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5話『世界唯一の適性 まさかの不発理由』

ボーンウルフから必死に逃げ帰ったハヤテ。なぜ最強の力を持ちながら魔法が出なかったのか?

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ッ!!」


心臓が口から飛び出そうだった。

俺はなりふり構わず、シルバアイン草原から、ただひたすらに全力で走った。

背後からは、ガルルというボーンウルフの凶暴な息遣いと、草をかき分ける重い足音が迫ってくる。


女神様に貰った新しい身体は、引きこもりだった俺の想像を遥かに超える身体能力を秘めていた。ウルフの牙が届きそうになる度に、何度も死を感じたがギリギリのところで逃げてくることができた。


手元にあった薬草用の袋をウルフの顔面に投げつけ、一瞬視界を奪った隙に、俺はシルバアインの巨大な城門へと滑り込んだ。


「おい、大丈夫か!?」


槍を構えた衛兵の声が聞こえる。背後を振り返ると、安全圏である城門の光を嫌ったのか唸り声を上げながら、草原の奥へとボーンウルフは帰っていった。


「たす、かった……」


俺はその場にへたり込み、激しく肩で息をした。

生きている。だけど、全身から冷や汗が止まらなかった。最強の力を授かったはずなのに、戦うどころか、最弱に近い魔物に追い回されて逃げることしかできなかった。その事実が、猛烈に悔しかった。


「――ええっ!? 詠唱したのに、火種すら出なかったんですか!?」


冒険者ギルドのカウンターで、ミーシャさんが身を乗り出して驚きの声を上げた。

ボーンウルフから命からがら逃げ帰った俺は、恥を忍んでミーシャさんに現状を相談していた。

全属性の適性があり、測定水晶を爆破するほどの魔力があるのに、魔法が出ない。その理由がどうしても分からなかったからだ。


「はい。ラノベ……じゃなくて、本で読んだ通りの詠唱を完璧に口にしたはずなんです。でも、ピクリとも反応しなくて」


俺が落ち込んで言うと、ミーシャさんは納得したようにポンと手を叩いた。


「なるほど、原因が分かりました。ハヤテさん、もしかして『詠唱さえすれば魔法が出る』と思っていませんか?」


「え? 違うんですか?」


「違いますよ! この世界の魔法で一番大切なのは、魔法の現象をどれだけ頭の中で思い描けるか――『イメージの力』なんです。詠唱というのは、そのイメージを引き出すためのただの『補助』に過ぎないんですよ」


ミーシャさんは人差し指を立てて、優しく先生のように説明してくれた。


「つまり、どれだけ立派な詠唱を口にしても、頭の中のイメージが空っぽだったら、魔力は形にならなく魔法は使えないんです。逆に言えば……頭の中のイメージが完璧であれば、詠唱なんてしなくても、思っただけで魔法を発動させることだって理論上は可能です。もっとも、それは『無詠唱』と呼ばれる高等技術で、この世界の一握りの強者それなんか、宮廷魔術師なんかでも、実戦で使える人なんて滅多にいませんけどね」


「無詠唱……イメージの力……」


(魔法の真理が『イメージ』なら……悪いが、引きこもって妄想ばかりしていた俺の右に出る奴はいないぜ)

第5話いかがでしたでしょうか!ハヤテが魔法を使えなかったまさかの理由、さてこれからハヤテはどう動くのか今後ともご愛読の方よろしくお願いします。

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大事なのはイメージなんだなと思いました
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