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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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聖剣復活への道⑥



4ターンはあっという間に経過した

なんの手応えもないまま、再び発動したヨルムンガンドの必殺技



『マグニチュード7』



「引きおかしくない!?」


え?実は6からカウントアップとかじゃないよな?


「敵の時は5以下は見た記憶ないけど、こっちが召喚したら、下振れするねんな~、これが」


え?なにそのくそみたいな確率は……。


しかも召喚魔法になったら1回しか使えないんだよな?


「ヒールオール!!」


アリアの回復魔法とほぼ同時、響き渡る声



『━━4━━』



「待って待って、回数多くない!??」


「だから言うたやろ、最強格やって!!」


今までのボスは2回くらいなもの、いや、2回目は阻止してたから実質1回だったはず。


「あーもー、思い出したで。過去作も必殺技連発しまくるトラウマ級ボスやった!」


「最悪じゃないか」


しかもインターバルが4ターンとか短いにも程があるだろ



『マグニチュード9』



ダメージ、【9999】の文字と、【カーバンクルの奇跡が発動しました】の文字と。


全員の体力は1で辛うじて留まり、直後にアリアの声が響く。


「メガヒール!!」


カッと光るアリアの杖、一気に全回復


「最上位の回復魔法、解放しといて良かった……」


ボス戦前にアリアのジョブスキルでようやく解放出来た魔法だ。


「なぁ……。本当に、、これ……6以下あるのか?」


「どうやろな、今作は知らんから」


HPは、まだ半分も削れていない


全員の間に、やや嫌な空気が流れる事一瞬



『まだ、無駄に闘うか』



その声と同時に大蛇を見上げれば、更に声が響く


『勇者たちよ、オリハルコンを置いて聖剣を諦めよ』


「……もう、ワンダは攻撃されてる。今更……」


『ワンダの危機は、私が守ろう』


「……」


『その古き聖剣でも、邪神とは戦えよう』


ヨルムンガンドの視線の先の、聖剣をシゲも見つめる。


「(……この聖剣でも、戦える……のか?)」


なら、ワンダは……滅びない……?


「(なら、わざわざ……)」


━━……いや、若いのに背負わせるにゃちと荷が重いか━━


あの時のガルリーは笑っていたけれど……

本当はどんな気持ちで引き受けたんだろうか?


━━ドワーフとは、そういう性分なのです━━


なぁ、ワルツ。

君はあの時、どんな気持ちでこの言葉を発したんだ?



「……………ごめん、それでも……。オリハルコンは、置いてはいけない」


「当たり前ですよ、勇者様。あんなに苦労して手に入れたのに」


シゲの数々の採掘失敗を思い出したのか、ふふっと声を出して笑うワルツ。


「ヨルムンガンド様だからって、言うこと聞く必要はありません!」



違う、、違うんだよワルツ。

俺は今……ワンダに滅んでくれって言ったんだよ……。



「ね?勇者様。一緒に聖剣を完成させましょう」



嫌だと、たった一言で良いんだ……

そう言ってくれたら……

俺はオリハルコンを置いて行けるのに……



「……アリア、もっぱついけるか?」


「うん、大丈夫!」


「可能性があるとしたら…」


小さく呟いたその直後


背後で凍慈のクリスタルが緑に光る


【森林の息吹き】


更に、アリアの周りを水が包み込み、バトルフィールドの大外をぐるぐると水が波を立てて動く


【水源の歌声】


『よくぞ気がついたな、フェンリルの騎士よ』


ウンディーネがそう言って微笑む

直後、美しい歌声がバトルフィールドに響き渡る


『さあ、お覚悟を、ヨルムンガンド様』


あの日、サンダーバードに攻撃が掠りもせず頭を下げていた、頼りなさそうだったドリアードは…


ウンディーネの歌声に合わせて華麗な躍りを踊る


「………そっか、ニャウィー。君の魔法は……ここから来ていたんだな」



『新参の神獣が、私に勝てるとでも?』


ヨルムンガンドの余裕は、すぐに消え去る事となる


ドリアードの木属性攻撃の木の幹は、ウンディーネの水を吸収し、一気に巨大な大木へ


『!?』


ヨルムンガンドを包み込む程の大量の弦や幹


「なんや忘れてるっぽいから思い出させたるわ。土の天敵は……木属性の神獣や!!」


凍慈の声に合わせるように【水源の巨大樹林】のテロップと


巨大な木の攻撃により、ヨルムンガンドのHPははじめて大きく減少した。


「お、やりよるやんけ」


シェル全

リーフセイバー付与


回避アップLv3

敵にスロウ付与(継続10ターン)



「知ってた?合体技になること」


「いや、知らん。でも、過去作で水と木の神獣は相性よかったのを思い出してな。まぁ、賭けやったけど」


「そっか。でも助かった」


「………シゲ。後悔は今するとこちゃう。ワンダのストーリー全部観てからや」


凍慈。確かにそうかも知れない。


でもさ。全部観終わったら……


ワンダはなくなったあとかも知れないんだぜ?


「わかってるさ」


そう小さく発したシゲのクリスタルが真紫に光る


ぎゅっと握りしめ、技をセットしているバレットの文字が光る



「15ターン、経過だ。ヨルムンガンド」



小雨が降り始め、水を踏みしめる蹄の音が鳴り響く


『貴様も、ワンダが滅びれば良いと思うのか!!』


ヨルムンガンドは怒り雄叫びを上げる


そして、はじめて身構えた


鱗を逆立てて警戒する……



『オーディン!!』



ヨルムンガンドの視線の先


8本脚の馬に股がる初老の騎士は透明の剣を引き抜き構える



『我が心は、マナの女神様のみぞ知る』



【斬鉄剣】



その文字と同時、、巨大な剣の一振により……空間が割れ


割れた部分が空間へ吸い込まれ


辺りが一気に歪んだ



『………』


それでも、残り4割程だろうか


「皆様、ちょっとだけ僕にお時間を下さい」


震えて腰を抜かしていたワルツは今


「あの、ヨルムンガンド様。聞いてください」


巨大な蛇の真正面に立って微笑んでいた


『………』


「聖剣を研いでも、ワンダは……滅びません」


『いや、滅んだ。3度だ。知っておろう』


「本当に滅んだのなら、どうして聖剣を研ぐ技術が残ってるのですか?」


『!!』


「ドワーフがいるところが、ワンダなのです」


そのワルツの言葉が終わるかどうか


バトルフィールドが、パリンと音を立てて割れる…


『………滅ぶともか』


「壊れたものを直すのは、ドワーフの得意仕事です!」


ヨルムンガンドはおもむろに鱗を一枚剥がすと、それをワルツへ。


『若き騎士見習いよ。それを持っていけ。役には立つであろう』



そう言って、ヨルムンガンドは這い出て来た穴へと戻って行った…。


「……ありがとう、ワルツ」


そう言ったシゲの、その表情を見つめること、少し……


ワルツの笑顔は変わらない



「さぁ、ワンダへ急いで戻りましょう!」



なぁ、ワルツ


俺は感謝の言葉を……

ちゃんと笑って言えていただろうか……




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