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翌日、朝食の後ケントとライラ達はハンスの村へと帰り、俺は南の島の開拓の続きへと向かった。

調印式迄に出来る限りの事はしておきたい。無論負ける気は無いが万が一の時を考えてだ。


昼は開拓と移住に商品の製造。夜は召還陣に魔力を流し魔力の行き先の追跡と言った日々を過ごした。


調印式十日前、ケイオスを魔族を救った英雄としての公式発表がされた。王家の罪を認め、魔族領をドラグーン王国として独立を認めると共に、和平と同盟の調印式を行なうと言った内容だ。

この発表で教会が抗議に来たが、和平には教皇も参加する事を告げて黙らせ追い返した。

一般市民も困惑していたがガーランド家と俺が眷族を連れて街中を歩き回り、楽しげに露店巡りをする事で印象操作を試みたが効果は今一だった。一般的な感想は「またパンドラか」と言った感じで、俺達が魔族と居る事よりガーランド家が揃って露店巡りをしている事に驚かれてしまった。


調印式三日前、朝食を取った後ケイオス達を迎えに行った。ドラグーン城の門番にケイオス達に表に来る様に伝えて貰い、入り口前にお披露目用の車を出した。


「・・・・・おい・・・これは何だ・・・まさかこれに乗ってベルトラン王国の王都を廻ると言うのではないだろうな」


「そのまさかだが、何か問題でも?」


この日の為に作った四輪自転車は高さ2mで、屋根の上にケイオスが座る豪華な椅子を取り付け彫刻の施された柵で囲み、車体の周囲は紅白のリボンで飾り立てられていた。


「問題だらけだろうが!この様に無駄に飾り立てた荷車に乗って見世物になる位ならば歩いた方がましであろうが!」


「何だよ折角作ったのに・・・ちょっと待ってろ作り直すから・・・・・え~っと、ケイオス以外は回りに立つ感じで・・・・・・・・ほれ、これでどうだ」


「・・・・・これならまぁ良いか・・・今更行かぬとも言えんし・・・・・」


今度は漫画に良く出てくる王侯貴族が乗る様なオープンの馬車を自転車で引く感じにアレンジしてみた。


「折角の御披露目なんだから、もっとこう・・・派手にだなぁ・・・・・」


「ほう・・・それ程派手なのが好みだと言うのならば、街中を火の海に変えてくれようぞ」


「解った解った、それじゃ皆乗ってくれ。出迎えの連中を待たせるのも悪いしな」


全員が乗ったのを確認して転移で王都ベルトラの北門前に飛ぶと、そこには百人の槍を携えた兵士が道の両脇に並んでいた。そして俺達を確認するとその先頭に立つ一人の騎士が号令をだした。


「総員構えぇ!魔族を救いし英雄!ケイオス・ドラグーン陛下、並びに臣下の元帥、将軍達に敬礼!捧げぇ槍ぃ!」


一糸乱れぬ動きでケイオスに礼を尽くす兵士達に感嘆の息を吐くケイオス達を乗せた車を進ませ、先頭の号令を出した騎士の所まで移動した。


「ようこそベルトラン王国へケイオス陛下。本日護衛と先導の任を拝命致しましたベルトラン王国にて騎士団長を勤めておりますマークス・ガーランドと申します。以後お見知り置きを」


「出迎えご苦労、見事な統率であった。我臣下、魔族ではこうは行かん。だが、これからはこの様な事も必要か・・・・・参考にさせて貰おう」


「お褒め戴き恐悦至極に御座います。それでは皆様参りましょう、王都の民が皆様をお待ちです。どうぞ此方へ、ご案内申し上げます。総員配置につけぇ!進路南!・・・・・前へ進めぇ!」


マークスが騎乗し先頭を勤め俺達がその後に続く。その両脇を槍を肩に担いだ兵士達が行進をして王都へと入って行った。


王都での歓迎振りは凄かった。初めて見る竜人族にして魔族の王、英雄ケイオス・ドラグーン・・・・・よりも第一将軍のフェイルの方が女性に黄色い声を掛けられ第三将軍のアイリーンがやたらと男性に愛想を振りまいていた上に何故か「またパンドラか」的な声が俺に掛けられたのだ。


「・・・・・おい、貴様はこの国で何をしたのだ?行く先々でこうも声を掛けられるのは不自然であろう」


「ああ、俺も不自然だと思うんだが、いつの間にかこうなっていた・・・・・だが・・・その元凶も後数日で・・・・・」


「フッ・・・そうであったな・・・・・そなたが負ければ・・・次は我が狙われるのだろう?」


「ああ・・・多分な・・・・・だが、その心配はいらねぇよ・・・・・ケイオス陛下のお手を煩わせる訳には参りません。この私が露払いを致しましょう」


「ククク・・・ハハハハハ!露払いか!良かろう!そなたに任せたぞ!パンドラよ!」


そして一行は王都を一周した後、北門から貴族街を抜けて王城へと入った。

王城前では王家一同と大臣達が総出で迎え、そのまま昼食会となった。

因みに俺は王女が居たのでケイオス達が降りた後、直ぐに転移で逃げた為城内でどの様な話がされたのかは知らない。


更に翌早朝、教国へと教皇達を迎えに行った。

転移で王都南門前に飛ぶと信者達が迎えに来ていて教会の用意した馬車で王城へと向かったので俺は南門で御役御免である。

王都民は無反応・・・と言うか関わり合いたくないと言った反応だった。

最早ベルトラン王国では教会の権威は失墜してるのである。


そして俺にとって奴と戦う上での最も重要な日、調印式前日がやって来た。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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