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通された部屋の中央にはテーブルが有り、その向こうには女性が一人と両脇には男の子と女の子が立っていた。


「ようこそガーランド家へ。私はマークスの妻アイリスと申します。此方が息子のケント、此方は娘のジェシカと申します」


「始めましてパンドラと申します。此方がライラ、アレス、タニアと申します。突然の来訪にも係わらず御会い頂有難う御座います」


「手紙を拝見しました。此方こそ主人が御世話に為ったそうで感謝致します。立ち話もなんです、此方にお掛け下さい。ジェームスお客様に御茶をお出しして」


席を促され俺とライラは座ったがアレスとタニアは座ろうとせず、それを見たアイリスが更に席を勧めた。


「そう畏まらずにどうぞお座り下さい。主人の手紙にはパンドラ様御一行を持て成す様に書かれておりました。皆さん此処をご自分の家と思って寛いで下さいませ」


「お心遣い感謝いたします。ほれ、お前ら早く座れ。つまらねぇ遠慮すんな失礼だろ」


アレスとタニアが座りジェームスと呼ばれた執事が御茶を置くとアイリスが話し始めた。


「主人からの手紙には『出来る限り力に為る様に』と書かれておりました。陛下への謁見の手続き以外に何か力に為れる事は有りますか?」


「良いんですかそんな簡単に信用して?俺の遣ろうとしている事を知っているなら協力するとは思えないんですが」


「フフフ・・・あれでも主人は人を見る目は有りますから。その主人が力に為る様にと言うのであれば問題は無いでしょう。勿論我が家に不利益になると判断した場合にはお断りしますからご心配なく」


「ははは・・・なるほど。では商人を紹介して貰えますか?然程大きく無いが、手広く遣っていて教国の息が掛かっていない奴が良いんだが」


「それは構いませんが・・・大きな商会でない方が宜しいので?」


「ええ、その方が大商会になっても言う事を聞いてくれるでしょう?」


「フフフ・・・大きくなる事が前提なのですね。解りました、手配しましょう」


「有難う御座います・・・・・丁度良い時間だ、厨房をお借り出来ますか?自信の一端をお見せしますよ。マークスさんにも皆さんに食べさせる様にお願いされましたしね」


俺は厨房へ行く事にして他の三人に奥様と子供達の相手をするように言って、ジェームスの案内で厨房へと向かった。

厨房は流石貴族の邸宅と言った感じで広く、冷蔵庫の様な物まで有り、食材や調味料が充実していた。

料理長に紹介されて好き嫌いなどを聞いてからメニューを決める。

酵母パンと目玉スープを次元収納から出してメインは厨房に有る物を使う事にした。


「料理長、安い肉と野菜って何だ?」


「ん?安い肉は鶏で、野菜はジャガイモだな」


「決まりだな。唐揚げとポテトサラダにしよう」


鍋に水を張り火に掛けジャガイモを入れ茹でている間に鶏肉をぶつ切りにして下味をつけて寝かせ、茹でたジャガイモの皮を剥いて軽く潰して荒熱を取る。

人参、玉葱、胡瓜、ハムを刻んで卵からマヨネーズを作り、潰したジャガイモと混ぜて冷蔵庫で冷やしておく。

鍋に油を入れて熱している間に溶き卵と小麦粉を用意して、寝かせた鶏肉を溶き卵に潜らせてから小麦粉を塗して油で揚げ、一度油を切って暫く置いてからもう一度揚げた。

料理長にスープの材料を聞かれたが今はまだ教えられないと言うと渋い顔をされたが、から揚げとポテトサラダ、特にマヨネーズには感謝された。


皆を食堂に集めて料理を運び食事を始める。

見た事の無い料理に戸惑いながらも一口食べると感嘆の息を漏らし次々と食べて行き、特に子供達は物足りない表情だったので夕食に期待する様に言うと両手を挙げて喜んだ。


「如何でしたかアイリスさん。この程度で良ければ幾らでも有りますが商売に為りませんかね?」


「・・・正直驚きました・・・・・スープは別格としても既存の食材でこれ程変わるとは思いもしませんでした。これなら間違いなく成功するでしょうね」


「と、なると後は食材の確保か・・・・・やっぱ近くに農村を作っちまうか・・・・・開墾した土地の所有権ってどうなってます?」


「え・・・そ、それは開墾した者の土地になりますが・・・・・開拓には許可が要りますよ。ああ、それも含めての謁見ですか」


「最優先事項は教義の是正ですが、この国の経済面の自立と王家に対する国民の信頼の回復は時間が掛かるから先に手を着けて置かないとね」


「肝心の教義の方ですが勝算は有るのですか?」


「ええ、使徒の出方次第ですが何人かは味方に付ける事は出来ると思ってます。それに・・・いざと為ったら聖堂や教会を片っ端から潰して行くだけです」


「そ、それは幾らなんでも・・・・・」


「勿論それは最終手段ですよ。ですが・・・止めるつもりは有りませんから、追い出すなら今のうちですよ」


「まさか・・・この国を苦しめている元凶たる教会の権威を失墜させるのでしょう?それを特等席で見られると言うのにその機会をみすみす逃す訳有りません」


「ははは・・・あんたも大概だな・・・・・まぁ見てて下さいよ教会の権威なんてあっと言う間に無くして見せますから・・・さて、ちょっと出かけて来ますのでうちの連中の事宜しくお願いします」


「あ、主様私も一緒に行きたいです」


「すまんなライラ、のんびり見て回る時間が無いから一人でさっさと買い物だけして帰って来るだけだから留守番しててくれ。その代わり夕食は今まで以上に旨いもん用意するからさ」


脹れるライラを宥めながら物価調査と食材確保の為に街に繰り出した。

ここまで読んでいただき有難う御座います。

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