5.見学ツアー
資金繰りは思わぬ形で心配なくなった。
オークションへの入場どころか出品者として入場することになり、
手続きは全部ハンターギルド任せ。
目玉商品の魔道具は輸送中。
つまりはオークション当日まで暇になってしまったのだ。
暇つぶしのネタを探していると、ハンターギルドから会場予定地の見学に行くかどうかの問い合わせがあったので乗っかることにした。
付き添いは問い合わせ地獄から逃げてきたギルド長である。
「最大の練兵場でしたっけ?」
「そうだ。お前さんは行ったことないのか。」
「一介の商人が軍事関係に手を出すわけないでしょ。」
「あのグルメ貴族と懇意にしている件や、あのロフラート家の別館のことを聞く限り、やらかしかねないんだがな。」
「俺はそーゆうのと無縁ですよ。槍の一本すらまともに扱えやしねぇ。」
「そういう意味じゃないんだが…」
他の希望者と一緒にオークション会場見学ツアーが開始される。
詰め所、連絡所、火器倉庫、炊事場等々…
ただ、演習場は衛兵や工夫が会場作りで立ち入り禁止だったので柵の外から見るだけだった。
「まさかプレハブ工法でやってたとは思わなかった。」
「お?お前さんよほどの田舎者か迷い人か?こういう大規模なイベントじゃよく使われるんだ。
会場を急遽変えることができたのもこのおかげだな。」
このあいだの鉄骨鉄筋コンクリートといい、建築に特化した迷い人が居たのかね。
そんなことをぼんやり考えながらツアーの行列についていくと、最後に記念品が配られた。
「なんじゃこりゃ。」
「オークションの公式マスコットキャラクター、ハンマー君だ。」
「なんちゅう安易な…まさか着ぐるみも?」
「あるぞ。」
「うへぇ…」
着ぐるみ文化まであるとは。
どこまで侵食してるんだ迷い人。
見学が終わり、また待ちの日々が続くのかと思った時、その一行がデッサに姿を現した。
「あれは…泥下の蓮のリーダー?えらく人数が多いなぁ…って、魔道具の護衛はあの団体がやってたのか。」
たしかに彼らなら確実だし、後方支援が効いてるから安全マージンが取れるな。
あ、こっち気づいた。手を振ってやろう。
泥下の蓮の一団はそのまま会場予定地へ進み、魔道具を保管する様だ。
これでやっと延期していたオークションを開始することが出来るな。
プログラマやってると物書きと逆ベクトルの能力が伸びていって、
いざ物書きするときすごいしんどいと感じる。
単純に文才がないだけだと思いたい。




