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その場に居た者達は皆ぽかーんと口を開けて呆けていた。
目の前で自らの放った剣を受け止め折られた騎士が、巨大なハンマーで潰されたように見えたのだ、無理もない。
「お~い!国王さ~ん!話の続きをしようぜ~・・・・・おっと、その前にジェラルドさん、こいつを何所かに監禁しといてくれ。それとガーランド家に迎えの馬車を出して貰えるかな?って・・・・・そんなに驚いた?」
二人の目の前にひらひらと手を振ると、ハッとしてジェラルドが動き出して周囲の者達が騒ぎ出した。
「貴様!自分が何をしたのか解っているのか!そのお方は騎士団長でレンフォール家の当主、伯爵様なのだぞ!」
「あ?ジェラルドさん、こいつ今何が起こったのか理解してないみたいだけど何者んだ?」
「あ・・・ああ、彼は副団長のウェンビー子爵です」
「はぁ・・・これで副団長かよ・・・百年も戦争やってりゃ人材不足にもなるわな・・・・・おい、ウェンビーさんよ、お前団長の剣がどうなったのか見てなかったのか?」
「それが如何した!平民が貴族に手を上げれば如何なるのか解らんのか!」
「解ってねぇのは手前だ・・・国防を預かる騎士団長が手を上げたんだぞ。この俺様に戦争を吹っかけたんだ。本来ならこの城ごとぶっ潰す所を誰一人殺さずに済ませてやってんだ有り難く思えや」
俺は無差別に殺気を放ち、全力で靄を部屋中に展開して国王とジェラルド以外を拘束した。
「大体手前ぇら騎士団がだらしないせいで他国に良い様に使われてんだろうが。俺はこの国が如何為ろうと知ったこっちゃねぇ。それを序とは言え助けてやるって言ってんだ、頭下げて『お願いします』って大人しくしてりゃぁ良いんだよ!」
そう言って周囲の兵達が身に付けている武器や防具を取り込んで行くと、拘束により動かせない口の奥から悲鳴の様な声が上がる。
「邪魔する奴は全員同じ様に消し去ってやんぞ!!」
目の前で起こっている事に呆然としていた国王とジェラルドが俺の怒声に動き出し駆け寄って来て跪いた。
「パ、パンドラ殿!どうかお許しを!臣下の非礼代わってお詫びいたします。どうか、どうかお許しを!」
国王と宰相が揃って深々と頭を下げると言う異例の事態に周囲の者達が目を見開き涙を流して嗚咽を漏らした。
俺は国王を指差し更に追い討ちをかける。
「見ろ!これがお前達の犯した罪の結果だ!お前達騎士団が俺に仕掛けた戦に負けたせいで国王陛下は責任を取らされる事になった!亡国の危機を招いた騎士団長と副団長には相応の償いをして貰うからそのつもりで居ろ!」
そう言い放ち靄を消すと背後から魔力の動きを感知し、振り返ると炎弾が三発飛んで来たので左掌に靄を展開して次々と吸収した。
炎弾を放った男は一瞬呆然としていたが、ハッと我に返り逃げ出そうとした所を俺が再度放った靄に捕まり呻き声を上げた。
「・・・・・おいおい・・・俺の言った事理解してねぇ奴が居んぞ・・・この国が如何なっても良いってのかこいつは?」
「・・・・・パンドラ殿、その方は教国から派遣されて来た方で・・・・・」
「・・・ああ、なるほど・・・・・この国を苦しめてる元凶だもんなぁ・・・おい、お前達のせいでこの百年間でどれだけの人が死んだか解ってんのか?いいか・・・教皇はな、自分の手を汚さずに何万もの兵士を死地に追い遣った人殺しだ!勿論その片棒を担いでいる教会やそこに属しているお前もだ!神に言われたからなんて言い訳にもならねぇんだよ!」
捕らえられた男は涙を流しながら悔しげに俺を睨んでいる。
「ハッ!お前まだ事態が飲み込めてねぇみたいだな・・・お前が取った行動は騎士団長と同じだ。解るか?つまりビブリエ教国はこの俺に宣戦布告をした事になる。更に言えばこの国の貴族の名代として来ている俺に対しての攻撃はこの国に対する宣戦布告でも有る!教皇の出方次第では教国その物が無くなると思え!」
そう言って腹を殴り気絶させて国王達へ向き直った。
「・・・さて、ジェラルドさん、こいつ等を牢屋に。それとガーランド家に馬車を頼む」
ジェラルドが指示を出し、兵士が三人を連れて行くのを見届けて予想より頭の悪い奴が居たせいで面倒な事に為りそうだと溜息を付いた。
ここまで読んでいただき有難う御座います。




