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貴族街を出て商業地区に向かい、市場を回り市場価格をざっと確認し安い穀物と野菜を確認する。
「料理長が言っていた通りジャガイモは安いな・・・・・穀物だとライ麦か・・・・・お、大豆発見!結構安いな・・・買い占めるか?・・・・・いや、国王と魔王の手土産は酒が良いだろうからライ麦優先かな・・・・・」
俺は冒険者の荷物の中にあった硬貨の合計額から、ライ麦メインで大豆や果物を買い漁りガーランド家へと戻った。
ガーランド家に戻るとアレスと息子のケントが剣の稽古をしていた。
「主殿、お帰りなさいませ」
「パンドラさんお帰りなさい。アレスさんに剣の稽古を付けて貰っているんですけど、アレスさんお借りしてても良かったですか?」
「ただいま。別に構わないんだが・・・・・アレスじゃ体格が違い過ぎてあまり良くないだろ。アレスよりライラの方がケント君向きの剣術だと思うぞ」
「え・・・・・ライラさん・・・ですか?・・・・・」
「ん?・・・ああ、そうか。ケント君、ライラはなアレスよりずっと強いぞ」
「え!?・・・まさか・・・そんな・・・・・ほ、本当ですか?」
「うむ、少々情けない事であるが、我よりライラ殿の方が間違いなく強いな」
「まぁ、ライラには俺から話しといてやるよ。これから俺は忙しくなって構ってやれなくなるから相手してくれると有り難い」
そう言って屋敷に入ると丁度ライラが駆け寄って来たので、頭を撫でながら御世話に為るお返しにケントに剣の稽古を付けてあげる様に言うと、渋々頷いて外に出て行った。
厨房に入り夕食用の食材を取り出す。リザードマンの肉とビックボアの肉と骨で取ったスープに大豆を使ってお宝製造で作った醤油だ。
スープの具はジャガイモ、玉葱、人参、ビックボアの肉で醤油で味を調えた。リザードマンの肉は生姜焼きに。後は普通のサラダを作って醤油を使った和風ドレッシングにしてみた。
最後にデザートで果物と牛乳と卵に砂糖を使い、お宝製造でアイスクリームを作ってみた。
夕食が始まり初めて食べる醤油味に戸惑いながらも概ね受け入れられた。卵、牛乳、砂糖は貴重な為、余り試されていないのでスイーツで攻めればかなり流行りそうだ。
食後に子供達にはミルクセーキを、俺とアイリスとアレスはライ麦から作ったウィスキーを試してみた。
「アイリスさんは果汁で割った方がいいかな・・・・・俺とアレスはロックで良いか・・・どうぞ、かなりキツイと思うんで少しずつ試してみてください」
「グハッ・・・これはかなりキツイですな・・・喉が焼けるようです。主殿は良く飲めますな」
「まぁ慣れてるからな。お前は水割りの方が良かったか。アイリスさんどうです?大丈夫ですか」
「ええ、私は大丈夫ですが・・・・・これはその日の気分で色々飲み方が変えられて良さそうですね」
「こいつを土産に国王様と魔王を口説き落とそうかと思っているんですが・・・・・いけそうですかね?」
「現状、貴方意外に作れない物ですし十分交渉材料になると思いますよ・・・・・でも、陛下より宰相様の方が気に入りそうですけど」
「お、そりゃ良い情報が手に入った。そっちの方からも攻めてみますかね・・・・・問題が出るとしたら騎士団長辺りが難癖付けて来そうだけど」
「あら、何か心当たりでもお有りなのですか?お知り合い・・・と言う訳では無さそうですけど」
「まぁ・・・知り合いじゃ無いですけど・・・・・俺はこの国の者じゃ無いですからね、世話に為っているアイリスさん・・・いや、ガーランド家の方が国王様より上位なんですよ。現段階では国王様は交渉相手、むしろ国を救ってやろうって言う俺の方が上ですから」
「フフフ・・・主人が気に入ったのが解る気がしますわ・・・・・陛下相手にどんな立ち回りをするのか私もその場に行きたい位ですわ」
「フッ・・・魔王相手の時も身の程を知らない馬鹿が居ましたが、アレスに剣を斬り飛ばされましたからね。ま、人間程度ならちょっと威圧してやりゃ大人しくなりますよ」
「・・・・・・・主殿・・・・・申し訳・・・ありま・・・せん・・・・・」
ゴン!と言う音と共にアレスがテーブルに突っ伏して動かなくなった。
「おおっ!おい!アレス!大丈夫か!?ジェームスさん、悪いが部屋に案内してくれ。運ぶのは俺がやるから」
「あはははは・・・やだもう、アレスさんったら・・・うふふふふ・・・あ~面白い・・・・・あはははは・・・・・」
「ちょっ・・・アイリスさんも酔っ払ってる!ジェームスさん!人呼んで来て!」
ジェームスは慌ててメイドを二人呼んで来て、アイリスさんはメイドが、アレスは俺が寝室へと運んだ。
「あ~吃驚した・・・ジェームスさんすまなかったね、ちょっときつ過ぎたみたいだ」
「いえ・・・奥様があの様に為るとは・・・・・私も驚きましたが貴重な体験をさて貰いました」
その後ライラとタニアを寝室に送り、俺は眠る必要がないからと言って中庭に出て何時もの様に魔力操作の訓練をしつつ夜明けを待った。
ここまで読んでいただき有難う御座います。




