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魔方陣が光り俺達を包み目眩の様な感覚に襲われ周囲の景色が変わる。
「うぅ~・・・主様・・・・・これ気持ち悪いですねぇ・・・・・」
「おおぉ・・・・・確かにこれはくるものが有りますな」
「ははは・・・ちょっとやな感じだよな。まぁ行こうぜ、魔王様が待ってるかもしれんしな」
そう言って俺は扉を開き外へと出た。
こちらの世界に来て初めての外で目にしたのは二人のメイドとその背後に有る大きな城だった。
「お待ちして居りました、魔王様が御会いに為るそうです。どうぞ此方に」
「ん~・・・俺ぁかまわねぇけど、そりゃ強制か?」
「私共は『会って話がしたいから連れて来る様に』と申し付けられただけですので解りかねますが・・・・・」
「まぁそんなもんか・・・良いだろ、付いて行ってやるよ。行かなきゃあんた等も困るだろうし」
「ご配慮有難う御座います。では付いて来て下さいませ」
そう言って歩き出す二人に俺達は付いて行く事にした。
「ライラは外に出るの初めてだろ、どうだ色々すげぇだろ」
「はい・・・凄く明るくて天井が遠くて綺麗でいろんな音と匂いが有って・・・・・なんだかわくわくして・・・ちょっと怖いです・・・・・」
「ははは・・・あれは天井じゃなくて空って言うんだ。形を変えながら動いてる白いのは雲だ」
ライラは口を開けたまま空を眺めていた。
「アレスは何時頃からあそこに居たんだ?生まれた時からか?」
「いえ、我は幼少の頃に連れて来られたと聞いております」
「そうか・・・まぁ何と無く何が有ったか想像出来るよ・・・・・すまなかったな・・・・・」
「謝る様な事では御座いません。お気になさらず」
そんな話をしながら歩いていると城門に辿り着き、鎧を着た鰐の様な衛兵とメイドが話をすると城門が開き中に通された。
「わ~凄く大きいですね~・・・・・一番上から外に出るのって凄く大変そう・・・・・」
「だよなぁ・・・まぁ大きいのには理由がるんだよ。その辺は今度教えてやるよ」
俺達が近づくと入り口が開き更に中へと進む。
「これより先は余り軽口をしない様お願いします。私共では衛兵を止められませんので」
「ん~・・・その辺は心配いらねぇよ。あんた等も含めて俺が何とかすっから」
暫く歩き階段を上り廊下を歩きまた階段を上り廊下を歩く。面倒くせぇなぁと思いながらも歩いているとメイド達が立ち止まった。
「これより先は私共は入れませんので、あちらに居る衛兵に声をお掛け下さいませ」
そう言って頭を下げてメイド達は去って行き、俺達は大きな扉の前に居る衛兵に声を掛けた。
「よう、あんた等に声を掛ける様に言われたんだけど」
「話は聞いている。陛下がお待ちだ、今開ける」
衛兵はそう言って両開きの扉を開け俺達を中に入れると扉を閉めた。
「ようこそ我が城へ使徒殿」
扉から真っ直ぐに敷かれた赤い絨毯の先の三段程高くなった所に有る豪華な椅子に座った男がそう言った。
椅子の隣に一人、絨毯の両脇に少し離れて三人づつ、計七人は幹部と言った所か。
俺はニヤリと笑い絨毯の上を真っ直ぐ歩き、ライラとアレスが後に続き椅子から5m程離れた所で止まった。
「あんたが魔王かい?俺に用が有るって聞いたが何の用だ?」
両脇に居る連中が殺気立ち、無礼だの何だのと騒ぐが一瞥もせず魔王の反応を見る。
「我が軍の施設を荒らしてくれたのでな。使徒としてどれ程の者かと思い会って見たくなったまでの事よ」
「荒らしたって言われてもなぁ・・・襲われたから倒しただけなんだが・・・・・ああ、使徒ってのが『神の御使い』って意味なら俺は違うぜ」
「貴様!いい加減にしろ!無礼にも程がある!陛下もこの様な者の話など聞かず斬り捨てるべきです!!」
牛の様な角を頭に生やし甲冑を着た男が腰の剣に手を掛け近寄ってきた。
「あん?主の話に許可無く割って入る方が無礼だろうが。この牛野郎」
「バルダー如きを倒した位で調子に乗るなよ小僧」
「下がれガルド。話の邪魔をするな」
「おい、魔王さんよ。こいつがこれ以上近寄ってきたら敵対行動と見做すけど良いのか?」
俺が右手親指で牛野郎を指して魔王に問うと牛野郎が剣を抜き横凪に斬り掛かって来た。
「ギィン!」と言う音が響き、牛野郎の剣が半ばから斬り飛ばされ中を舞いカラカラと床を滑って行く。
「主殿、出過ぎた真似をして申し訳ありません・・・・・下がれ下郎。貴様その程度の腕で主君を守れると思うなよ」
牛野郎の剣を斬り飛ばしたアレスが牛野郎の喉下に剣を突き付け、睨みながらじりじりと前に出る。
「おいおいアレス、弱い者ん虐めはその辺にしとけ・・・ククク・・・で、どうすんだ魔王さんよ。やんのかやらねぇのかどっちだ?」
「ふむ、此処でそなたに暴れられては何人犠牲に為るか解らんな。その辺で許して貰えんか」
「まぁ良いだろう・・・それじゃぁ話の続きだ。俺は使徒じゃねぇ、寧ろ神は敵だ」
「はて・・・解析の結果も神による干渉が有ったと出ているのだが?」
「あんたの言葉を信じるなら・・・決まりだな。俺をこの世界に送り込んだのは神って奴だ。俺の意思とは関係無くな。ふざけた真似しやがって・・・他に聞きたい事はあるか?と言っても知らない事の方が多いんだが」
「そうだな・・・・・神が敵だと言うのなら我が軍に入らぬか?高待遇で迎えるぞ」
「ハッ、冗談言うな。俺は誰の下にも付かねぇし、奴は必ず見つけ出して死んだ方がマシだと思う様な目に遭わせてやる。あんたは自分の領地でも守ってりゃ良いんだよ」
「ほう・・・それは楽しみだ・・・だが出来るのか?そなたに」
「まぁな・・・色々準備も必要だが、先ずは居場所を特定しないとならねぇ・・・あんたが知ってるとは思えねぇし、彼方此方回って情報を集めようと思ってる」
「では、人族の国に行くと良い。そこに使徒も居るし唯一神を祭る宗教もある」
「ああ、なるほど・・・裏で手を引いて人族と魔族を戦わせてるって事か・・・・・胸糞悪ぃ・・・ああ、ついでに色々頼みがあんだけど良いか?」
「・・・ククク・・・本当に面白い奴だ・・・が、我に益は有るのか?」
俺は「勿論だ」と言って一本の剣を取り出し魔王に投げ渡した。
「そいつは鋼って素材を使って鍛造と言う製法で作った剣なんだが、従来の物より性能が良い。使いこなす腕も必要だが数が揃えばかなり戦力増強になんだろ」
「ふむ・・・確かに鉄の剣より硬く鋭いな・・・・・よかろう条件を言って見るが良い」
「剣一本に対して必要な鉄を二倍と同じ量の木材、それと偵察に使ってた目玉十匹だな」
「目玉?・・・・・ああ、フロートアイの事か・・・ヴァイスどうだ?」
「現状改良をする為に生産を止めてしまいましたから二十匹程しか居りませんが・・・・・一体何の為に必要なのです?」
「何だ知らなかったのか?食うんだよ。美味いんだぜ~」
周囲がざわつくが気にせず話を続けた。
「まぁそんだけしか居ないんじゃ持って行く訳にゃいかんな。一日でどれ位作れるもんなんだ?それによっちゃ後日取りに来るから材料と一緒に用意しといてくれよ」
「一日で三十匹が限界ですが・・・・・陛下如何なさいますか」
「ふむ・・・取り敢えず三十日後でどうだ?それまでには増産設備も出来るであろうし、剣の方も最低百本は欲しいしな」
「よっしゃ!交渉成立だ!三十日後に取りに来るから用意しといてくれ。そんじゃ俺達は行かせてもらうぜ」
そう言って振り返り扉に向かって歩き出し扉が開くと後ろを振り返った。
「そうそう、左側の一番手前に居る奴には気をつけな。機会があれば寝首を掻くタイプだ」
そう言って扉の外に出てメイド達の案内で城外に出た。
ここまで読んでいただき有難う御座います。




