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何時もの様に皆と朝食を取り、ライラの頭を撫でて留守を頼んでビブリエ教国の聖都の北門へ転移をした。
今回はベルトラン王国の正式な大使として来ているので車も使わずに大使らしく振舞おうと思い、服装も貴族の着る正装と同じ物を自分で作って着ていたのだが・・・・・
王家の封蝋と印が付いた書簡を見ても門番が信用してくれなかった。
教皇に確認を取ると言われ詰め所で待たされる・・・・・と言うか放置(お茶所か水も出なかった)される事一時間。
部屋の扉を蹴破り見張りをアイアンクローで締め上げ、書状を渡したと言う上官の所へ案内させた。
上官の執務室の扉を蹴り開けると、机の上には俺の渡した書簡が一つ残らず置かれたままに為っていたのが見えた。
「ほ~・・・そいつは一体どう言う了見だ?ここにそいつが有るって事は教皇様がここまで確認に来るって事か?まさかそんな事はねぇよなぁ・・・ははははは・・・大人しくしてりゃぁいい気になりやがって!二度と舐めた真似出来ねぇ様にしてやんよ!!」
書簡を取り戻してからの事は良く覚えていないが一つだけ言える事は。
つい、かっとなってやった。反省も後悔もしていない。
門番及び守備兵の被害者四十三名中、軽傷十七名。重傷二十六名。守備隊詰め所全壊。北門中破。全て素手による攻撃だったのと死者が出なかったのは理性が少しでも残っていたのだと思いたい。
弓矢や刃物所か魔法すら効かない俺を遠巻きに取り囲むしか出来ない守備兵達を見て正気を取り戻し、周囲を軽く見渡すと騎士らしき一団が街の奥からやって来るのが見えたので利用する事にした。
「どうやらこの国は余程戦争が好きな様だな!ベルトラン王国では貴族がこの国の大使に襲われた!更にベルトラン王国全権大使であるこの俺に対するこの所業は宣戦布告に他ならない!この国に神など居ない!居るとすれば戦好きの破壊神に他ならない!異論など認めん!事実!この国は魔族だけでなく味方である筈のベルトラン王国にも一方的に戦争を仕掛けたのだ!平和を謳って戦を仕掛けるなど言語道断!貴様等は唯の侵略者で人殺しだ!さあ!掛かって来い!一人残らず神を騙る奴の元へ送ってやる!光栄に思え!」
俺は一気に捲し立てると騎士達が来た方向、大聖堂に向かって主要道の真ん中を悠然と歩いて行く。
騎士達は俺を止めようと横一列になって槍を構えて静止の声を掛けてきた。
「止まれ!それ以上進む事は許さん!命が惜しくば投降しろ!」
「ふざけるな!貴様等に正義など無い!ベルトラン王国の全権大使に対し礼を欠き刃を向けた罪、国を持って贖って貰う!そこを退けぇ!邪魔する奴は命の保障はせんぞ!!」
止まらずに歩き続ける俺を騎士達は取り囲むと一斉に槍を突き出してきた。
十本の槍が俺の身体を捉えると金属同士を打ち合わせた様な音が響き、周囲の野次馬達から悲鳴が上がり騎士達は槍を取り落とした。
地面に落ちた十本の槍の穂先は全て曲がるか折れて使い物にならなくなっていた。
「ははははは!これが神の使いの力か!己との実力差も解らぬ小者が!この俺に手を出した時点でこの国の命運は決まった!聞けぇ!!ビブリエ教国国民よ!!この国は同盟国であるベルトラン王国に一方的に戦をし掛けた上にたった一人の男に負けるのだ!今後はベルトラン王国に敗戦国扱いされる事となるだろう!さあ、祈れ!己が信じる神に助けを乞うが良い!その行為が神など居ない事への証となるだろう!奴にとって信者の命など何の価値も無い事を証明するが良い!!」
俺は襲い来る兵士や騎士達の攻撃を避けもせずに次々と投げ飛ばし、通りの中央を悠然と進みながら神と教会への不信感を植え付けるために声を上げ続けた。
大聖堂が近づくにつれ、その前に有る広場の中心に大きな像が見えて来る。
石造りのその像は台座を含めて8m近くも有り、その顔は先日謁見の間で見た創造神と同じ物だった。
俺が石像に近づいて行くと徐々に攻撃は止み、俺と石像を中心に騎士と兵士が周囲を囲む。
石像を見上げニヤニヤと黒い笑みを浮かべる俺を見て、俺が次に取る行動を察知したのか、騎士達が静止の声を上げたが気にも留めずに石像を登って行く。
石像の頭を跨ぐ様に肩の上に立つと収納から直径1.5m長さ2mも有る超巨大ハンマーを取り出し肩に担ぐと、左腕をゆっくりと上げ人差し指を立てて天を指し仰ぎ見て大声を上げた。
「創造神の名を騙るペテン師よ!!何処に隠れて居るかは知らねぇが、貴様はこの俺様が見つけ出して必ず倒す!こいつは俺からの宣戦布告だ!受けとれぇ!!」
俺はそう言い放つと飛び降りながら超巨大ハンマーを振り下ろし、石像を頭から台座まで一気に叩き潰した。
信者達の悲痛な叫びと兵士や騎士達の怒号も全て打ち消す破壊音が鳴り響き、破片と土煙が周囲を覆う。
土煙が晴れ瓦礫の山と化した石像の破片の上に立つ俺に、怒りと憎しみの目を向ける人々を見渡し鼻で笑い、超巨大ハンマーを担いだまま大聖堂へと歩き出すと思い出したかの様に魔法と弓矢の攻撃が再開した。
大聖堂の周囲は槍の様な形をした鉄の柵で覆われていて、大きな両開きの門の前を塞ぐ様に兵士と騎士が待ち構えていた。
その騎士達の中央には使徒と思しき黒目黒髪の男が二人立っていて、その片方が軽く手を上げると攻撃が止んだ。
「そこまでだ!これ以上の暴挙は我等使徒が許さん!大人しく投降しろ!」
「・・・ククククク・・・ハハハハハ!・・・馬鹿かお前は!散々殺す気で攻撃しといて怪我一つ負わせる事の出来ないお前達相手に何故投降しなきゃなんねぇんだよ!笑わせんな!俺に喧嘩売った時点でお前らの負けは確定してんだ!神の名を騙るペテン師の操り人形如きが偉そうな口利くんじゃねぇ!」
肩に担いだ超巨大ハンマーを振り下ろし石畳に叩き付け半径3mのクレーターを作り威嚇して更に捲し立てた。
「そこを退けぇ!!俺が用が有るのは教皇だけだ!雑魚はすっこんでろ!此処から先は手加減せんぞ、死にたくなければ武器を捨てて降参しろ!」
ハンマーを収納に仕舞い変わりに以前アレスが使っていたグレートソードを二本取り出して目の前で交差させて打ち鳴らした後、左右に振り分けるとゴゥと空気を切り裂く音と共に粉塵が舞う。
「遊びは終わりだ・・・・・教皇に取り次げ・・・出来ないと言うのなら皆殺しにしてでも押し通る!!」
身の丈程も有る剣を両手に携えて前に出ると使徒の二人が剣を抜いて構えた。
俺は一瞬で距離を詰めると二人が持つ剣を半ばから斬り落とし、首に剣を這わせて再度問う。
「解ったか?俺の前にはどんな武器や防具も無意味だ。降参して教皇の下へ案内しろ、悪い様にはしねぇ」
二人の使徒の内の年上の方が観念して周囲に指示を飛ばした。
「・・・わ、解った、降参しよう・・・・・総員武器を下ろせ!これ以上の被害を出す訳にはいかん!怪我人の治療を優先、手の開いた者から瓦礫の撤去だ!」
「あんたが使徒のトップかい?玄田君から聞いているかもしれんが俺はパンドラだ」
「ああ、やはりそうか・・・私は近衛師団長の『辰神 博司』こっちは副団長の『青山 龍児』だ。タケからは『絶対に勝てないからけして敵対しない様に』とは聞いていたが・・・・・正直これ程とは思って無かった。部下達の非礼・・・いや、今更私の詫び等意味は無いか・・・・・案内しよう、付いて来てくれ」
俺は辰神と青山、二人の案内で大聖堂へと足を踏み入れた。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




