聖剣復活への道⑤
拓けた場所へと出たシゲ
奥からキラッと2つの目が光る……
『…………ようやく来たか。待ちくたびれたぞ』
え、何言ってるかわかるぞ?
古代の神獣以外でも、人語しゃべれるのがいたのか……。
「って、律儀に待ってくれてたのか、めちゃくちゃ良いやつじゃないか」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……え?なんでみんな黙るの?ドワーフ流?」
「ちゃうわ!!」
凍慈がそう言った、その直後だった
ガラガラと周囲を崩しながら、“ソレ”は姿を現す
いや、崩しながらではない……
「……ど、、どう、どうして……」
ワルツは腰を抜かしてその場にへたりこみ、シゲたちは命の危機を感じるその姿に……、即座に武器を引き抜き構える
『聖剣を研いではならぬ』
声は轟き、一言一言で大地が揺れる
しゅるしゅるという音は、その巨大さゆえに地鳴りとなる
『研いだワンダは全て滅んだ』
そう、あまりの大きさに……
動く度にまわりが巻き込まれ崩壊していっているのだ
『ワンダを滅ぼす、魔剣なり』
「自分で言ってただろ……。こっちは、北欧神話由来なんだなって」
シゲはオルブラッド入りした時に発した自身の言葉を思い出し、正面をぐるぐると取り囲む“ソレ”を見つめる
「知り合いか?」
くるくるっと弓を回して構える凍慈
いつものような余裕はなく、その笑顔はやや引き吊っている
「いやー、知り合いにはいないかな」
無理にははっと笑ってみたけれど、声は、緊張からか……掠れていた。
「……まさか、実在したとはな」
ガルーダがそう言って巨大な大盾をかまえるが、相手の大きさからしたら心許ない
「よ、、ヨルムンガンド様」
消え入りそうなワルツの声と同時、見上げる巨大な蛇はようやくその全貌を露にした。
【眠りから覚めし谷の主・ヨルムンガンド】のテロップと同時
バトルフィールドが展開された
「カーバンクルの奇跡!!」
プロテクトLv3
HP継続回復Lv3
一撃死1度だけ耐える
「火竜のブレス!!」
炎属性攻撃
魔攻アップLv3
敵にやけど付与(継続10ターンダメージ)
「月の導き」
月属性攻撃
魔防アップLv3
ムーンセイバー付与
アリア、セピア、リアが順番に召喚魔法を放ち、ガルーダのクリスタルが光った。
「雷の鉄槌」
雷属性攻撃、その文字と同時にサンダーバードが姿を見せて、ヨルムンガンドに雷の矢となり向かった、その直後
『久しいな、サンダーバードよ』
「……あかん」
凍慈の小さな呟き、そしてヨルムンガンドは巨大な口を開き、光線を吐き出すとサンダーバードは石になって落ちる。
「サンダーバード様!!」
「……クリア!!」
アリアの状態異常解除魔法により、地面スレスレでサンダーバードは再浮上するも、苦虫を噛み潰したような表情でガルーダのクリスタルへと戻っていった。
【召喚、失敗】
「……なんでノームなんやろ、と、思っとったんや」
「どういう?」
「……………ヨルムンガンドは、1~3作目までは…土の神獣で、サンダーバードの天敵やったはずや」
目の前に見える敵のHPは、あまり減った気がしない
「……ドワーフゴリマッチョは仲間にはしたくないけど、ヨルムンガンドは最強格やったからな。だから仲間にせざるをえんかったけど…」
「人気なかったんじゃなかったのか……」
「……人気はない。なんせ、一番選ばれてるのに毎回人気投票はランキング外の不名誉を賜ったくらいや」
ワルツ、安心しろ
君はきっと人気出るよ!良いやつだもん!
ふとヨルムンガンドの視線がワルツへと向かう。
『そこにいるのはドワーフか。私の残した石盤はどうした』
じゃあ、あの石盤を残したのは………
見上げるが、最早視線が合う事はない
「……石盤は残っておりますが、石盤に従えとは書かれておりませんでした」
待て、ちょっと屁理屈凄くないか?
『なるほど。確かに書いてはおらぬな』
え?待って待って。
その屁理屈通るの?
「ヨルムンガンド様であろうと、道を塞ぐなら!ですね」
立ち上がったワルツはにこっと笑うと、武器のハンマーを手に。
心なしか、少し震えている。
「だね、とりあえず必殺技で削ろう」
シゲはオーディンの召喚魔法へと視線を落とす。
「15ターン後か」
オーディンの文字の下には「15」の文字。
「アリア。必殺技うったら、状態異常解除と回復に専念や」
「わかった」
「条件戦やとえーけどなぁ、きばりや」
ダメージ箇所は、頭と首、胴体。
でかいだけあって攻撃範囲が広いのは有難い。
全員の必殺技がヒットしたにも関わらず、そのHPは減ったのかも怪しい。
「……………マジかよ」
そんな言葉が出るくらいには、手応えが無さすぎる。
『オリハルコンを置いて行け、さすれば命は取らぬ』
状態異常ブレス、土属性の全体攻撃と、攻撃の種類も多い。
『………致し方あるまい』
そう、声が聞こえた瞬間だった
『━━4━━』
今までの必殺技のモーションとは……全く違っていた
そう、なんの動きも見せず、ただ数字が口から放たれるのみ
「なるべく削れ!!」
最後尾の凍慈の大声に、全員は即座に反応
全員全力で最大火力のある攻撃にうつる
その姿を……ヨルムンガンドはただ見下ろし……
『━━0━━』
「……来るで」
カウントと、凍慈のその言葉が終わるかどうか…
『マグニチュード6』
足元がなくなったような、立っていられない程の揺れ
大ダメージではあったけれど、カーバンクルの奇跡が発動する程のダメージはなかった。
「火力までは、神話とは違うか」
まぁ、神話のヨルムンガンドは少し動いただけで…そう思うと、少しも動かないヨルムンガンド。やはり忠実なのかもしれない。
そんな「蘊蓄」を心の中にとどめ、ほっと胸を撫で下ろした、その隣で凍慈が「これもナーフされとらんのかい」とぶつくさ言っている。
「え?」
「良かったな、ヨルムンガンドのマグニチュードは、1~10までのランダム威力や」
「つまり、、ほぼ半分の威力で……これ?」
再び、、ヨルムンガンドからカウントダウンの声が鳴り響く…
「ちなみに、1残しが9、10が出たら、即死や」
「カーバンクルの奇跡は……」
「過去作の記憶が正しければ…バフ無効が付いてて貫通してくる。10が出んことを祈るしかない」
理不尽、その言葉は声にはならず
握りしめた剣に、はじめて汗が滴った……




