表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/164

73

辰神と青山に案内されて大聖堂内を移動して行く。

焼け焦げ切り裂かれた服のままのせいも有ってか、やたら神官達に睨まれているなと思ったが、良く考えたら神の像壊してたっけと思い至った。


石造りの廊下を進んで行くと、やがて豪華な両開きの扉が見えてきた。


「教皇猊下はあちらの部屋にいらっしゃる。今取り次ぐから少し此処で待っていてくれ」


「あ?何言ってんだ、てめえらまだ自分達の置かれた状況が飲み込めてねぇみたいだな」


辰神の静止などお構い無しに扉を蹴り開け、部屋の中央に有るテーブルの反対側に座る男の正面の椅子にドカリと大きな音を立てて座る。


「ベルトラン王国全権大使のパンドラだ。今直ぐこいつを読んで返事を聞かせろ」


「・・・・・辰神よ、大まかな話は聞いてますが詳しい報告を。それからパンドラと申したか、そなたは別室にてお待ち戴けるか」


「ふざけるな、お前達に指図する権利は一切無い。時間の無駄だ、俺が全て説明してやるから良く聞け」


俺が北門から此処までの件を話してやると教皇の顔から血の気が引いていき、徐々に青から白に変わって行く。更に陛下からの書簡を読ませると顔色が白から赤に変わった。


「血迷ったかアスタル!同盟の破棄のみならず魔族と組むだと!しかも何だこの条件は!この様な条件が飲める訳なかろう!」


「おい、言葉遣いに気をつけろ、陛下だ陛下と御呼びしろ。本来ならその件で交渉に来たんだが・・・・・選べ・・・魔族との和平か、この国の消滅か、二つに一つだ」


「貴様!自分が何を言っているのか解っておるのか!その様な条件は飲めぬと言っているのだ!」


「おい、辰神、こいつじゃ話にならねぇ。こいつの次に偉い奴連れて来い」


「ま、待ってくれ!猊下の代わりなど居ないんだ。次期教皇も創造神様からの神託で決まり、他の神官達は皆平等なんだ!」


「辰神よ、そ奴の言う事なぞ聞くに値せん。即刻斬り捨ててその首を持ってベルトラン王国に攻め込むのだ!」


「猊下・・・私達は既に負けたのです。誰一人死なずに済んでいるのは彼の温情で有って奇跡でも何でも無いのです。今この場でこれ以上彼の機嫌を損ねる事はこの国の存亡に係わります。如何かご決断を」


「辰神、時間の無駄だ。何も知らないお前達のために俺が調べた真実を教えてやる」


俺は二百十三年前の竜人族と先代魔王『暴君アースラ』の話から、百三十年前のケイオスがアースラを倒す前に聞いた話をした。


「この話を信じ無くても構わん。だがな・・・少なくとも俺はケイオスやその部下達を含めた魔族とも話をした。お前達はどうだ?軍を率いて攻め込む前に使者を立てたのか?魔族を悪と断じる根拠は何だ?『神に言われたから』なんてガキの言い訳じゃねぇんだぞ。碌に調べもせずに侵略行為を働いておきながら『同胞が殺された』なんてふざけた事ぬかしてんじゃねぇだろうな?ケイオスは自分の領地と領民を守っただけだ、違うか?」


教皇達三人は俯いて何も言わなかった。


「アスタル陛下は言ったぞ『全ては教国の言い成りになり悪戯に自国を疲弊させた我ら王家の責だ』ってな。更に『出来る限りの償いもする』と。それに対するケイオスの答えはこれだ」


収納からケイオスからの書簡を出し教皇に読ませている間に玄田達三人からの手紙を辰神に渡した。


「あいつら三人からの手紙だ。聖堂騎士団を辞めてベルトラン王国で暮らしたいと言ってな、仕事と住む所も用意したから心配は要らん。あんた等はどうする?俺は使徒全員に自由になって貰いたいんだ」


「なっ!その様な勝手が許される訳なかろう!」


「おい、誘拐犯の仲間の癖に偉そうな事言うな。辰神、青山、よく考えてみろ、『神の使徒として召還された』なんて言ってるが自分の意思に反して連れて来られたんだ、誘拐以外の何者でもねぇだろ。それだけじゃねぇ、戦争なんて人殺しの片棒担がされてんだぞ」


「・・・・・そうだな、確かに貴方の言う通りだ。だが私は聖堂騎士団を預かる身だ、簡単に抜ける訳にはいかない」


「私もだ、副団長として団長を支えないといけないしな」


「そうか・・・・・あんた等真面目だな。まぁ、それもあんた等の決めた事だ尊重するよ。だが、他の者達の為に力を貸して欲しい」


「ああ、出来る事なら力に為りたいが、何をしたら良い?」


「行き場が無いならベルトラン王国に来る様にと伝えてくれ。後は神託の間に入りたい。そこに有るんだろ?召還魔法陣が」


「あそこはこの国で最も神聖な場所だ!私以外の者が入る事は許されん!」


「別に許しを請うつもりはねぇよ。辰神、案内してくれ」


「そ、それは・・・・・一体何の・・・召還魔法陣に何の用だ?」


「決まってんだろ。これ以上被害者を出さない様にぶち壊すんだよ。あ、壊す前に解析して日本へ帰還する足掛かりにするがな」


「か、帰れるのか・・・日本に・・・・・」


「現状、空間転移は出来る様になっているんだが、日本・・・地球には飛べないんだ。何が足りないのかを知る為にも召還魔法陣の解析は必要だと思ってる」


「・・・・・私は死んだ事になっているのだろうな・・・・・帰れる様になったとしても今更か・・・・・だが他の者達の為にはなるか・・・解った、案内しよう」


「良し、それじゃあ俺達が戻って来るまでに国を預かる者として良く考えて答えを出しておけ。青山は大聖堂内から教皇以外の全ての人を正面の広場に集めておいてくれ」


「な、何の為にですか・・・・・」


「そいつの答え次第では此処を更地に変える。行くぞ、辰神」


忌々しげに俺を睨む教皇を置いて辰神の案内で神託の間へと向かった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ