凍慈EP
暗闇を見つめる凍慈
ふと、あの日の事をなんとなく思い出した…
「明日から有給15日!!」
初回特典込みのウルトラDX版「勇者4」を初日にゲットした帰り道。
ゲーマーの凍慈はやりこむべく買い物を済ませて、家は目と鼻の先まで来ていた。
「5時間寝るやろ。飯、風呂、買い物…。1日18時間くらいしかやれんやんけ…。有給が足りん!!」
いや待てよ。睡眠時間をもう少し削っても良いのか……。
ご飯も朝昼抜いて……、指折り考える。
「新要素の召喚システムもええ感じやし、2周目は最速クリアとかやれば……、3周はなんとかなる……?」
信号待ち。
そこにトラック、そして暗転。
「……嘘やろ」
そして聞こえて来たのは、見覚えのない二人組のやり取り。
「なんと勿体ない。ゲームを知らずに死ぬなんて勿体ないが過ぎる!」
それはまぁ、わかる気もするけど人に押し付けたらあかんで。
ゲーマーの見る目が悪なってまう。
そもそもゲームは発掘して楽しんでなんぼやからな。
「こうみえて自他共に認めるゲーマーでな」
お、なんか話は合いそうな女神……女神やんな?
「いや、女神ってなんやねん」
あの画面、なんのゲームしとるんやろ。
見たことない、、ん?いや、見たことある気もするな……?
「と、いう事で、お主にはゲームの楽しさを知ってもらう事も兼ねて」
「え?何?」
「ゲームの世界へ転生して貰おうと思う!」
「??????」
「??????」
前言撤回、とてもやないが合わなさそう。
「では、今私が一番ハマっているゲームの主人公“勇者”へ!行ってらっしゃ~~~い!」
カッと光を発し、一人の男性が消えた。
え?今“勇者”って言うたか?
「おお、来ておったか!」
「見間違いちゃいます?」
だから察した、あ、これどっかに飛ばされるなって。
「帰ってええかな……」
「無理じゃ。お主は今……」
うん、聞いた。
さっきの男の人にも言ってたもんな。
飴ちゃんあげるから見逃してくれへんかな?
無理そうやな。
「女神4をやる予定だったと、、なんと不憫なっっ!!」
あ、やっぱ基準そこやねんな…。
えーと?なんか嫌な予感するぞ…。
「えー、何々…お主は過去シリーズも踏破しているとみての!」
いや、その手にガッツリなんか書類持って棒読みやないけ
絶対に思い付きやろ
騙されると思ったら大間違いやで
「さっきの、、おお、名前はシゲにしたのか。そう、シゲのサポートとして、ゲームに行って貰うことにした!」
さっきのって、誰や。てかもう、決定してもうてるやん。
そのさっきのにーちゃんもそうやったけど、拒否権全くないやん、なんでなん?
「ただ、お主も“真のエンディング”はまだのようじゃ。丁度よかろう」
ん?丁度良いとは??
何一つ“丁度”の部分が見当たらんくね??
「………シゲとお主なら、“皆が辿りつけなんだルート”に行けるやも知れんな。楽しみにしておるぞ」
「???」
いや、待て。楽しみにされても困るんや。
俺はプレイするのを楽しみにしてたわけで、初心者の子守りする為やないんや……。
「では、行ってまいれ!」
カッと光って目を覚ますと、ムービーの真っ只中。
「ほんま、ハゲるわ…」




