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「さて、あいつ等の処遇については後日改めて話すとしてだ・・・国王さん玉座に戻ってくれ流石にその侭じゃ決まりが悪いだろ」


国王に玉座に戻る様に促し、次元収納から取り込んだ武器と防具を次々と床に転がして行くと周囲に声を掛けた。


「戦意を無くさせる為に取り上げただけなんで返すぜ。余計な犠牲を出したく無いってのは本当なんだ・・・怖がらせて悪かったな」


兵士達が恐る恐る装備を取り下がって行き、元の位置に戻ると国王が話し始めた。


「パンドラ殿の寛大なる措置に感謝いたします。謝罪の意も込めて出来うる限りの便宜を図らせて頂きます」


「そんな硬くなるなって。ちゃんとこの国の利益にも為るから安心してくれよ。頼みたい事は取り合えず三つ、一つ目は近い内に店を開く事になってるんだが、その店に許可が欲しい」


「・・・・・出店許可でしたら商業組合の方で行っておる筈だが・・・・・何か特殊な商店なので?」


「いや、店自体は普通の雑貨と食堂なんだが、店内の規則がちょっとな。この世界の常識からすると反発が大きいだろうから国の許可が欲しいんだ」


「・・・そ、その規則とはどの様な物でしょうか?・・・・・」


「いや、そんな神妙になられてもな・・・まぁ、今後の事に繋がるんだが、店の前に『当店では身分や種族による差別及び優遇は一切いたしません』って看板に書いて置こうと思ってさ」


周囲の貴族達がざわめき、国王とジェラルドが眉間に皺を寄せ怪訝な顔付きになる。


「まぁ・・・あんたら貴族が受け入れられないだろう事は解っているが、魔族との和平とその後に向けての布石なんだ。店の規則が気に入らなきゃ行かなきゃ良いだけだろ?それでも店内で騒ぐ奴とか居るだろうから取り締まる為にも許可が欲しいんだが・・・・・無理か?」


「・・・むぅ・・・難しいが、確かに行かなければ良いと言う話だしな・・・・・ジェラルド許可証の発行を頼む」


「おぉ・・・助かるよ。序にジェラルドさん、平民街に噂を流して欲しいんだけど良いかな?」


「・・・・・魔族との和平に関する噂ですかな?」


「流石、理解が早くて助かるよ。それじゃ二つ目のお願いだ。王都周辺の土地の開拓をしたいんだが・・・馬車で半日から一日程度の距離で強い魔物が居たりとかで困ってる場所ないかな?」


「ああ、在る・・・が、あそこの開拓か・・・・・かなり厳しい物になるが何人必要なのだ?出来れば兵達を送りたくないのだが・・・・・」


「ん?兵はいらねぇよ開拓は俺と部下がやるから、開拓の許可と開拓後に俺の自由に出来る権利をくれ」


俺の言葉に全員の顔が青褪め静まり返る。


「・・・あれ?俺変な事言ったか?開拓した土地は自分の物に為るって聞いたんだけど・・・・・違ったか?」


「・・・あ、いや・・・パンドラ殿、そこは間違いないのだ・・・が、兵は要らぬと申したが、あそこは少数でどうにか為る様な場所では無いのだ。二十五年前には魔物の氾濫でマークス殿の父君も亡くなられておるし、年数回騎士団が魔物を間引いているが開拓はおろか氾濫を防ぐので手一杯なのだ」


「おいおい、攻めて来ない魔族よりそっちに人を回せよ・・・・・まぁそのお陰で土地は手に入りそうだな。で、それは何処に在るんだい?」


「あ、ああ・・・王都から北西に一日程行った所に在る森で、我らは『魔の森』と呼んでいる。その危険度故冒険者にも立ち入り禁止にしておるし、街道から離れておるから一般人は近づきもせんが・・・・・本当に兵は要らんのか?」


「いらんいらん、兵って下にいた連中だろ?あんなの居たって邪魔になるだけだし、他に人が居たら俺の自由に出来る土地が減るじゃん」


「そ、そうか・・・解った。王都からの簡単な地図と許可証に権利書を用意しよう・・・・・して、最後の頼みとは?」


「三つ目は教国に入る為の身分と教皇に会う為に・・・・・そうだな大使として国王からの密書を渡すってのはどうだ?さっき俺に魔法を撃って来た馬鹿を利用しよう。教皇に宣戦布告の意思を問うのと謝罪と賠償を要求する内容だ」


「・・・・・謝罪は良いとして賠償の内容によってはお応え出来ませんな」


「無理を承知で言うぞ・・・・・過去百年に渡る戦争でこの国が被った損失の補填、もしくは魔族との和平への参加だ」


「そ、その様な条件を飲む訳無かろう!それ所か確実に戦争になるではないか!そなたはこの国を救ってくれるのでは無かったのか!」


「落ち着け。損失の補填は和平を成立させる為のもんだし、どちらも飲まなければ教皇は大聖堂ごと消すから戦争にもならない」


「は?・・・え?・・・消す?・・・・・大聖堂ごと?・・・それは一体どう言う・・・・・」


「さっき兵士達の武器消したろ?あれとはちょっと違うが大聖堂周辺を丸ごと消し去って更地にするんだよ。それでその後に『神の代弁者を騙り人々を騙したため神罰によって消された』って噂を流して各地の教会の権威を失墜させるんだ。それでも影響力の落ちない教会は同じ様に消して行けば良いだけだ」


二,三箇所消せば誰も教会なんて信じなくなるだろ。と言う俺の言葉に呆然としていた国王が我に返り聞いてきた。


「・・・・・それが可能だとしてもその場に居たパンドラ殿が犯人とされ戦争になるのでは?」


「その心配も要らない。なぜなら俺も大聖堂と共に消えるからだ。まぁ消えると言ってもその場から居なくなるだけで消滅する訳じゃないけどな」


「・・・・・はぁ・・・よく解らぬのだが・・・可能なのですな?」


「ああ、勿論だ。それに消すだの何だのは最悪の場合で、そう為らない様に最善を尽くす積もりだから交渉は俺に全て任せてくれ」


「・・・・・解った。と言いたい所だが少し時間が欲しいのだが構わんか?」


「ああ、だが余り長くは待てないぜ。十日後には魔王と会う約束が有るんでそれまでに決めてくれ」


「ま、魔王と・・・会う・・・・・最早悠長に構えている余裕は無い・・・と言う訳ですか・・・・・解りました早急に決断しましょう」


「ああ、決まったら呼んでくれ。騎士団長と副団長の事も話がしたいしな」


「あの二人に関しては此方で決める積もりだったのだが・・・・・パンドラ殿は被害者ですし処分は保留して置きましょう」


「宜しく頼む。それじゃあ長い事邪魔したな。いい返事待ってるぜ」


そう言って扉に向かって歩き出したが、直ぐに立ち止まって国王に向き直った。


「そうそう、開拓の許可証だけでも先に欲しいんだが届けて貰えるかい?それとこれは土産だ良かったら試してくれ、それじゃ」


俺はウィスキーの樽を二つ置き、ひらひらと手を振りながら謁見の間から帰路に着いた。

ここまで読んでいただき有難う御座います。


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