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ハンスの村からケントとライラ達を連れてガーランド家へ。

皆で朝食を取った後、出勤するマークスを見送り俺達も出かける準備をした。一家総出でマークスの雄姿を見学する為だ。

出掛ける俺達を見送りに来たジェームスに一通の封筒を渡した。


「こいつをあんたに預ける。明日俺が戻らなかったらマークスに頼んでケイオスにあんたが直接渡してくれ」


「私が直接ですか・・・・・」


「そうだ、あんたなら中を見る事は無いだろうし、他の誰にも見せる事は無いだろ。機密保持の観点からあんた以上に信用出来る奴を俺は知らない。面倒を掛けるが頼む」


「畏まりました。パンドラ様の信用を裏切る事無く必ずやお届け致しましょう・・・・・と言いたい所ですが・・・帰って来るのでしょう?私の出番などある筈が御座いません」


「まぁな、そいつは保険って奴だ。奴との勝負は負けは論外、ただ勝つだけでも意味は無い。俺にとっての完全な勝利以外ならば帰って来たとしてもそれが必要になるかもしれないんだ。だからそいつをあんたに託す」


封筒の中身はこれまで俺が研究して来た魔法に関するレポートで、魔力操作や無詠唱に魔力身体強化と属性付与、転移と召還陣の解析と応用と言った内容になっている。これがケイオス以外の手に渡った場合に起こるであろう事態、軍事転用され強力な魔法部隊が敵国中枢を一瞬で占拠すると言った事態が起こる事を危惧しての措置だ。


使用人達に見送られ城へと向かう。城門で止められる事はもう無い。いつも絡んで来ていた兵士達はミゲイルに付いて行った様だ。あいつ等との遣り取りが無いのは少し寂しく感じた。


兵士に案内されて訓練場へ。周囲を騎士団に囲まれた観覧席に通され暫くすると陛下達がやって来た。


「タニア、縮こまるな堂々としてろ。お前はもう以前のお前じゃねぇ」


アレスの陰に隠れようとするタニアを引っ張って横に並ばせるとケイオスが眉を顰め此方を睨んで来た。


「・・・・・おい・・・ケイオス、なんか文句あんのか?言いたい事があんならはっきり言えや」


「ハッ!・・・その役立たずを連れて恥ずかしくないのかと思っただけだ」


「おいおい、タニアを役立たず呼ばわりするって事は上手く使えなかった自分を無能だって言ってる様なもんだぜ」


「ほう・・・我を無能呼ばわりするか・・・貴様とは一度拳で語り合う必要が有る様だな」


「止めとけ、ボコボコに顔面腫らした国王なんて様にならねぇよ。タニア!お前が前座だ、クビにした事後悔させてやれ!」


「は?!え?あたし?!そんな行き成り言われても何したら・・・・・」


「十人掛けだ、手足のリングを外す事を許可する。これまでの成果を見せてみろ。マークス、守備兵借りるぞ」


嫌がるタニアの首根っこを掴んで訓練場へ引き摺って行き、適当に兵士を選んで木剣を渡した。


「タニア、お前を鍛えたアレスに恩返しのつもりでやれ。全員倒したらご褒美にネックレスをやろう」


「ほ、本当ですか!やる!やりますよ!」


褒美に釣られてやる気を出して弓を構えるタニアが手を抜けない様に追い込む事にした。


「兵士諸君、タニアに一撃入れた者には褒美としてタニアを一日好きにして良い権利をやるから全力で行け」


そう言って席に戻る俺にタニアが「褒美が釣り合ってない!」とか言ったが無視して開始の合図を送った。


合図と共にタニアに向かって駆け出す兵士達と、矢を射掛けながら後ろ向きで逃げるタニア。

御互いの距離は縮まる事もタニアが囲まれる事も無く延々とその構図が続き、一方的にタニアが兵士達に矢を当てて行った。


「あ~・・・俺もあいつが戦う所始めて見たんだが・・・・・何かすまん。俺が悪かった」


「いや・・・我も大人気なかった・・・・・まぁ役立たずと言ったのは取り消そう。取り敢えずは使える様になっているしな」


暫くして全ての兵士を倒したタニアがドヤ顔で戻って来た。


「ご主人様~!やりましたよ!貴方のタニアがやりました!」


「お~タニア良くやったな!・・・・・なぁ~んて言うと思ったのか!」


タニアを誉めながら右手で頭を撫でる振りをしてアイアンクローを決めて、こめかみをギリギリと締め上げる。


「イタイ!イタイ!何で勝ったのにこんな目に遭わなきゃいけないんですか!ギャアアアァァァ!!」


「馬鹿野郎!前座が場をしらけさせてどうすんだ!ちっとは考えやがれ!」


頭を押さえて蹲るタニアを放置して次の試合の準備が始まった。

ベルトラン王国騎士団長と副団長対ビブリエ教国聖堂騎士団近衛師団長と副団長である。

四名の騎士が御互いの主の前に跪き頭を下げた後、訓練場へと向かった。

ここまで読んで頂き有り難う御座います。

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