聖剣復活への道③
「ほら、みなさん!暗くてジメジメしてるのは洞窟の中だけで十分ですよ!」
ワルツは明るくニコッと笑った
そうして、無言のシゲ一行に振り返ると…
「ごらんあれ」
そう言って大きな扉をボタンで開門した瞬間……
全員は息を飲んだ
目に飛び込んできたのは、煌めく様々な宝石の水晶が散りばめられた、輝きを放つ谷
【宝石たちの眠る谷】のテロップと、幻想的な風景は心を洗うようだった
「……綺麗」
身の丈程の水晶は姿を映すのに、その後ろが見える程透き通っている
「ここは、12の神獣が生まれ、また還る場所だと言われてます」
「……これ、宝玉と似た力を感じる」
そっと水晶に触れるアリアの言葉に、ワルツは鼻高々だ。
「マナの女神様は、宝玉をアンバーの谷の宝石からお作りになったと聞いております」
幻想的な風景に息を飲んでいた、その背後。
ガラッと何かが崩れる音と……
カラカラと小石が転がる音がして……
そして地面を踏みしめる音。
「……はぁ。せっかくこっちは心清らかな気持ちになってるってのに」
すらっと腰から刀を引き抜いたリアが、姿をみせたモンスターに向き直る。
「ちょっとはさ、空気読んでよ」
「空気を読むか……。リア、君が一番苦手だと思うのだが……」
ガルーダは槍を手に、リアの隣へ。
「褒め言葉として貰っとくよ」
「ええ!?なんでアンバーの谷にモンスターが!?」
驚くワルツ
なんだろう、何回も聞いた事のあるセリフだけど……
「邪神の影響、、かな?」
人くらいのサイズのドラゴン?
「プチドラゴンや」
あー、確かにボスドラゴンからしたら……待って待って。
「ほかにネーミングなかったのか!?」
「ひゃー!どうしてここに、アンドラカウラーが!??」
あ、その名前。オルブラッドで食べたあの美味しい………え?
猪の頭、前足、その後ろの下半身は蛇のような見た目…。
「思ってたんと違う……」
前足で地面を蹴った瞬間だった。
地を這うように物凄いスピードで突進してきた。
「動きがちょっと気持ち悪いっ」
「シールド!」
ガルーダの大盾に弾かれたが、すぐさま体勢を立て直して、再びうねうねとした動きで突っ込んで来る。
「先に肉食べて良かったな、、見てからやったら絶対食わへん!!」
「同感!!」
上空からはプチドラゴンが火を吹いてくるので、ガルーダはそっちをガード。
「……サポートします!」
ワルツがハンマーを取り出すと、背後で白い煙、カンカン!と音が鳴り、、
「捕獲アイテム!落とし穴!」
ぼん!とアンドラカウラーの目の前に何かが設置され……
面白いくらい罠の中へとモンスターが一気に落ちていく……
「な、何それ!?」
「僕の職業は【クリエイト】。戦闘で役立つアイテムを即席で作り出します♪」
え?なんか凄い職業だったりしないか、それ。
「よっしゃチャンスや!」
落とし穴に落ちたモンスターに集中砲火、一気に倒したは良いけれど……。
「なんだか、ちょっと絵面が……」
「アンドラカウラーの肉ゲットしたし、また食えるで」
「……なんか間違ってるような?」
あれ、俺たち…勇者一行だよな??
「嫌なら襲って来なきゃ良いのさ」
ふとモンスターから避けられているジェダが脳裏をよぎる。
なんだかちょっとわかった気がした。
「……あれ?これは?」
シゲの持つ地図の上に記される、謎のいくつかの黄色いマーク
「これはチェックポイントやな。たぶんここに手がかりがあるはずや」
なるほど。
こういうところは、まぁ、ゲームの設定なのか?少し有難い。
宝石っぽいモンスターから、ちょっと土っぽいモンスターからわんさか出るのはやめてほしいが……。
「大砲!」
とか
「ネット!」
とか
「トラップ罠!」
などなど……。
「……ノームの騎士って毎回こんな感じだった?」
ワルツ、なんであんなに不安になってたのか謎くらいの大活躍だ
「いや、ハンマー振り回すゴリマッチョキャラばっかやったで。不人気過ぎてテコ入れしたんちゃうか……?」
ハンマー振り回すゴリマッチョ……
「あと、クリエイトは新規の職業や」
「どうかされましたか~?」
ニコニコ笑うワルツ
確かに…ゴリマッチョだったらちょっと…人気でなさそう……
「間違いない、ワルツはシークレットキャラやな」
「……シークレットキャラって何!?」
「クリア特典や。2周目とか、ある一定条件で解放されるキャラ」
「へぇ……。色々考えてるんだな……」
「勇者は毎回、10周とかデフォやで」
この道のりを……何回もか……
そう思うと…、割り切れている凍慈が……
「ちょっと、羨ましいよ……」
「なんか言うたか~?」
「いや、何でもない。さ、さっさとオリハルコン見つけちゃおう」
溢れ出た感情に、静かに蓋をした




