43
ハンスを見送った後、王宮から使者がやって来た。
「明日の昼過ぎか・・・・・アレス・・・はまだ寝てんのかよ。ライラ、明日はアレスに思いっきり稽古付けてやれ。ああ、そう言やタニアもそろそろ武器が使える様になってた方が良いな・・・・・出来れば弓か魔法、遠距離攻撃が出来りゃ良いんだが・・・・・ダメっぽいな」
なんとなくタニアのステータスを確認してみた。
―――――――――――――――――――――――――
種族:サキュバス♀ 名前:タニア LV7
HP 80/80 MP 150/150
筋力:60 体力:50 素早さ:70 技術:30
知力:80 精神力:100 幸運:3
スキル:言語操作
装備:布と鉄のワンピース ハンマーシューズ
パワーリスト パワーアンクル
眷属契約〔契約主:パンドラ〕
―――――――――――――――――――――――――
「はぁ・・・お前ぜんぜん強くなんねぇな・・・・・もうあれだ、何でも良いから使ってみたい武器とか有るか?ここまで成長遅いと何使っても同じ気がするし」
「・・・うぅ・・・そこまで言わなくても・・・・・取り敢えず弓をやって見ても良いですか?近接攻撃は向いてないと思うんで」
「そうだな、お前は敵に近寄られたらギャーギャー泣き叫んで適当に腕を振り回してやられそうだもんな。弓にしても敵を倒す為じゃなくて足止めとして逃げ回りながら撃てる位に為れれば良いだろ」
「・・・あたしの事を変に理解されているのが嬉しくて悲しい・・・・・」
俺はお宝製造で中短距離用の複合弓と練習用の矢と的を作ってタニアに渡し練習に向かわせた。
「・・・ライラには悪いんだが暫く別行動になる・・・教会が何処まで影響しているか解らないんだ。出来るだけ俺以外に被害が及ばない様にしたいし最悪の場合はここを守って欲しいんだ、すまん」
「・・・主様が大変な時に傍に居られないのは嫌だけど・・・私じゃなきゃダメなんですよね?」
「ああ、王国軍ならアレスでもいいが使徒の動きは読めないし、玄田君より強い奴が複数敵に回った場合はアレスじゃ無理だと思ってる。それにアレスにはやって貰う事が近い内に出来る」
「解りました・・・出来るだけ殺さない様にしたら良いんですよね?」
「あくまでも可能な限りな。その辺の判断は任せる。まぁライラより強い奴なんて魔王軍で言ったら赤い髪の奴か魔王本人位だから適当に遊んでやれ」
ライラが「は~い」と返事をするとジェシカが「ライラお姉様、私とも遊んで下さいませ」と言い、ライラが「ケント君の御稽古が終わったらね~」と笑顔で返した。
「ジェームスさん北砦のマークスさんと玄田君に送って欲しい物が有るんだけど大丈夫かな?」
そう言って次元収納から醤油とウィスキーの入った樽を取り出す。
「お気遣い有難う御座います。お館様もお喜びになるでしょう。直ぐに手配致します」
「絶対にあんな砦なんぞ必要ない国にしてやる。そうなればマークスさんも帰って来れるだろ」
そんな話をしつつ昼が過ぎ夕方にはアイリスさんが、夕食時にはアレスが部屋から出てきた。
「・・・・・主殿・・・昨夜は醜態を晒し申し訳ありませんでした」
「いやぁアレスさん、御体の方は大丈夫なのですか?長い事臥せっていらしたので心配したのですよ。私が至らないばかりに辛い思いをさせて申し訳ありませんでした」
椅子に足を組んで座り、黒い笑顔を貼り付け大げさな身振り手振りと尊大な態度で丁寧な口調で話す俺と、吹き出しそうになり口を押さえる皆と青褪めて後ずさるアレス。
俺は笑顔を崩さずに立ち上がりアレスへと近づいた。
「さて・・・酒に酔い潰れて主で在るこの俺の手を煩わせただけでなく、御世話に為っている家にも迷惑をかけた罰を受けて貰うとしようか・・・・・そこに座れ、アレス」
アレスは俺に詰め寄られて顔色を失い、その場に正座をし俯いて目を閉じた。
「言い訳をしないとは良い覚悟だ。せめて苦しまない様に一撃で終わりにしてやる」
そう言って次元収納から座っているアレスより一回り大きな鉄のハンマーを取り出して構えると、ジェシカとタニアから「ヒッ」っと小さな悲鳴が聞こえアレスが顔を上げてハンマーを見て唖然とした。
「おりゃあ!」と叫びながらハンマーを振り下ろし、アレスの頭に当たると「カン!」と音がして蓋が外れアレスはハンマーの中にすっぽりと納まった。
俺とライラ以外は目を背けていた為にアレスが消えたか潰れて無くなった様に見えたのだろう。床に置かれた巨大な鉄の塊を見て呆然としていた。
暫くして「アレスさんは居なくなっちゃったの?」と言うジェシカの声にハッと我に返ったジェームスがハンマーに近寄り床を調べるが何も無い。
「こ、これは一体・・・・・パ、パンドラ様、アレス様はどうなったのですか・・・・・」
ジェームスの問いに答えようとした瞬間バタンと音を立ててタニアが気絶して倒れた。
「おおぉ!タ、タニアしっかりしろ!アレスは大丈夫だぞ!しまった・・・先に説明しとけばよかった・・・・・」
「う、う~ん・・・あ、あれ・・・あたしどうしたんだっけ・・・・・そ、そうだアレス様!アレス様はどうなったんですか!」
「あ~皆すまんちょっと遣り過ぎた。種明かしをするからこっちに来てくれ」
床に置かれたハンマーの近くに皆が集まり、俺が柄を握り持ち上げると白目を剥いて気絶したアレスがバタリと倒れた。
「と、まぁ中が空洞だからアレスは無事なんだが・・・・・罰としてこいつは飯抜きだな。このまま部屋の隅にでも転がしておいて俺達は食事にしよう」
食堂の隅に転がされたアレスにジェームスは渋い顔をしたが、アイリスが了承した為にそのまま夕食を取り、アレスを放置したまま皆でリビングへ移動し、明日の謁見に関して話をした後就寝となった。
翌朝食堂に転がったままのアレスを発見。蹴り起こし皆に土下座で謝らせた後、朝食抜きで動けなくなるまでライラと手合わせをさせた。
ここまで読んでいただき有難う御座います。




