよ、アイツ、素直じゃないから」
「だと良いね」
キャンプ一式を並べはじめる凍慈とセピア。
「今日はここで野宿やな」
「……せっかくだし、アトランティスの食材使ったご飯にでも、する?」
全員が笑って「賛成」と口にした
水面はもう、夕陽が沈んで平面だが……
どこかまだ…水面はトリトルの如く騒がしく感じた…
その日の食後、シゲの疑問が…。
キャンプテントもアリアとセピアとは別だし、このタイミングで聞くのもありか
「仲間になる条件ってなに?」
開始から連続でアリア→凍慈→セピアと仲間入りしたので、てっきりトリトルも仲間入りなのかと思ったのに…。
「あー……あれ?説明してへんかった、な」
「全く……」
「勇者4の仲間は、スタート時のキャラ選択の時に選ぶんや」
「…名前しか聞かれなかったぞ?」
「女神が選んだあとやったって事やろな」
あの女神のやりそうな事ではある……。
まぁ、画面で誰にしますか?なんて言われても困ってたけど…。
「前作までは12人の騎士から主人公が決まってたんやけど、今作は勇者は別枠になってな」
今作は勇者とヒロインが固定され、残る11人の騎士から4人の仲間を選んでスタートする、という物だとか。
「まぁ、正式には11人中3人はストーリー上、選択不可キャラがおるから実際は8人からやな」
「えっ、てか、全員仲間になるんじゃないの!?」
「そんな訳あるか」
何のための12人!?
「二週三週の楽しみなくなるやろ」
「にしゅう、さんしゅう……???」
「全パターン網羅とか、実は特殊イベントあるキャラ同士とかあるから、5とか6とかはデフォやぞ」
え?同じストーリーを何回もやるの?飽きない?
とか言ったら怒られそうなので、心に止めた。
「……まぁ、大所帯のもあるけどな。あれはあれで大変なんや」
最初に渡された6つのクリスタル。
既に4つは輝き、つまり、残りの仲間は2名という事だ。
「確か…、、戦争やら邪神復活やらでマナが減って、クリスタルを女神が6つまでしか作れんくなったから、みたいな設定やったはずやで」
「やっぱり理不尽だ…」
「でも、ルート取りと仲間インルートは流石ゲーマーやなって感じやで」
こんなルートあったなんてなー、と凍慈は能天気に笑っている。
「……楽しそうだな」
「当たり前や。ゲームは楽しんだもん勝ちやで」
少しだけ、凍慈の事が羨ましくもあり…
「まぁ、それもそう、なのかな?」
シゲと凍慈は、“本当の理不尽”をまだ知らない




