貴方は誰?
街道を進もうと足を一歩、踏み出したその瞬間
突如流れるアニメーションムービー
「(あれ?これ…)」
━━アウゼンハイド皇国━━
の文字に
このムービーはいつだって
見知った男の背中からはじまる
「ファイ王。ジェダ第一皇子ご帰還にございます」
「王の間に呼べ。話がある」
西側の鎮圧が終わったと同時に即日帰還命令が降り、すぐに王の元へと馳せ参じよとの勅命が。
まぁ、父からの急な呼び出しはもう慣れたものだが…。
「………2ヶ月ぶり、か……」
透き通る青空が広がっていたはずのアウゼンハイド城は、今や黒い雲に覆われて薄暗い。
「丁度良い。我も確認したい事があった」
大広間の仰々しい扉が開かれ、そこは父のいる玉座の間
「ジェダ・アウゼンハイド。王の命にて逆賊を成敗してまいりました」
「ご苦労だった、我が愛しの息子よ」
「有りがたきお言葉」
「しかし、ルビー国の小娘をわざと逃したとはどういう事だ?」
“ハンネ、君は考えた事ある?”
「……脅威足り得ないと私が判断し、私の判断で釈放致しました」
“目の前の人間が、もし違う何かだったら?って”
彼との会話が脳裏から離れない。離れてくれない。
「脅威かどうかではない。始末しろと言ったはずだ」
「父上。かのルビー国の少女は伝承にあった聖女です。クリスタル崩壊を目論む邪神から危機を守る存在です。そんな聖なる存在を始末しろとは、理由をお聞かせ下さい」
本当は……、わかっていたんじゃないのか?
そんな事は、誰かに言われなくとも気が付いていたんじゃないのか?
「この私、ひいてはこの国の脅威になると星見からの予言があったからだ」
けれど、、 そうではないかも知れない
だって目の前にいるのは…
「我が王よ。我が父よ。愛しき我が君よ」
ほんの少しの拠り所にすがるのは、悪いことだろうか?
「……」
「エント、トルネード、ウィングバード、ルナティック、宵闇、そしてワンダ。貴方がこの国の危機だと仰ったが為に幾つもの命が失われ、そしてその危機に便乗し宝玉が邪神に破壊されました。まだ、足りませんか?」
「我が息子よ。敵となる国の命がどうなったかなど、そんな些末な事は気にするでない。ダイアモンドが輝きさえしていれば、他の命などとるに足るまい?」
「……些末?」
遠き日の父との会話が一瞬にしてフラッシュバックする。
『ハンネ。国とはあれば良いのではない。民がいなければ国は国足り得ない。そしてその国を守るだけが全てではない。12の国の民全てが大切な役割を持っている。人とは全て等しく尊い』
見なかった、見ようとしなかった現実
「(ああ、勇者にあんな言葉を言って、この体たらくかジェダよ)」
自問自答する言葉はどこか他人事のように…
「(いつだって勇者にかける言葉は、我に帰ってくるのだな)」
もし、目の前の敬愛なる父王が“違う何か”だったら
目の前に座る父王は本当に父なのか?そんな疑問を持ちはじめたのはいつの頃だっただろうか。
━━最近はそう考えなかった日は一度もなかった━━
「貴方は誰なのか、我が父をどこへやった?」
「何を言い出すのだ」
「何より民が大事だと、我が愛していた父上が貴様なはずがない」
低くドスの聞いた、静かな怒りを滲ませた声が大広間に響くと同時、ふふ、と小さな笑い声を出し、そこから大きな笑い声へとかわる。
「そうか、もう三文芝居をする必要はないのかァ」
「……もう一度言う。父上をどこへやった」
アイテムボックスから槍を即座に出して構え甲冑の冑を顔へ。
「貴様の父はちゃんと目の前にいるぞ?ジェダ・アウゼンハイド」
「まだ言うかっっ!!」
槍を構えて一瞬にして王座へと詰め寄り、首筋へ槍を突き立てる。
「くくく。イヤイヤ本当さァ。何故なら俺様はこの男の体を乗っ取っているだけなのだからなァ」
「!!!」
「……ぐ、、ぐぐ、、ハンネ、、ハンネ」
ハァハァと息切れを起こして再びジェダを見つめる優しい眼差し。
「父上!!?」
「今だ、、ハンネ…、、今すぐ父を殺すのだ」
放心したまま、よろよろと後ろへ下がるジェダ。
入れ替わっていたら、そんなのは甘い考えだった。
「ハンネ!!」
「父上…、、私には……」
「………もう、お前にしか……」
「……父上?」
うっ、、とうめき声を上げ、、再び父は父ではなくなっていた
「うぜぇぇ!!!まだ抵抗しやがるか。まぁいい。お優しいジェダ第一皇子はそんな事はしないよなぁ??」
「父上をどうするつもりだ」
「そうだなぁ~。俺様、ヴァルヴェン様の力を取り戻せば帰してやる」
「貴様が邪神ヴァルヴェンだったのか…」
「さぁてと、アウゼンハイドのダイアモンドよ。さっさと小娘と勇者どもを始末してこい。この男の命と50万の国民の命が大事ならばなァァ!!!ギャハハハハハ!!!」
床に槍が落ち、カランと鳴り響いた。
瞬間、シゲははっと我に帰る。
「ジェダ…」
「毎回“龍騎士”は最強の敵やからな。まぁ今回“も”しゃーないな」
凍慈もあのムービーを観たのだろうか…、どこか罰の悪そうな顔をした。
「今回も…?」
少し言い難そうな顔をし、はぁと息を吐く。
「龍騎士ポジは過去3作、全部闇落ちして最終的にラスボスポジになっとる」
「アイツ、良いやつだったよ?ラスボスって…邪神みたいな世界ぶっ壊してやる~!みたいな、、そんなやつじゃ…」
“そなたとは道は違えど行き着く先は同じ。その時こそ…、我が槍をそなたに預ける”
「過去作品も全部そうやったけどな…。闇落ちして暗黒騎士になった。だからあんまり仲良くならん方がええって言うたやろ?」
そのあと、小さく「良かった、失敗したんやな」という言葉は、シゲには聞こえない小さな呟きだった。
その日は1日、ジェダがどうなったかが気になって集中出来なかった。
「ゲームしてる人もこんな感じでやるのかな」という、プレイ側の気持ちがわかった気がした。
それに気が付くまで、ここまでかかっちゃったけど。
「今日はこのあたりでキャンプにしましょうか」
ライトリアスまで残り半分程
日が暮れる街道
夕日が真っ赤に染めている
「ちょうどキャンプ地あるし、コテージ出しとくよ」
キャンプ地にいくつか出された野宿用のコテージ
「シゲ、大丈夫?」
「あはは、大丈夫大丈夫」
晩御飯作りをやるよと言って、キッチンに立つ
「ジェダに教えてもらったんだけどさ」
そういえばかなり前に戦ったワイバーン。
*59話*
宝箱から出てきた使い道のなかった、「小竜の肉」を使って夕飯を作る。
小竜と書いて「ワイバーン」と読むなんてと思ったけれど、この世界のボス見てたら確かに小さいか…。
「お、出来た。ドラゴンシチュー」
みんなは皇国が嫌いかも知れないけれど、この伝統料理は美味しかった。美味しいものに罪はない。
「ほんまや、美味いな」
「皇国のでなければもう少し喜んで食べれるけどね」
セピアがちょっと肩をすくめて、シゲは苦笑い。
「そんな事言わないで。食べ物に罪はないよ」
みんなが食べる中。
アリアだけは、食べなかった。
流石に村を襲撃し、色々な国を破壊している国の食べ物は配慮不足だったかな……。
「…違うの、作るよ」
他のメンバーが思い思いにバラバラと行動をはじめ…
「アリアって何の料理が好きだっけ?」
シゲ、アリア、凍慈の三人になった
その瞬間だった
そのままアリアはシゲの背中をじっと見つめて……
そして、ゆっくりと口が動いた
「ねぇ、シゲ」
「どうかした?」
その静かな言葉は……
この後クリアして、もし帰る事が出来たとしても……
忘れる事はないだろう
「貴方は誰?」
頼む、修正が入ってくれ
はじめてそう思った
すみません、修正前のをアップしてました。
ちょっとだけ微変更と加執修正しておりますm(__)m




