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朝になったので朝食の準備に取り掛かった。


「ん~・・・茸で出汁を取って味付けは醤油。具は玉葱とキャベツに小麦粉と卵を溶いた奴を入れて水団風にしてみよう。後はサラダにマヨネーズとスクランブルエッグで良いか」


朝食の用意が出来たので食堂に行くとアイリスとアレスが居なかったのでジェームスに聞いてみると、思った通り二日酔いだそうなので水団を持って行かせた。


「パンドラ様、先程先触れの方が参りまして、後程商会の会頭が参るそうです」


「思ったより早い対応だな。悪いけど部屋を用意して貰えるかい?」


「畏まりました。応接室をご用意いたします」


「ありがとう。アイリスさんにはこっちの事は気にせず休んでくれと伝えてくれるかい?後、アレスは後で説教だ」


アレスの事は冗談の積もりだったのだがジェームスが伝えた所、二日酔いで青く為った顔を更に青くして布団に潜り込んでしまったらしい・・・・・マジで説教だな。


暫くして商人がやって来たと知らされて、応接室に移動して待っていると一人の男が通されて来た。

歳は三十代後半位で思っていたより若く、優しそうな見た目の普通の男だった。


「は、始めましてハンス商会の会頭をしておりますハンスと申します。ガーランド家に御呼び戴けるとは思っても居りませんでした。この度の御縁を繋げる様に誠心誠意努力したいと思います」


「あ~そんなに畏まらなくて良いぞ・・・・・俺の名前はパンドラでガーランド家の者じゃないんだ、期待させてすまない。だが俺と組めばこの国どころか世界一の商会も夢じゃない・・・・・どうだ、俺の話を聞く気は有るかい?」


「・・・・・お聞きしましょう」


「ん?以外だな・・・てっきり詐欺師でも見る様な目で見られて断られると思ったんだが・・・・・」


「そうですね、普通なら世界一などと言われたら笑い話にもならないでしょう。ですが私は商人です。儲け話になるかも知れないのに話も聞かずに判断は出来ません・・・それに・・・ガーランド家の者ではなくとも、応接室を借りる事が出来る人物である事には変わり有りません。その髪と目・・・使徒殿と御見受けしましたが?」


「残念、俺は使徒じゃない。それ所か場合によっては世界そのものが敵になるかもしれないんだが・・・まぁ、それでも話を聞くのならば座ってくれ」


ハンスは一切躊躇せずに席に着き真っ直ぐに俺を見た。


「・・・・・いやぁ・・・私はですね、こういう機会をずっと待って居たんですよ。世界が敵になると言う事は、場合によっては貴方が世界を統べると言う事ですよね?そうなれば私は世界の統治者の御用商人になる・・・と・・・ははははは・・・・・最高じゃないですか。で、私は何をしたら良いんですか?パンドラさん」


「あんた本当に商人か?そこらの兵士より肝が据わってるじゃねぇか・・・ククク・・・いいね、気に入ったよ。あんたにこいつを遣ろう」


そう言って俺はハンスにビッグボアの革で作ったリュックサックを次元収納から出して渡した。


「なっ!・・・しゅ、収納魔法ですか・・・・・容量によっては私など必要ないのでは?」


「俺は他にやる事が有るんでな・・・・・そいつの中に手を入れてみな」


ハンスはリュックを開けて恐る恐る手を入れると、目を見開き顔色を変えて固まってしまった。


「・・・ククククク・・・・・どうやら気に入って貰えたみてぇだな。そいつの中身を教国で売って来て欲しい。それと欲しい物の一覧もあるだろ、そいつを仕入れて来て欲しいんだが・・・・・出来るか?」


「・・・はは・・・ははははは!・・・いやぁパンドラさん、これの存在が知られたら私なんて簡単に消されちゃいますよ・・・はぁ・・・・・本当に帰らなくて良かった・・・ククククク・・・お任せ下さい。他には何か遣って置く事は御座いませんか?」


「そうだな・・・近い内に王都周辺で開拓をする事に為ると思うから農業従事者を集めて貰う事になると思う・・・後は王都内に店を用意して貰おうかな」


「・・・店の方は問題ありませんが・・・・・開拓と言う事は国家事業なのでは?開墾やら何やら数年単位で行うもので、農業従事者を集めるのはかなり先になる筈ですが?」


「心配すんな、そんなにかからねぇよ。近い内に国王に会う事に為ってるからその時に許可は貰うし開墾は俺の部下がやる。住む所は俺が作るから後は畑を耕して種だの苗だの植えるだけだ」


「へ、陛下との謁見ですか・・・許可と言うのも簡単に貰える物では無い筈ですが・・・・・何とかして来るのですね?方法は聞きませんが解りました。店の方の規模は如何しましょう」


「そうだな・・・・・五十人規模の軽食屋とその半分位の雑貨屋が入れる規模だな・・・ああ、二軒じゃないぞ、一軒でその規模だ」


「食堂と雑貨を1つの店でですか・・・厨房と倉庫と搬入用の裏口に停車場・・・・・従業員用の宿舎も必要か・・・・・かなりの規模ですが大丈夫でしょうか?」


「ん?倉庫は必要ないだろ。収納鞄を幾つか用意してあるし、最悪建物は俺が用意するから土地と設計図だけでも良いぞ。その代わり従業員の教育を確り頼む。貴族相手でも問題なく接客出来る様にしてくれ」


「・・・・・何故でしょう・・・聞けば聞く程訳が解らなく為るのですが・・・・・建物を用意するとはどう言う事でしょうか?それに貴族様がご来店為さると言う事は貴族街に用意すると言う事ですか?」


「あ~・・・俺は材料さえ有れば何でも作れるんだよ。後、場所は平民街で良い。だが、貴族が必ず買いに来る店になるし呼び出されても行く必要もない店になる」


「えっ?!・・・貴族様からの呼び出しに応じないのですか?!それは流石に無茶が過ぎますよ!うち程度の商会など簡単に潰されてしまいますよ!」


「その心配はいらねぇよ。あんたの商会はあくまで俺の依頼で店を作り、店員を用意し資材を納入してるだけだ。周りから何か言われても突っぱねて良い。まぁ無茶を言ってるのは解ってるよ。だからその報酬として開拓後の農村はあんたにやる」


「え?・・・あの・・・農村を?・・・私が?・・・・・いやいや、何言ってるんですか?!一商会の会頭が村長とか訳が解りません!」


「そこは考え方次第だろ。そうだな・・・商会お抱えの農家・・・・・いや、商会の会員として扱えばいいだろ。それに世界一の商会になるんだから農村と言わず町の一つ位牛耳ってみせろや。紡績や木工や鍛冶の工房も置いて、自分の店で扱う商品の製造を一手に扱うとかどうよ」


「・・・農家や職人を商会員にする・・・・・町一つが私の商会・・・・・プッ・・・ククク・・・・・ハハハハハ!凄い!凄すぎますよパンドラさん!正に夢の様な話だ!・・・ハハハ!・・・では先ずこの一覧の物の用意からですね・・・・・何ですこの『海水』と『白い砂』って?」


「ん?そのまんまの意味だ。言ったろ材料があれば何でも作れるって。教国の南で砂糖と香辛料を買う序に海に行って取って来て欲しいんだよ。その鞄の中にある小さい方の革袋に海水を、もう一つの方に白い砂を入れてくれ、出来るだけ沢山頼む」


「・・・これってどちらも収納袋なんですよね?なんだか嫌な予感しかしませんが・・・・・解りました・・・・・でも、良いんですか?これ持って私が逃げるとか思わないんですか?」


「・・・ククク・・・思わないねぇ・・・・・大体逃げてどうすんだ?それだけの物売り捌けば足が付くだろ。逃げながら少しずつ売るか?店を構える事も出来ずに旅暮らしか?それとも鞄ごと売り払って逃げんのか?そんなやばいもん買う奴が居ると思うか?買いたくても高額すぎて手が出ないか買い叩かれるのが落ちだろ。それが解った上で俺を試す様な事を言うな」


「申し訳ありませんでした。それでは私は商会に戻り人員手配等の指示を出した後に教国に向かいます。教国にもうちの支店が御座いますので、御用の際は何なりとお申し付け下さい」


「ん?俺が教国に行くって話ししたか?」


「いえ、教国で買って来いと言う事と、世界が敵に回るかもと言う事でしたから、陛下との謁見の後にでも向かうのではと思っただけですが・・・・・違いましたか?」


「・・・・・あんたに会えて良かったよ・・・俺の大まかな指示以外はあんたの好きにやってくれ、その方が上手く行きそうだ」


「有難う御座います。では、早速ですが失礼致します。今は少しでも時間が惜しいので」


「おう、よろしく頼むぜハンス」


俺はハンスと握手をした後、ハンスを玄関まで見送った。

ここまで読んでいただき有難う御座います。

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