1.キーヴォの石つぶて
表商売の弁当屋が落ち着き、裏であるミアー卿御用達商会も
唐揚げが流行しているためしばらくはお休みとなった。
長期の暇が出来たのであればやることは一つ。商品登録だ。
それに東部は粗方見て回ったけどまだ中央〜西部が完全に残っている。
これを機会に行かないという選択肢はあるわけがなかった。
とはいえ稼働を始めたばかりなので何か起こったら戻らないといけない。
ということなのでデッサ近辺で行き先を見繕う事となった。
「デッサ周辺は…どれも名産はなさそうだなぁ。」
他に参考に出来る物はないかと新聞を眺める。
「なになに?ロフラート家のお家騒動で封鎖していたキーヴォが開通?」
「キーヴォっていったらデッサから北に行ってすぐにある街ですね。」
モールニヤ店長君が補足してくれる。
なるほど。近いならちょっと野次馬してみたくなったので次はキーヴォに行くことにしよう。
列車の切符を買い、プラットフォームへ上がる。
普段使っている寝台列車ではなく近郊を走る各駅停車用のホームなのですこし新鮮な感覚だ。
一時間に一本の2両編成という首都圏住まいだった自分からみると少ないが
乗った編成で乗客率70%程度だったので、これは多い方なんだろう。
デッサを発車して4駅目、キーヴォに着いた。
列車を降りてニュースの出所であるロフラート家の屋敷に向かってみようとするが道がわからない。
ストレートに聞くと暗殺者とか思われかねないから回りくどい感じで駅員に聞いてみよう。
「ここの観光スポットってどんなのがありますかね。」
「観光スポット?ニュース見てないのか?ここの観光スポットであるロフラート家のお屋敷はゴタゴタがあって今見れないよ。」
「へぇ、遠目に見るだけでも駄目ですかね。」
「いや、そのぐらいは大丈夫だ。お屋敷に通じる大通りに出るまでの道は教えるから、後は自分の判断でお願いしますよ?」
「へいへい。」
作戦成功。
言われたとおりの道を行き、大通りに出る。
車が出来たばかりの道路かと思うくらい轍だらけの荒れ具合だが、道幅だけはとても広いので間違いはないだろう。
屋敷は何処かなと鼻歌交じりに歩いているとガラス系のものが割れる音がする。
なんだなんだと音のした方向に行こうとした瞬間
目の前に靴が飛んできていた。
悪役令嬢ものに手を出してみようかと考えて失敗した物語




