水流の騎士とウンディーネ 後編
「情けない場面を見せた事、先にお詫びしたい」
「いえ、そんな事はありません、ネプチューン王」
すっと頭を下げて王の前に並ぶ勇者一向に、「楽に」という声がかかる。
「もう自己紹介は済んでいるかもしれないが…」
ネプチューンとトリトルの自己紹介が入るが、、やはりトリトルはムスッとしたままだ。
一体何がそんなに気に入らないのか…。
「折り入って勇者たちに頼みたいことがある」
王の間の空気が、すっと張り詰めた。
「だーかーらー、オレ一人でも余裕だってば!!あれぐらい」
「発言を許した覚えはない。話の腰を折るなら出ていけ、トリトル」
再びチッとわざとらしい舌打ちをして腕組みしたままふんぞり返る。
はぁ、と小さな溜め息がネプチューンから漏れたが、それ以上トリトルへ何か言うことはなく、視線はシゲ達へと向かう。
「我がアトランティスの宝玉、ウンディーネ様が守護するタンザナイトに異変があってな」
「…なんと」
マグマ国での一件が脳裏を過る。
「どうやら宝玉の周りを巨大なモンスターが占拠してしまったらしく…」
皇国の仕業ではない、という事と、逃げたシーサーペントが脳裏に浮かぶ。
「アイツか…」
「海底神殿に行って、宝玉を占拠するモンスターを退治して欲しい」
えっ、、絶対やだよ
あのモンスター、見たことある?
ちょっとまたもう一回やって!は無理なんだけど?
「おまかせ下さい」
いや、何でだよ…
また勝手に安請け合いするな俺!!
絶対に嫌だってーーー!!
「納得出来ないっっ」
再び、“準備が整い次第、また声をかけて欲しい”からの城下町散策。
「何がや」
絶賛、人様の家のクローゼットを拝借中の凍慈がシゲを横目に、今度は机の中をがさがさ。
本当に勇者御一行??
というか、シーサーペントが今にも宝玉を壊そうとしてるのに、呑気だな…。
「ファフニールの時だって無給だったじゃないか!!」
「……勇者とは、、そういうもんや」
すっと視線を反らす凍慈。
実際にやってみたらなんかおかしいなーとかあるだろっ!
「ブラック企業が可愛く見える!!」
「福利厚生は最悪やな~」
そのまま武器防具屋へ。
「金ないよ…」
クラーケン戦でゲットしたという換金アイテムを売れば、アトランティス装備一式は揃えられそうではある。
“海底を今からお散歩する、そんな貴方にピッタリ!”
なんて文言は右から左だ。
「あとは、いらん装備は売れるから売って金にしてまう」
「あ、使わない装備売れるんだ」
ちょっと待とうか。
買った値の半分以下ってどういう事??
「突っ込んだら負けや」
「……凍慈だって、絶対理不尽って思ってるんだろ!!」
「これに関しては、マジでみんな何でやねんって思ってる」
「……メル◯リで売ろうぜ」
「ムチャ言うな」
使わない装備を武器防具屋のカウンターに並べていく。
「まぁ、基本的には前の装備売っての自転車操業。もしくは近場のモンスター狩りしながら金貯めて装備整えて~やな」
「理不尽過ぎるっっ」
最後、アリアの初期武器を手にカウンターへ置こうとした、、
その瞬間。
「えっ、、ダメっ!!!」
「……?」
「売りたくない」
カウンターから木の枝をさっと手に、ぎゅっと木の杖を胸に抱いたアリア。
売りの値段は15ルートとか、そんな値段。
「えっと、この杖は…、思い入れが…」
「ごめん、嫌なら売らないよ」
「……先に外に行ってるね!」
小さく
“覚えてないよね”という呟きは、入り口の鈴の音にかき消された。
「??」
「何やろな??」
そう言ってから買い物をしようとしたシゲを凍慈が慌てて止めに入る。
「……レベル20あるやん!!忘れとった!!」
「え?レベル?なんの話?」
「クラスチェンジが先や!専用武器買い直しとかシャレにならん!!」
え?クラス、なに?
クラスって…つまりクラス替え的なやつ…?
また何か増やすのやめて下さい…。




