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パンドラが聖都で暴れている頃、開拓地の鉄の箱の扉が開き中から五人の男女が出て来た。
「ほ、本当に森が無くなってる・・・・・見ろ!ホレス!ここが俺達の村だ!俺は人生最大の賭けに勝ったぞ!!」
「・・・ええ・・・ええ・・・・・そうですね・・・二人で村を出て二十五年・・・何度も貴方の勘に助けられて来た・・・・・良かった・・・本当に付いて来て良かった!」
泣きながら肩を抱き合う二人を余所に、周囲を見渡し感想を述べる玄田と赤城と白井。
「うひゃ~広いなぁ・・・こりゃあ村って言うより町の規模だろ」
「ほんとね~・・・家の数だけなら大きめの村だけど全体の広さなら王都並みじゃない?」
「地図上では王都より少し広いらしいですよ。ん~アレスさんとタニアさんが居る筈なんだけど・・・・・家の中かな?」
三人でそんな遣り取りをしていると隣の家からタニアが出て来た。
「あ!何か騒がしいと思ったら玄田さんじゃないですか!御久しぶりですね」
「やあ、そっちこそ元気そうで何よりだよ。アレスさんは居る?水路関連であっちの二人が話をしたいんだって」
「アレス様なら北側から水路と溜池を作るって言ってましたよ・・・・・ってなんで泣いてるんですか、あの人達」
「ま、まあ、気にしないで。あの人がここの持ち主になるハンス商会の代表で、こっちの二人は僕の知り合い」
御互いの自己紹介を終えてアレスの所に向かった。
「タニアさん、それってパンドラさんから?」
「はい、なんでも耐久試験?とかで移動に使う様に言われているんですけど凄く便利ですよこれ」
「三輪なのは転倒防止かしら?荷台も大きいから買い物にも重宝しそうよね」
「なぁハンスさん此処の護衛の巡回用に何台か用意出来ねぇか?」
「そうですね、この広さなら移動手段は有った方が良いでしょうし。パンドラさんに相談してみますよ」
先行している畜産関係の様子を見ながら更に進んで行くと幾つかの土の山が見えてきた。
「あ、あそこですね。アレス様~!お客様がいらっしゃいました~!お茶にしましょ~!」
タニアが声を掛けると地面からアレスが飛び出して来た。
「おお、ホレス殿に玄田殿!ようこそ参られた。他の方々は初見ですな。始めまして、パンドラ第二眷属のアレスと申します。以後お見知り置きを」
「え・・・・・アレスさん・・・なんですか?見た目が随分変わっちゃいましたね」
「ん?・・・おお、そうであった。先日進化しましてな、これでライラ殿に少しでも近づけたのならば良いのですが・・・・・」
「・・・ククク・・・・・こりゃぁ良い・・・・・俺は白井秋一ってんだ。俺と手合わせしてみねぇか?」
「あんたも懲りないわねぇ。あ、私は赤城雀よ、よろしくね。アレスさん、この馬鹿の相手なんてしなくて良いから」
「私はハンス商会の会頭を遣らせて貰っている、ハンスと言います。アレスさんの御力添え感謝いたします」
「おお、貴方がハンス殿か!主殿から聞いておりますぞ。何でも判断能力に優れているとか。これからも主殿に御力添え戴ければ幸いです」
「ほらほら、立ち話もなんですから座ってお茶にしましょう」
タニアが収納鞄からテーブルセットを出すと皆が席に着き、お茶を配っていくと白井だけが席に着かず俯いて拳を握り震えていた。
「して、ハンス殿、本日の御用向きは?おそらくは用水路の件だとは思うのですが」
「ええ、その件もですが、入植前の状態を見ておきたかったので。正直、思った以上の出来で・・・・・パンドラさん達には感謝しても仕切れません」
「ははは・・・それでは用水路や溜池も良い出来にせねば為りませんな。ですが門外漢故、出来ればご助力願いたいのですが」
「その事ですが、専門の方を近い内に連れてきますので取り敢えず今のまま進めて下さい。後、二日後に本格的に入植を開始しますので覚えて置いて下さい」
「ふむ・・・・・そうなると我一人では護衛の手が足りなくなるのだが、そちらの手配は?」
「その心配も要りません。赤城さんを隊長に白井君を副隊長に据えて守備隊を結成する事になってますから」
「おお、御二人は主殿や玄田殿と同郷ですな。見た所、玄田殿より腕は立ちそうですし問題なさそうですな」
「ははは・・・悔しいけど実際この二人は僕より強いから心配いらないよ」
「アレスさん、私達に周辺の警備は任せて仕事に専念して下さいね」
「お前等!俺を無視すんな~!」
「む、赤城殿が相手をしなくて良いと言ったのでな。なんと言うか・・・ライラ殿に通じる所が有ると言うか・・・・・経験として逆らわない方が良いと思ったのだ」
「あら、アレスさんの方が私より強いでしょう」
「うむ、敵対するのであればそうだが、味方である以上女性に手を上げる訳には行きませんからな」
「あら意外と紳士なのね。シュウもちょっとは見習ったら?」
「・・・くっ・・・・・ちっくしょ~!!」
男として何か負けたと、駆け出す白井の叫びが開拓地に響き渡った。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




