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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
邪神へ続く道
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託されし槍





[フアン、話をしよう]


皇国の王の間に佇む、一人の男性の後ろ姿から始まる


[招いた記憶はないぞ。アトランティスのネプチューン]


[……正気か問いただしに来た]


[常に]


[この日に、、いや、、王妃の命日に!!侵攻するなど正気なわけないだろう!!]


あまりの気迫に、ただの家臣は腰を抜かしその場にへたりこむ


近くにいたジェファンはその言葉を聞いて、あからさまにうつむいた


[ジェダが、どう思う。シェアリーが喜ぶと思うか?]


[……星見は間違えない。妻の命日に祭りを開く国など、腹立たしい以外あるまい]


[フアン、貴様ッ!!!]



ネプチューンがトライデントを手にした瞬間だった



[……それを使うならば、私は貴方を倒さねばならなくなる]



ファイ王とネプチューンの間にジェファンが立つ


百戦錬磨、戦場の軍神とまで言われしその武人…


しかし……その瞳は、揺れに揺れていた……



[……今の私にも負けそうだぞ、ジェファンよ]


少しだけ、からかうように話しかける


あの、学舎の時のように…


彼の動揺は広がりをみせるだけだった


[……ジェファン。この花は、お前からシェアリーに渡してくれ]


話し合いがダメなら、刺し違えてでも、、そう思ったが……


[もう、手遅れなんだな……。残念だ]


ネプチューンがジェファンにシャイニングの花を渡し、王の間を出て行った



[オルブラッドのベヒーモス、復活よ]



すぐあとに部屋へと戻って来た女性、そして軍隊



[オルブラッドは、しばらく機能しないでしょう]



その言葉を聞いた後、ジェファンはその場を後にした


 




「………派手にやられたな」


「復活したモンスターが暴れただけさ」


三日前のオルブラッドとは思えない、あちらこちらで火の手の上がる城下町。

城もあちらこちらで攻撃の被害が見てとれる。


「なに、気長に復興するさ」


しかし、当のアザリアスはさして気に止めない。


バルコニーから下を見て、ぽつりと「花が無事ならそれで良い」と呟く。


「俺の周りは極端な奴ばかりで困る」


「………ムチャをするな。もう、私は失うことに疲れたぞ」


その言葉に…すっと手の中のトライデントを見つめるネプチューン。


そして、何か意を決したのか……。


「勇者一行は、まだこの国に?」


「指定の宿で休んでいる。今日、明日にでも…準備が整えば…。ワンダへ行く事だろう。聖剣を元に戻しにな」


「そうか、わかった。ワンダ……ガルリーか」




アウゼンハイドの夢?ムービー?

それを見終わったからなのか、急速に意識は覚醒していく。


「………今何時?」


寝起きのシゲの言葉に、既に起きていた凍慈が反応する


「そうね~だいたいね~♪」


ほんの一瞬だけ、どういう意味かと思ったけれど…


「………今何時?」


「ちょっと待ってて~♪」


「………今何時?」


「もう、夕方~♪」


そこでシゲはついに吹き出して笑った。


「………懐《なつ》い」


凍慈って歌うんだな、そう思うと、ジェダだって歌うよなぁなんてふっと思う。


「懐かしいけど、老若男女知っとる名曲やで?」


「てか、まだ早いじゃないのかよ」


「もう夕方や、なんなら遅いやろ」


この星の歌ってどんな歌なんだろう?


アリアに聞いてみようかな、そんな事を考えながらベッドから立ち上がる。


 


 


「本当に寝坊助なんだから」


アリアの声、そして外には既に、皆集合していた


宿の前にはオルブラッドを訪れた時に乗った馬車が停まっており、白い鎧のバルドルも一緒だった。


「………ワンダへ、我々が送りたかったのですが」


「いやいや、そういう訳には」


「馬達が入り口へ案内します。ドワーフは、とても気難しい一族です、お気をつけ下さい」


その言葉に、全員の視線はリアへと集中する。


「僕を見たって目の保養になるだけだよ」


「あはは、もう慣れたよ」


リアの言葉に笑って返すと、バルドルへと視線を向けた。


「どーいう意味かなぁ?」


まぁ、背後のリアは無視するとして。


「準備が整い次第、馬車へ乗れば目的地へと移動を開始します」


「………買い物は、大丈夫そうかな?昨日買ったもんね」


シゲの言葉に全員が馬車へと乗り込もうとした、その瞬間



「ちょっと待ってくれ。ふぅ、危ない危ない。間に合わないところだった」



振り返った先にはネプチューンが立っていた。



「…えっと、、どうかされましたか?」



シゲのその言葉に、ネプチューンは一行を順番に見ていき……


そして一人の騎士でその目の動きは止まった



「………君は、ガルウェンの血脈だな」


「!!?」


ガルーダの金色の瞳が大きく見開かれる


「そうか、やはり。よく似ている」


「亡くなった兄を……、ご存知なのですか?」


「ああ、同期生だったからな」


すっとガルーダに手渡された金色に輝く槍


「邪神退治に、連れていってやってくれ」


ガルーダの手には、トライデントが輝く


「………これは」


拒否しようとしたガルーダの肩を、ぽんと軽く叩くネプチューン。


「邪神か、その腹心。その槍の持ち主たちを殺した奴がいる。仇を、取ってくれ…。勇者一行よ」



【ネプチューンからの高難易度モンスター討伐依頼】というテロップと。


「仇って、もしかして……トリトルの……」


「そうだ。ガルウェンが使っていた槍を……トゥーランが持って戦いに赴いた。結果は知っての通りだ」


ガルーダの兄、そしてトリトルの母の命を奪った奴がいる……


「………我、ガルーダ・ウィングバード」


受け取った槍をくるくると回してみせると、ガルーダは槍を左胸に構える


「騎士の名誉にかけ、その依頼、承りました」



頼んだ、そう言ったネプチューンと……凛々しいガルーダと



「最強槍武器ゲットやん、マジか」


相変わらず情緒のない凍慈はもう放置しておくとして。



「………責任増やしてどうすんのさ」



その景色とは裏腹に……


リアのその、近くに居たシゲにしか聞こえないような、呟きのようなその一言は……、妙に脳裏にへばりついた……



「やっぱり、この世界は理不尽だな」



だからだろうか


そんな事を、少しだけ思ってしまった……




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